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エルフさんが通ります  作者: るーるー
大破壊編
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事故が起こるかもしれませんからねぇ

「しかし、エルフ達はこれで身動きがとれなくなりましたね!」

「外道の策でね」


 四対のジト目が私を見てきますがもう外野にどんな目で見られようとも、なにを言われても私は気にしませんよ。

 外野の視線を無視した私は気絶したエルフを抱えますがなにせ気絶状態ですからね。しっかり立ってもくれません。これはある意味で足手まといとも言えるでしょう。というか持つのがしんどいです。


「おら、起きなさい。いつまで寝てるんですか!」


 未だに意識が戻らないエルフの縄で縛られているお腹に向かい私は容赦なく拳を振るいます。


「ごふぅ⁉︎」

『鬼畜!』


 殴られた衝撃で目を覚ましたエルフの悲鳴となぜか罵倒をするような言葉が耳に入りました。


『リリカ! 相手は敗者なんだよ! 負け犬なんだよ! もっと手を抜いてあげても楽勝なんじゃなかったの!』

「精霊さん、あなたも大概言葉のナイフでエルフを切り刻んでるよ?」


 さすがくーちゃん。無意識のナイフとはえげつないものですね。わが相棒ながら感心するを通り越して畏敬を感じますよ。


「あ、貴様! リリカ・エトロンシア! なぜ貴様が私に触っている⁉︎ 私に触っていいのはお姉様だけだ!」


 意識の戻ったエルフがやたらと暴れます。まぁ、縛られてるから大して動けないんですがね。

 とりあえず暴れてくるので容赦なく縄にしばられた腹の上を殴ります。


「コバァ!」


 再び悲鳴をあげて跳ねるて尚、私の方を睨みつけるエルフの首元にぽちではなくもっと鈍い光を放つナイフを魔法のカバン(マジックバック)から取り出し首元に見えるように突きつけます。


「いいですか? 喋っていいのは私が許可した時だけです。それ以外に喋ったら二度と喋れないように首と体がサヨウナラ! なんてことがあるかもしれませんよ? もちろん善良な私はそんなことしたくありません。したくありませんが…… 事故(・ ・)が起こるかもしれませんからねぇ」


 首筋を切らないように這わせ頰まで持ってくるとナイフの腹で青白い顔をしたエルフの頰をペチペチと叩きます。


「理解したようですね。わかったら言葉を発さずに二回頷いてください。一回や三回なら剥ぎますよ?」


 何をとは言いませんでしたが正しく私の言ったことを理解したエルフは震えながらゆっくりと二回頷きました。その光景に満足げに私は頷くとナイフを引き、鞘に収め腰のベルトに差し込みます。


「リリカさんはどこまでもブレませんね」

「悪党ですわ」

「お嬢様のおっしゃる通りです」

「外野はだまらっしゃい」


 従順になったエルフを引き連れながら街だった瓦礫の山の中を歩いていきます。私たちの後ろをかなり離れたところに二人のエルフが付いてきているようですが手を出してくる様子はありません。やはりエルフといえど仲間の命が惜しいと見えます。


「リリカさん」

「なんですかシェリー」


 途中、シェリーに後ろから話しかけられたので振り返るてかなり真剣な表情を浮かべたシェリーの姿が目に入ります。それは隣のアリエルも同様でした。


「かなり大きな魔力の塊が前方にいますわ」

「前方に?」


 言われてから前方に向き直り中止しますが私には全くわかりません。

 しかし、この二人が言うなら本当なんでしょう。


「きま……」


 アリエルが何か言葉を発している途中で姿が消えます。少し遅れ背後から何かがぶつかるような音が成り上り、振り返ると音を立てながら建物が崩れ落ちていくところでした。


「アリエル!」

「頭を下げろ!」


 シェリーが声を上げアリエルの方へと向かおうとするのを私も声を上げ、アリエルの肩を掴み、走るのを止めさせると無理やり地面に押し付けるようにします。ゼィハは私の言葉にしっかりと従っておりくーちゃんと共に地面に這いつくばっていました。

 私とアリエルが頭を下げたその上を風切り音が通り過ぎて行きました。僅かに私が視線だけを上に向けると黒光りするものが見えました。


「ちっ、 厄介なのがきましたよ」


 舌打ちをしながら起き上がり、シェリーも起こします。


「シェリー、転移魔法は使えますか?」

「かろうじて二人分というところでしょうか」


 無理やり地面に押し付けられ土まみれになりながらもシェリーは答えます。四人ではないのが苦しいですが仕方ありませんね。


「シェリー、あっちに吹き飛ばされたアリエルのもとに行ってとっとと転移魔法で逃げるのをお勧めしますよ」


 冷や汗を流しながら私は瓦礫の山と化した方角を指差します。

 するとシェリーは訝しげな表情を浮かべて私を見てきました。


「それは私とアリエルだけならば問題なく逃げれますけどあなた方はどうする気ですの?」

「長老がきました」


 げんなりしながら次に指差したのは前方に立つ小柄な老人です。長いエルフ特有の金の髪でありながら頭部だけが皿が乗っているかのように肌色の輝きを放っています。

 手にしているのは黒く光る鎖がついたトゲトゲ鉄球。


 かの者の名はエルフ族長老、ロー・ホンロード。

 過去にエルフ族最強の戦士とまで呼ばれた者です。


「孫が世話になったようじゃのう! リリカ」


 やはり血なのかベシュ同様に好戦的な笑みを浮かべてくるじいさまなのでした。

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