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エルフさんが通ります  作者: るーるー
大破壊編
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変態紳士はどこまでいっても変態紳士だった

「汚いものをお見せしました」

「あ、うん」


 生返事をした私を他所ににこにこと笑うシェリーの後ろでアリエルが容赦なくお父様という名の変態紳士を足蹴にしています。

 とても目上の人に行う対応ではありません。


「あれが組織のボスなのかな?」


 そうであっては欲しくないと思いながら私は恍惚としたやっぱり変態にしか見えない男を渡された紅茶を飲みながらな見やります。


「残念ながら」


 変態が座っていた席に座り椅子をくるくると回転さしながらさして残念そうにも見えない様子でシェリーは笑います。


「それで具体的には今後はどう動くのかな?」


 あんな変態に思考を費やすよりはそちらを考えたほうが有意義という物です。


「それですが」


 言葉を途中できり、シェリーはくーちゃんへリンゴを投げます。


『キャッチ!』


 弧を描きながら飛ぶリンゴを恐ろしいまでの速度を出し体全部を使いリンゴを掴むヨダレを垂らしながらくーちゃんはかぶりついています。

 欲まみれですねぇ。


「リリカさんは戦争を眺めに来たのが目的だと」

「そうだね。ドラクマではもうじき戦争が起こると聞いたんでね」


 本来の目的はそれですからね。

 戦争がどんなものか楽しみでしたし。


「それには普通に参加してもらって構いませんわ」

「てっきりなにかやらされるものかと思ったけど?」


 なんらかの要望が言われるかと思いましたが意外ですね。


「闘争は人類の本能の一つです。私達がそれを邪魔する理由はありませんわ」


 笑ながら言ってますが胡散臭いですね。


「本音は?」

「ドラクマな国力が削れたほうが私にとって都合がいいので」

「なるほど」


 それなら納得ですね。


「ん〜レディ、君が新たな娘かね」

「貴方のような変態の娘になる気はありません」


 振り返りそう言い放ちます。

 だって全裸の変態ですし、変態ですし! 変態ですし!


「ふむ、シェリーの仲間にはなったんだろう? なら君も娘だ!さぁ! パパの胸に飛び込んでおいで!」


 ばっと腕を広げさぁ!と言わんばかりに立っている変態に冷たい視線を向けたあとにげんなりとしながらシェリーに眼を向けます。


「お父様、いい加減にふざけるのはおやめください」


 苦笑を浮かべているシェリーであるが目は笑ってない。むしろ冷たい物です。汚物を見るかのような。


「仕方ない」


 渋々と言った様子で変態はシェリーの座る椅子の方へと向かいます。シェリーは椅子から立ち上がり、変態に椅子を譲ると私の横に立ちました。


「ふむ、娘のほのかな香りを感じる!」

「これダメなやつじゃないですか?」


 シェリーのどいた椅子へと顔を擦り付け鼻息荒く匂いをかいでいるのをみて引きます。隣のシェリーを見ると今まで浮かんでいた苦笑すらも浮かんでいない無表情。どうやらかなりお冠な様子ですね。


「お父様」

「なんだアリエル! 今、我輩は娘の香りを楽しむのに忙しくて……」

「死ね」


 無表情でアリエルに指示を飛ばしたのかアリエルのやたらとエッジの効いた靴が筋肉の鎧を着込んだ変態の背中に食い込みました。


「おおおお⁉︎ 痛いけど気持ちいい!」


 気持ち悪いくらいのドMです。

 アリエルは靴をグリグリと動かし背中に突き刺し続けますが皮膚が硬いのか筋肉が凄いのかわかりませんが全く血もでませんね。それでも椅子から頬を離さないあたりが気持ち悪いくらいの執念を感じます。


「もういいです、お父様。そのままの格好でもいいのでリリカさんの質問に答えてあげてください」


 ため息をつき、呆れるような視線をシェリーは変態に向けます。


「まて! このままの格好となると流石にパパとしての威厳がぁぁぁぁぁぁ!」


 喋っている途中で背中をさらに踏みつけられたのか悲鳴が上がります。しかし、なぜか喜んでいるような声なのでどこにも威厳などありませんがね。


「さ、リリカさん、聞きたいことがあるでしょうからどうぞ」

「この状況で⁉︎」


 さすがに唖然としましたがこれ以上変態に関わるのも嫌なので手早く済ましましょうかね。


「じゃ、質問ですがこの組織の正式な名前はなんです?」

「この組織に名前はない。便宜上では黒の軍勢と呼ばれておる」


 アリエルが一時的にこうげきするのをやめたのかさみしそうな顔をアリエルに向けながらも変態は答えます。


「では黒薔薇というのは?」

「それは派閥のようなものだ。他にも幾つかある」


 なるほど。派閥ですか。悪の組織にもあるんですね。派閥。

 いやだなぁ、仲良しグループとかならひとりぼっちにされてしまうかもしれない。

 なぜって? ほら、私、美少女だし。

 ま、今はそこはいいんですけどね。


「最後ですこの組織、黒の軍勢の目的は? ああ、最終目的でお願いしますね」


 すると変態はきょとんとしたあとにシェリーの方を見ました。まるでなんで説明してないの? と言わんばかりです。


「黒の軍勢の最終目的は魔王の復活だが?」


 なにやら素敵ワードである言葉を聞いた私は自然と口元を歪めたのでした。

変態は殴っても治りません

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