四話 妖精と剣と狂った歯車
今回のキャラの数人、激しくキャラ崩壊しています。
蒼side
あれからルーミアの案内のおかげで私は特に消耗しないで湖にたどり着けた。
『それにしても随分広い湖だね。』
「うん、ここにはチルノって言う氷の妖精が居るんだけど基本的に頭がアレだから特に苦労はしないと思うよ。」
さらりと酷い事言ってないかな・・・?
『それにしても、発生源が近いと霧の濃さも凄いな。』
四方八方が霧で視界を制限されて注意しなければ近づいてくる妖怪達に気づけない。
『ん?』
敵を適当に避けたり撃ち落として湖を進むと目の前に一人(?)
の妖精が姿を現して、何かを此方に伝えようとしている?
「・・・。」
『え?この先は危険だから通らない方がいい?』
「・・・。」(コクコク)
「あれ?蒼はこの子が何言っているか解るの!?」
『何となくね、それで、なんで危険なのか聞いていい?』
「・・・。」
『えーと、さっき博霊の巫女と白黒の魔法使いが話を聞かずに
先に進んで、君の友人が勝負したけど返り討ちにされて今友人の機嫌が凄く悪い・・・?』
「・・・。」(コクコク)
『うーん、でも私もこの先のあの館に用があってでも湖を避けて通ると凄く遠回りになるんだけど・・・駄目?』
「うーん、面倒だから押し通っちゃ駄目?」
「・・・!?」(オロオロ)
『こらこら、怖がってるじゃん、そういうのは駄目だから。』
「むー・・・ご飯の恩もあるし蒼がそう言うなら。」
(ほっ・・・。)
私の記憶が確かならこの子は間違いなく妖精の『大妖精』で
友人が氷精の『チルノ』友人が傷ついてほしくないのはわかる。
『でも参ったね、確かにこのまま話をしてても平行線・・・っ!?』
少し考えている中突然感じた尋常じゃない殺気と衝撃波。
「っ!?」(ビクッ)
「うひゃっ!?」
(こっちに向けてのものじゃないそれにあっちから何かが衝突するかのような力が、まさかっ!?)
私が大妖精の顔を見ると体は僅かに震えて顔面蒼白な様子である一点を見ていた。
「チルノちゃん・・・っ!」
やっと発した声も、必死になって絞り出して友人を心配している。
『くっ・・・!』
何か嫌な予感がして私は飛び出す。
「あ、待って蒼!」
「・・・っ!」
二人も私を追うように飛び出した。
□
チルノside
あぁ、もう、なんだってのよ!?
「アハハハハハハ!あなた凄いね!こんなに楽しいのって久しぶりだよ!」
「それはどうも!あたいは今凄く機嫌が悪いけどね!」
「そうなんだ!じゃあさ、あなた、壊 し て い い ?」
ちょ、なにあの剣!?ヤバイ気配全開じゃない!?
「氷壁『アイスシールド』!」
とっさに出した硬い氷の盾で「防ぐ」のではなく「受け流す」
しかしこれでも耐えられず盾はヒビが入り砕ける、レティにこういうのを教わらなかったら一回休みなんてもんじゃ済まないわよ!?
「アハハハハ!また避けられた!?お姉様でも出来ないよ!?」
「もう、なんなのよあんた!?いきなり襲って来て!?」
自分も剣を出して応戦する、凄い力にねじ伏せられそうになるが必死に堪える、あたいが倒れてこのままこいつが暴れたら間違いなく大ちゃんも傷ついてしまう!それだけは絶対にさせない!
□
蒼side
『な、なんで・・・?』
其処に着いた時まず驚いた、何故なら其処にはあり得ない光景が広がっていたからだ。
「あ、あれって・・・?」
「・・・!?」
其処ではチルノと『あの子』が、フランがに互いに全力で戦っていた。
「チ、チルノちゃん・・・。」
「!?大ちゃん?!そして誰?!・・・駄目、速く逃げて!」
「アハ?あなた達も遊んでくれるの?」
「え!?」
『なっ・・・!』
禁忌『フォーオブアカインド』
フランの姿が四人に別れて私達に襲いかかってきた!
「うわぁ!?」
「きゃっ・・・!!」
気がつけばルーミアと大妖精がフランの分身二人に遠ざけられて
結果的に分断させられた。
『しまった・・・!』
「余所見してると危ないよ・・・?」
『!?ぐっ・・・!』
フランの分身の一人が放つ弾幕を避けながら打開策を考える。
(失敗した、なんでこの可能性を考えなかった!?)
本来ならフランは地下室にいるはずだった、でもなんで私は、
ゲームと同じように話が進むと思い込んでいたんだろう?
ここにいる人たちは確かに生きているのに・・・。
フランは興奮していて話もできないだろう、不注意でチルノはともかくルーミアと大妖精まで危険に晒すなんて!
「攻撃してこないの?つまらないよ。」
(どうしたらフランを落ち着かせる?どうすれば皆を守れる?)
甘い考えだがフランとは戦いたくないしルーミアも大妖精もさっき知り合ったばかりだが傷ついてほしくない、そして何よりも。
『約束したからね、フランにもう一度会いに行くって。』
「え・・・?」
『だから私は、フランを、あなたを助けるよ。』
自然と私の手はオカリナを掴み、構えていた、そして感情のままにただオカリナを吹いた、その時、何か暖かいた力が私を包んだ。
□
ルーミアside
参ったな、こいつ分身体の癖に馬鹿みたいに強い。
本来の力があれば大した事無い敵なんだけど、先代の巫女と紫との約束を破るのは私の本意じゃないんだよなー。
「余所見?随分余裕だね!」
「おっとと考える暇もないのかー?」
まあ、昂る感情で撃たれる弾幕なんて避けるのも簡単なんだけど。
「吸血鬼なのに外に居ても平気なのか。」
「だってこの霧でお日様なんて見えないもん!」
「そうなのかー。」
・・・紫の話じゃ吸血鬼の連中は幻想郷で侵略行為をするのは禁じているはずだし契約したのならあいつらの方から破る事は無い、でも現に霧を発生させてその異変を解決しに今代の巫女が動いた。
「ああ、早い話、あいつの自作自演なのか。」
「え?」
「大方、スペルカードのシステムを幻想郷に馴染ませるのと同時に博霊の巫女の力試しを兼ねてるのか、大した母心だこと。」
「何言ってるの?」
「あーあ、私やられ損じゃんか、今度紫に文句言ってやる。」
「無視しないでよ、ムカつく!」
うわ、なんか剣を出して攻撃してきたよ、力は凄いけど単純だな。
「・・・ムカつくのはこっちも同じなんだけど?」
「!?」(ゾクッ)
あらら、怯えちゃった、千年も生きてない奴に大人気ないかな?
「まあ、闇に呑む程の力はもう無いけど、あんた相手に負ける気なんか少し、も無、い・・・?」
『・・・癒風。』
なんだ、笛の、音色?
「蒼?」
気がつけば弾幕を放つのは誰も居なくて湖にはやさしい風と
耳に自然と流れるオカリナの音色が支配していた。
妖精二人も、吸血鬼も私も弾幕を放つなんて忘れて聞き入っていた。
「蒼・・・お姉ちゃん?」
音色が止み、分身の小さな声も聞き取れる程に静寂した空間、その刹那、3人の分身が霧散して蒼に目掛けて本体の吸血鬼が突撃するような勢いで抱きついた。
「え?」
『え、あ、あれ!?私・・・?』
うん?何が起きてんのこれ?
理解が追い付かないのは私だけじゃないと信じたい。
「・・・フラン!」
「蒼、あんた・・・。」
声がする方を向くと、また羽が違う吸血鬼と今代の博霊の巫女がいつの間にかそこにいた。
何が起きてんのかまだ解んないけど、とりあえず、今度紫に会ったら一発全力でぶん殴る、これだけは心に決めた。
□
sideout
時を遡って此方は蒼が目指していた紅魔館、その最新部とも言える玉座の間其処には異変を解決しにこの館を訪れた博霊の巫女、博霊霊夢、そしてその異変を起こした吸血鬼であり首謀者、レミリア・スカーレット。
その勝負はすでに決着していた、紛れもない霊夢の勝利で、だ。
ちなみに魔理沙は図書館に興味津々で途中でリタイアした。
「くっ、まさかこの私がっ!?」
「私の勝ちね、約束通り霧を止めてもらえるかしら?」
「・・・っ仕方がないわね。」
(さて、これからどうしようかしら?)
首謀者を撃破したがまだ霊夢は納得していなかった、それは彼女の勘がまだ何かを自分に訴えかけていたからだ。
(何かしら、まだなにかを見落としている?何を?)
そもそもなんでこの吸血鬼、レミリアは異変を起こした?
何か目的があったにしてはやり方が杜撰だ、何か原因がある?
何故かそれはこの館で感じない、むしろ外に「それ」を感じる。
その考えを肯定するかのように玉座の間に先程倒した門番妖怪が
息を切らせて入って来た、しかし先程より傷が増えている?
「はぁ、はぁ、お嬢様っ、大変です!」
「美鈴?どうしたのよ、そんなに慌てて。」
「い、妹様が地下から脱走しました、止めようとしたのですが、情けなくもこの様です、咲夜さんも気を失ってしまい・・・。」
レミリアは驚き、霊夢は少ない窓から外を見る、先程氷精を倒した湖で数人が弾幕を放ち戦っていた。
「・・・フランっ!?」
レミリアのその言葉を聞き、彼女が窓から飛びした刹那、霊夢も窓からその後を追った。
□
蒼side
あれ?私、何をしていた?気がつけばフランが私に抱きついているし、レミリア?と霊夢がいるし、何が起きてるの?
というか、なぜ私は短時間とは言えフランと渡り合えた?
私は弾幕を覚えて1週間経ってないんだけど?
『え、えーと?』
「蒼、なんであんたがここに居るのよ?」
『あ、霊夢さん、えーと、この霧が気になって何が起きているのかを知りたくて・・・?』
「なんで疑問形なのよ・・・。」
う、嘘はいってないよね?
まさか夢でフランに会った、なんて信じられる内容じゃないし。
次の言葉を迷う中、言いづらそうにルーミア達が口を開いた。
「あー・・・まあ、兎に角さ、この霧、止めないのかー?」
「それよりなんでこうなったのか説明が欲しいわ、あたいは。」
「・・・?」(オロオロ)
□
霊夢side
紅魔館の一室、異変に関わった数人が集まって話をしていた。
ちなみに魔理沙はまだ図書館で本を漁り、メイドは門番が看病中だ。
「オカリナを演奏してからの記憶が無い?」
『はい、えーと、この子と戦っている中何故かオカリナに手が伸びて、それから・・・気がついたらこうなっていて。』
レミリアの妹らしい金髪の子どもを抱き抱えたまま情報を交換する蒼と私、嘘は言っていないようだけどなんか引っ掛かるわね。
「おい、フランは無事なのか?」
『は、はい、寝ちゃってますが外傷は無いですよ。』
レミリアはフランが心配のようだが、生憎フランは蒼をしっかり掴んで離さない。
「おかしいわね、他人になつくような子じゃ無いんだけど。」
解せないのか蒼とフランを交互に見るレミリア。
「しっかしこの吸血鬼、とんでもない馬鹿力してるわね、
あたいは生きた心地がしなかったわ。」
「・・・。」(コクコク)
「動いたせいでまたお腹空いたのかー・・・。」
うーん、難しく考えても勘になにも感じない、それほど重要じゃないのかしら?
「ねえレミリア、少しいいかしら?」
「ん、なんだ、霊夢。」
「・・・今回の異変で関わった連中で、宴会しない?」
「「「「『・・・え?』」」」」
全員が声を揃えて疑問を漏らす。
「いや、異変が終わった後は家の神社で宴会騒ぎするのはお決まりらしいのよ、嫌って訳じゃないでしょ?」
「ま、まぁね・・・。」
「はい決まり、難しい事は後回しで大丈夫よ。」
『・・・聞くのは二度目ですが根拠はなんですか?』
聞き覚えのある質問に対して私はやはりこう返した。
「勘よ。」
『やっぱり・・・。』(ガックシ・・・。)
「ご飯があるなら楽しみなのかー♪」
やっぱりって何よ、解ってたなら聞かなきゃよかったじゃない。
次回は宴会です!
キャラ崩壊していたのはルーミア達でした、少し猫被りをしています。
解る方は解ると思いますがチルノはアドベント化状態です。
大妖精は・・・極力無口キャラですコミュ症じゃ無いよ!?