5話 宴会と酒と一時の大団円
ようやく投稿できました。
チルノがなんか某手書き劇場のチル姉っぽいな。
そう思いながら打ち込みました。
今度からはパソコンで打とう。
蒼side
『ごめんね、ミスティア、異変に全然関わっていないのに料理作るの手伝ってもらって。』
「気にしなくていいよ、蒼が無事だったのは嬉しいし、料理が好きだしね、私は。」
あれからトントン拍子に話が進み、博霊神社にて関係者達と賑やかな宴会が開かれていた。
『咲夜さん、そこの料理を皆さんの所にお願いします。』
「ええ、任せて、調子さえ良ければ私も料理を手伝えたのだけど。」
『無理しないでください、本来なら安静の身なんですよ?』
神社の雰囲気にあまりあわないメイド服を着た少し包帯を巻いた『十六夜 咲夜』さん、無理をすると傷が開いてしまうのだが手伝いをしたいと言って一歩も退かなかった、レミリアさんにもお願いしてかなり妥協して料理の配膳だけをしてもらっている。
「やれやれ、頑固な人だね。」
『せめて真面目って言ってあげなよ・・・。』
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sideout
宴会をしている場所では皆それぞれの話題に花を咲かせていた。
人間でありながら魔法使いである魔理沙、同じく正当魔法使いのパチュリー、その使い魔の小悪魔、彼女達も会話が絶えない。
「兎に角!図書館の本を借りたいならせめて期限を守ってちょうだい、解らない所があればアドバイスぐらいならしてあげるから、それなら別に文句も無いでしょう?かなり譲歩してるんだから。」
「・・・おぅ、私こそ少し図々しかったぜ、すまん。」
「しかし随分堪えてますね、彼女達の言葉が。」
「常識的な意見が一番心に堪えるものよ。」
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『死ぬまで借りる・・・ですか、苛めっ子の典型的セリフですね。』
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魔理沙が何故かこんなに落ち込んでいるのは実は紅魔館から博霊神社に向かう最中、蒼に少し呆れた目でこう言われたからだ。
「でもあの妖怪、随分興味深い妖気ね、あそこまで穏やかな妖怪なんて初めてみたわ。」
「んあ?お前みたいに長生きしてる奴でもあんな河童の妖怪をみたこと無いのか?」
「いいえ、河童と言う妖怪の個体はみたことは有るわ。
それに彼女のような『灰色』の河童も知ってるしね。」
「お?なんかそれだと『灰色』の河童ってのは特別な意味がありそうなんだぜ?」
「・・・そうね。」
パチュリーはここで言葉を打ち切った、
彼女は知ってはいるが見たことはないのだ。
(灰色の河童、文献だと幻想郷の誕生に貢献した人間の味方であり妖怪の味方であり、昔に生きる妖怪の大半は彼女の事を知ってる程、でも彼女からはそんな雰囲気は感じない、他人の空似なの?)
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フランside
蒼お姉ちゃんの言った通り外はとても凄い所だった。
綺麗な景色、楽しいこと、それに知らなかった事・・・。
お姉様が泣きながら私に謝ってきた、なにもできなくてごめんって
許して貰えるなんて思っていない、ただごめんって・・・。
お姉様は私が嫌いじゃなかった。
今の私にはそれだけで十分だった。
だから私はこう言った。
「私は、お姉様が大好きだよ。」
あの時のお姉様は顔をぐしゃぐしゃにして抱きついて来たから私も
流石に困っちゃった。
そして神社で皆と楽しく過ごす中、なんでか蒼お姉ちゃんが見当たらなくて探していたら外からあのオカリナの音色が聞こえた。
「蒼お姉ちゃん、どこ?」
『ん、フラン?屋根だよ、屋根の上。』
「あ、蒼お姉ちゃん。」
蒼お姉ちゃんが屋根で手を振っていた。
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私は飛んで、お姉ちゃんの隣に座った。
「蒼お姉ちゃんは宴会に混ざらないの?」
『たはは、あまり人が沢山居るとこに慣れていないんだよ。』
「そうなの?」
苦笑いしながら蒼お姉ちゃんは色々話してくれた。
少し前はあまり交流をしていなかった事。
「ちょっと意外だな、私が会った時はそんなでも・・・。」
『まあ、そう思われてもしょうがないかな。』
まあ、いいか、私は蒼お姉ちゃんに助けられた。
本当に色々な意味で。
「蒼お姉ちゃん、これは、私なりのお礼だよ♪」
『え・・・!?』
私は蒼お姉ちゃんの顔に近づいて、キスをした。
あはは、ポカーンってしてる、可愛い。
『もう、不意討ちは卑怯だよ・・・。』
「あー、蒼こんな所にいたー♪」
『うわ、ルーミア!?』
何処から来たのか、ルーミアが蒼お姉ちゃんに抱きついて来た。
「ねえ、もう一度聴かせて、あのオカリナの音色。」
「あ、私も聴きたい!」
『やれやれ、いいよ。』
蒼お姉ちゃんの肩に頭を乗せて、夜の演奏が始まった。
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チルノside
あー疲れたわ・・・。
まあ、この疲労感で酒が美味く感じるし、悪い事でもないわね。
「すぅ・・・むにゅぅ・・・。」
普段おとなしめな大ちゃんだが皆と騒いで疲れたのだろう。
それにしてもいい音色だわ、不思議と落ち着く。
「隣、いいかしら?」
「ん?レミリアだっけ、別にいいわよ。」
断る理由も無い。
「・・・いい夜ね。」
「月が綺麗で安らぐオカリナ、月見酒にはうってつけね。」
お酒を飲みながら、綺麗な月、何時もよりも酒が美味い。
「ほら、レミリアも一杯。」
「っとと、悪いわね。」
強くも無いが弱い酒でも無い、酔うには丁度良い具合だ。
「なかなか、悪くないわね。」
「あたいのお気に入りよ。」
「・・・こうも良い酒を飲むと口が軽くなりそうね。」
「酔っぱらい同士の会話さ、明日になったら忘れてるでしょ。」
「そうね・・・。」
レミリアは少しづつ言葉を漏らした。
「最初は、嬉しかったわ、フランと仲直り出来て。
でもね、少しづつ私に黒いものが渦巻いているのよ。」
「黒い?」
「早い話、嫉妬よ、突然来た妖怪がなんでフランに心を許されているのか?ってね。」
レミリアは悲しそうに、切なそうに笑っていた。
「勝手な話よね、フランと今まで向き合わなかった臆病者が、今更、何を言っているんだか。」
本当にそうか?
「それでも、フランにレミリアは必要だと思うわよ。」
「え?」
「だってレミリアはフランの唯一の姉でしょうが。」
「何年だっけ?495年?だったら償いに500年費やせば良いじゃない、ただでさえレミリアは不死なんだから。」
「あ・・・。」
「偉そうに言うけど、自分の事が許せないなら、フランが許して、自分も許せるまで償えば良いじゃない。」
「そうね、そんなことも、思い付かなかったわ。」
「解ったなら良いじゃない、バカなやつはそんなことも解らないんだから、その気があるなら、救いはあるわよ。」
「ふふ、ありがとう、気に入ったわよ、あなた。」
「チルノよ、あたいの名前はね。」
「紅魔館に遊びに来なさい、チルノ、あなたとはもっと話したいわ。」
「ん、暇が出来たら必ずいくわよ、偉そうな事言ったしね。」
言いたい事を言ったんだからあたいにも責任はある。
「ふふ、本当に今日は良い夜ね。」
「そうね。」
あたいに新しい友人が出来た、良い夜よ。
オカリナが響く神社、あたいとレミリアは酒を飲んでいた。
紅魔館編、ようやく完結です。
次の異変までにちょっとした話を挟みます。