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エルフさんが通ります  作者: るーるー
大破壊編
122/332

兎にも角にも準備です

 迷宮探査という暇つぶしから七日。

ドラクマとピリァメイスとの戦争がおこなわれる。

 このことが知れ渡っているのか街の中は軽いパニック状態にあった。

 馬車にやたらと荷物を詰め込んだ住人達が慌てふためいたように外へと向かっていました。


「いやーイベントみたいですね」

「いやいやいや、戦争ですよ? 人死にがでるんですよ? なんでそんな冷静なんですか?」

『ほんとにね』


いつの間にかベシュ達はいなくなっていたのでドラクマの街に戻ってきた私は単純な感想を述べます。

 私が逃げ惑う人々に向け拍手をしているとジト目を浮かべたゼィハとその肩に座ったくーちゃんが見てきてますね。


「ん? 戦争はイベントでしょう?」

『武闘派すぎる……』


 エルフの里では戦争や狩りはイベント扱いでしたからね。私は戦争には参加したことがありませんが。


「ま、とりあえず武器屋に行きましょう」


 人の流れと逆に向かっていけば武器屋もあるでしょうしね。


「な、なぜ武器屋に? リリカさんには妖刀があるじゃないですか」


 慌てて杖を握りけしからん胸を震わせながらゼィハが私の後についてきます。

 必死に逃げているはずの住人(男)がゼィハの胸に視線がいっていますね。脂なのに……


「長老の話ではこういう時は武器をかなりの安価で手に入れれるらしいです」


 私は戦士ではないので武器の良し悪しはわかりませんが、全てを弓矢に(オールボゥ)に注ぎ込めば武器が鈍であろうが威力を発揮するでしょう。


「つまりは安く買いたたきに行くわけですか」

「そういうこと」


 お目当の店に向かい歩いて行くと完全に人通りが少なくなっていっています。


「ああ、ここですここです」


 一度この店の前を通った時に店の中に武器の類が見えたから覚えていたんですよね。


『なんか張り紙がしてるよ?』

「読んでください」

『メガネは?』

「くーちゃんが呼んだ方が早いですよ」


 頬を膨らまして抗議の視線を私に向けてきますが私は笑顔で答えます。

 小さくため息を吐きながらもくーちゃんは張り紙に近づいていきます。


『えーと、当店は戦争が始まるために閉店さしていただきますって』

「つまり取り放題ですね!」

「いや、その発想はどうなんでしょうか?」

「貴重な魔法触媒があるかもしれませんね」

「潰しましょうか? 扉叩き潰しますか?」


 切り替えの早い人ですね。嫌いじゃありません。


「よし、潰しましょうか」

「はーい!」


 返事と共にゼィハが手にしていた杖を構え幾つもの魔方陣を展開さしていきます。


『「おー」』


 私とくーちゃんが感心したような声を上げながら輝きを放つ魔方陣を見つめています。


「発射!」


 ゼィハの掛け声と共に展開していた魔方陣が消失。杖先から色とりどりの魔法が解き放たれていきます。

 魔法は扉だけではなく壁にも当たり、さらには他の建物へも直撃していきます。

 魔法が当たった場所は容易く破壊されていき見る見る内に穴が空いていきます。しかし、それでもゼィハは魔法を打ち続けるのを止めません。


「いや、あの、やりすぎると欲しいのも無くなるんですけど……」


 さすがに手に入れるべきものがなくなられては私としては困るので注意を促しますが。


「ハハハハハ! 壊れろ! 壊れろ!」


 こいつ聞いちゃいませんよ……

 嬉々として魔法を使ってますし。ダンジョン内では魔法を使う機会構えあまりなかったと言ってましたがどれだけ鬱憤がたまってるんですかねこの人。


「やめなさい」


 私はぽちを鞘に入れたまま引き抜くとそれで狂喜乱舞しているゼィハの頭を叩きます。


「いた! 痛いですよ? なにするんですか」


 叩かれたことでようやく魔法の連射をやめたゼィハは頭をさすりながら私の方へ振り返ります。


「なにするんですかじゃありませんよ。 店を叩き潰す気ですか?」

「魔力を帯びた武器などはこの程度では壊れませんよ?」


 この子の基準がわからない……


「私が欲しいのもあるんだからね。そう簡単に潰さないでよ!」

『リリカが、リリカがまともなことを言ってる⁉︎』


 相変わらず最近は失礼なことを普通に言いますね、くーちゃん。

 私も人の里に出て少しは経つわけです。多少は常識というのを覚えるわけです。

 まだ暴れたりないと言わんばかりの表情をしたゼィハをみて軽いため息をします。


「やるなら隣の誰も胃なさそうな家にしてくださいよ」

『あれ、止める気がなかった⁉︎』


 私が指さした民家へゼィハか再び嬉々とした表情を浮かべながら魔方陣を展開していきます。

 そんなゼィハを横目に見ながら私は壁がなくなった武器屋の中へと入っていくのでした。


「次はこの魔法だぁぁぁぁぁぁぁ!」


 やたらとテンションの高いゼィハの声が聞こえた後にまた魔法による破壊音と振動を感知しましたが、ま、私にはどうでもいいことですよね。

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