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エルフさんが通ります  作者: るーるー
大破壊編
134/332

誰が雌オーガですか!

「フハハハハハ!」


 雪原に私の高笑いが響き渡りさらには黒い魔力を纏った武具が飛び交います。

 というのもひたすらに駆けながら放たれる黒矢は背後を突く形になったピリァメイスの軍勢を一方的に奇襲しているからです。

 一本目の黒矢を放った後にイフリュートが言っていた言葉。聞き返しましたが土下座しろなどとふざけたことをぬかしてきたので初めは暴言を吐きながら魔ノ華(マノハナ)で黒矢、銀矢を放ってたのですがどうも初めに放ったものほどの威力が出ないようでした。それを考えるのに夢中になりはじめたので、イフリュートとの会話が面倒になり無視し始めると話してくれないことに寂しさを感じたイフリュートが泣きながら説明してくれました。

 その内容は、


 魔ノ華(マノハナ)は使い手の負の感情を喰らい威力を高めるというものでした。


 つまり一本目の黒の魔力を纏った矢はイフリュートへのイラつきが魔ノ華(マノハナ)に吸い取られ黒い魔力として銀矢にほどこされていたわけです。

 負の感情を喰らいそれを力に変えると剣。いいですね。私、とても気に入りましたよ。


 弓矢をひたすらに放ち続ける私の横ではゼィハが新たな古代魔導具アーティファクトを取り出し腕に装着し猛威を振るっていました。


「大気よ! 集え!」


 ゼィハが右腕に付けたのは筒。それもすっぽりと右腕を覆い尽くし手が見えなくなるような黒光りする先端に穴空いたの筒です。

 ゼィハがおそらくは起動呪文のようなものを告げるとおそらくは風が先端の穴へと集められていき、圧縮されていくのがわかります。


「風よ! 吹き飛ばせ!」


 言葉とともにゼィハが拳を繰り出すように筒を突き出します。すると、筒の先端に集められていた風が解放。圧縮された空気は目に見える固形となり飛び出すと私がひたすらに矢を射ている軍勢へと飛び込みます。

 飛び込んだ風は兵士にぶつかると弾け風がその場に吹き荒れ、暴れまわり周囲の兵士を拳で殴り飛ばすがごとく弾き飛ばしています。


「おお!」


 私は弓を射るのを止めて感嘆の声を漏らします。


「どうです。あたしの古代魔導具アーティファクト風の拳(ウィンドフィスト)は」


 自慢げにゼィハは腕にはまった筒、風の拳(ウィンドフィスト)を掲げてきます。

 風の拳(ウィンドフィスト)を喰らいピリァメイスの軍勢にぽっかりと穴が開きます。これは好機です。


「よし、一気に斬り崩しますよ!」


 すでに目前となったピリァメイスの軍勢に向かい駆けながら私は手に収まっていた魔ノ華(マノハナ)を弓の形状から刀の形状へと戻し黒靄を前へと放ちます。黒靄がピリァメイスの兵たちに触れ始めた瞬間、すでにここまでの進行で使い切り小さくなっていた背中の魔力の羽が爆発的に巨大化します。


「キタキタキタァ! 伸びろ! 魔ノ華(マノハナ)!」


 背中の羽が巨大化したのを感じ取った私は足に力を入れ急停止。その反動を加えさらに体を捻るようにしながら魔ノ華(マノハナ)を横に振り抜きます。叫び声の宣言通り漆黒の刀身を伸ばして。

 結果、面白いほどピリァメイスの兵たちに叩き込まれますが、上半身と下半身に切り分けるほどではありません。どうやら刀身を伸ばすと切れ味が落ちるようです。そうすると当然多数の兵士を巻き込んだ魔ノ華(マノハナ)への衝撃も相当なものでその衝撃は柄を握る私の腕へと跳ね返ってきました。


「重⁉︎」


 刀身は軋むことがありませんでしたが私の身体強化魔法を施した腕が悲鳴をあげるように痛みを訴えてきますが、無視してとりあえず振り切ります。


「うわァァァァァァァ!」

「なんだあれ⁉︎ 魔物か⁉︎」

「後ろだ! 後ろからなにか来てるぞ!」


 数人の騎士が宙を舞ったことでピリァメイスの騎士が悲鳴を上げます。


「え、エルフだ! 馬鹿みたい力をしたエルフが剣を振り回してやがる!」

「あれがエルフ⁉︎ 雌オーガだろ」

「誰がオーガですか!」


 好き勝手抜かしてくる騎士たちに向け若干長さを調節した魔ノ華(マノハナ)を振り上げ私をオーガ呼ばわりした兵士に叩きつけるべく力任せに振り下ろします。

 頭上に剣を横にして受け止めようとした騎士の剣を魔ノ華(マノハナ)は軽い音を立てながら容易く叩き折り、おまけと言わんばかりに騎士の体を真っ二つにします。


「な、剣ごと真っ二つにしやがった!」


 振り下ろし、地面に穴を開けた魔ノ華(マノハナ)を今度は蹴り上げ、肩に担ぐようにしながらその勢いでさらに一歩前に出ます。


「ひっ!」


 それと同時に周囲にいた騎士たちが逆に一歩後ろに下がります。

 私はさらに踏み込むわけでもなく魔ノ華(マノハナ)の長さを確認します。

 馬鹿みたいに長くしなければ切れ味は落ちないみたいですしこれでいきましょう。

 刀というよりは長剣のようになり肩に担いでいま魔ノ華(マノハナ)を両手で握りなおします。


「じゃ、試し切り兼安全圏までの道を文字通り切り開くとしましょう!」


 私は魔ノ華(マノハナ)を大きく振りかぶり、さらに化け物を見るような怯えた瞳をした敵たちの軍勢に嬉々として突っ込むのでした。


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