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エルフさんが通ります  作者: るーるー
大破壊編
139/332

相変わらず自由な派閥だなぁ

「魔の破片とやらなぽちが食いましたよ」


 隠しても仕方ながないので正直に答えます。だってあること知ってるみたいは口ぶりでしたし。

 この手の輩は意外とネチネチと後になっても言ってするタイプですからね。先に行ってれば意外となにも言ってこないものなんですよ。


「食べた?」

「食べてましたね」


 驚いたような表情を浮かべるシェリー。そして思い出しているゼィハ。


「こんな感じに」


 そういい一心不乱に果物を貪っているくーちゃんを指差します。

 そんなことを話しているとはつゆ知らず、くーちゃんはすでに興味を失ったのか果物へと関心が戻り一心不乱に食べてます。


「魔剣が喰らうとはどういうことなんでしょうか? お嬢様」

「器の資格があるということかもしれませんね」


 アリエルとシェリーがヒソヒソと話してますがエルフにとっては普通に話してるのと一緒ですね。伊達に耳が長いわけではないのです。よく聞こえるんですよ。

 まぁ、共犯者であって仲間ではないので隠し事くらいあるでしょうしね。


「とりあえずぽちが食べたから渡そうにも渡せないわけですよ」


 未だに内緒になってない内緒話を続けている二人に割り込むよう、軽く音を立てながらお酒の入ったグラスを置きます。

 その音にハッとしたような表情を浮かべるシェリー。彼女のこういった表情ははじめてみるかもしれませんね。


「んん! とりあえず手に入れたものはリリカさんの持つぽちの中にあると?」

「そうなるね」


 何も問題なかったらという話ですがね。どうなってるかは知りません。


「それでシェリー。お目当の物は手に入らなかったようですが」


 シェリーの狙いは明らかにぽちが食べた魔の破片でしょう。何の効果は知りませんがシェリーの言う通りであれば魔王復活に必要という話ですからね。


「別に手に入れたかったわけではありません。文献では読んだことはありたすがどういったものか実物を見たことがなかったので見てみたかっただけです」


 頬を膨らませながらシェリーがふてくされたように告げます。


「まぁ、そういうことにしておきましょう」


 再びグラスのお酒を飲むとシェリーが睨んできます。ふむ、あなたより横から殺気を飛ばしながら睨んでくるアリエルのほうがやばいんですけどね。右手がスカートの中に入ってますしナイフとか飛んできたらどうしましょうか。


「それでリリカさんは今後はどう動く予定でしょう?」

「相変わらず自由な派閥だなぁ」


 尋ねてきたシェリーには悪いですが笑ってしまいますよ。普通なら何らかの指示があると思うんですがね。ま、命令されないのはいいことです。自由は大事です。


「他の派閥の方々と違い私達は魔王の復活をそれほどまで強くのぞんでいませんので」

「あの、何の話をしてるんですか? 魔王の復活だとかなんだか物騒な話されてますけど……」


 控えめにといった様子でゼィハが手を挙げ尋ねてきます。そういえば説明していませんでしたね。


「あ、私はね、実は魔王を復活させる組織と共犯してるの」

『えぇ…… あっさりと』


 果物を食べるのをやめたくーちゃんが私の方を見上げてきます。なんだか最近くーちゃんに呆れられてる瞳を向けられることが多い気がしますね。


「魔王の復活!」


 バッと音を上げながらゼィハが立ち上がります。はずみで持っていたグラスからお酒がこぼれくーちゃんに全てかかります。


『ぷぎゃあ!』

「あーあ」


 お酒を被ったくーちゃんが悲鳴を上げています。しかし、そんなくーちゃんのことなど目に入らず、ゼィハの瞳がやばい色を浮かべています。


「魔王とは文献でしか見たことがない幻の存在感! まさか! まさか存在するのですか!」

「え、ええ」


 ゼィハはテーブルの上をよじ登り対面に座るシェリーに向け顔を近づけています。さすがにいつも笑顔を浮かべているシェリーでしたが少し顔が引きつっていました。

 そんなシェリーに気づかずにゼィハはかなりの速さで手を取ると狂気に彩られた瞳をシェリーに向けます。


「ぜひ、あたしにも手伝わせてください!」

「え、えーと」


 すがるような瞳で私を見てきてますね。

 しかたなく助けようと席をたったその時、私の耳が何かの音を聞き取ります。周りを見渡せば何人かの冒険者も気づいたのか怪訝な顔をしていました。

 そして聞こえる音が大きくなった時すぐに私はゼィハの首根っこを掴み自分の方へと引き寄せますね。


「ぐぇ⁉︎」


 短く悲鳴をあげるゼィハを無視してお酒臭いくーちゃんを掴み、テーブルの下へと潜り込みます。


「アリエル! シェリーを早くテーブルの下に!」


 言葉を発している途中で雨が屋根にぶつかるような音が響き、そして、


 私の言葉は破壊音に途切れ聞こえたかどうかは定かではありませんでした。


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