夢の中 過去と紅と・・・。
原作崩壊の序章
スマホて書くと色々と大変です(・・;)
蒼side
「・・・。」
声が聞こえる・・・。
泣いているの?
誰が?
あの子は、誰?
人にはあるはずのない羽を僅かに揺らしながら声を殺して暗い闇の中で独り泣いている少女、あの子は・・・!?
・・・・・・・・・
『っ!?』
なんだ、今の夢・・・?
私の記憶が確かなら間違いなくあの子は・・・って。
『ここ、どこ?』
少しデジャブを感じる感覚と共に意識が覚醒した。
・・・・・・・・・
目が覚めたら目の前に大きな扉、その他は暗い闇の中だった。
身に付けていたのはいつもの河童の服とオカリナだけ。
しかしそれと同時に気付くことがあった。
『・・・また、あの泣き声が聞こえる?』
その扉の先から先程聞こえた泣き声、声を殺して誰にも聞こえないように必死に耐えるかのような・・・。
『・・・っ!』
その声が耳にはっきりと聞こえた時、何故か私は、考えるよりも先に体がその扉を開けていた。
・・・・・・・・・・・・・
その扉の先の部屋は、薄暗く装飾もあまりなかったが何よりも目立つのは、至るところの破壊痕。
そして・・・その部屋の隅に「あの子」がいた。
金色の髪を押さえつけるように抱え綺麗な羽は活力を無くしたかのようにくたりとしていた。
(フランドール・スカーレット・・・!)
彼女は私が知る活発的な一面は何処にもなく、ただ弱々しく泣いていた。
「・・・あなたは、だれ?」
ゆっくりと頭を上げて泣いていたその眼で私を見るフラン。
『私は・・・空野 蒼、河童だよ。』
「河童さん?」
『うん、少し道に迷っちゃってね、目に付いた部屋に入ったら
あなたがいたの。』
「そう、なんだ、蒼は外から来たの?」
『外から・・・か、まあそうなるかな。』
「外、か、どんなところ何だろう・・・?」
フランはどこか遠くを見るように天井を眺めていた。
その顔は悲しみと、諦めが容易に感じ取れた。
(なんでだろう、フランにこんな顔してほしくない・・・。)
私はフランの事を放っては置けずフランの隣に腰掛けた。
少し服が埃まみれになったがフランのきょとんとした顔にちょっと可愛いと思ってしまい、そんな事は気にならなかった。
「え・・・?」
『・・・私でいいなら話し相手になるよ。』
できるだけ優しく笑って私はフランと話を始めた。
・・・・・・・・・・
「蒼お姉ちゃんは色々知っているんだね。」
『フランも本を読んでみるといいよ、きっと面白い事がたくさん載っているからね。』
あれからお互いに自己紹介をしてフランと他愛のない話をした。
最初は暗かったフランの顔も幾らか明るさが戻って少しだが笑顔を見せてくれるようになった。
「ねえ、その首に下げてるのは何?」
『これ?これはオカリナって言う土でできた笛だよ。』
「へーぇ、土の笛なんだ、どんな音が出るの?」
『聴いてみる?』
「うん!」
興味深々なフランの笑顔に微笑ましくなり私はフランのために
オカリナを構えてあの曲を少しスローテンポで吹き始めた。
彼女の曲「U.N.オーエンは彼女なのか?」を・・・。
・・・・・・・・・・
フランside
道に迷ったと変な事を言って私の部屋に入って来た不思議なお姉ちゃん、私の事を怖がらないで平然と話し相手になってくれた。
そしてオカリナって言う笛で曲を吹き始めた時、何故か私の心が優しく包まれるように暖かくなった。
ゆったりとした曲に少し眠くなってきた・・・ああ、駄目、寝たらこのままこの人が居なくなってしまうかも知れない。
そうしたら蒼お姉ちゃんは私を膝枕してくれてこう言ってくれた。
『フラン、多分私はもうすぐ行かなきゃならないんだ、でもこれだけは覚えておいて、たとえ何十年、何百年経っても私は絶対またフランに会いに行くよ、その時はまた、私のオカリナを聴いて?』
「・・・うん、約束だよ?蒼お姉ちゃん。」
『ありがとう、約束する、だから今だけは、ゆっくりお休み?』
・・・その日だけ私は久しぶりに暖かい気持ちで眠れた。
ありがとう、蒼お姉ちゃん。
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蒼side
気がついたら幻想郷の自分の家に戻っていた。
『夢、だったの・・・?』
しかしその考えは一瞬で否定された。
着ていた服は、寝間着からフランと過ごした時の服でなによりも、その服に一本の髪の毛が付いていた、フランの金色の髪が。
そして外を見ればあの「紅い霧」が漂っていた。
『参ったね、異変に関わる十分な理由が出来ちゃった・・・。』
なんであんな夢を見てフランに会えたのかはこの際もうどうでもいい。
異変の足手纏いになろうが知ったことか、私はフランと約束したんだ!
ミスティアとの特訓の間に作った数枚のスペルカードを持って私は外に出た。
「おはよう蒼、どうしたの?」
『うん、おはよう・・・ミスティア、この霧、どう思う?』
「んー少し気味が悪い、かな?」
『私、この霧を出している人の所に、心当たりがあるんだ。
だから少し、行ってくる、屋台の時間迄には帰って来るよ。』
「そうなんだ、気をつけてね蒼、行ってらっしゃい♪」
『うん、行ってくるよ、ミスティア。』
不気味な霧が前を阻むがもう止まれない、ミスティアに少し挨拶した後私は竹林を文字通り飛び出した。
フランとの約束を果たす為に。
いよいよ次回は原作開始です!