一話 オカリナと楽譜と夜雀
いよいよ幻想郷ライフのスタートです。
蒼side
意識が戻った時、私は森のなかで倒れていた、
「ここ・・・何処だろう?」
はっきりした意識で周囲を見渡すと竹、竹、竹、足元は草が生い茂る獣道、うん、竹林だね此処。
「さっき迄確かに部屋に居たのに・・・。」
記憶が確かなら私は部屋でパソコンで奇妙なページを見ていて、そして最後の辺りであの文字が光だして・・・。
<それでは空野 蒼様、幻想郷での善き第2の人生を。>
「・・・!?」
まさかと思い自分の身なりを見る、やはり着ている服はさっき迄私が着ていた服ではなく灰色で統一された服だった、しかも頭を抱えてみると帽子も被っていておまけにリュックまで背負っていた、しかしふと気になったことがある。
「この服、東方のにとりの服に似てない?」
色こそ違うが帽子も服もよく見るとまさにそれだ、あのゲームBGMがよくてよくオカリナで演奏していたからよく覚えている。
「そうだ!私のオカリナ!」
慌てて辺りを見渡すけど見つからなかった、だけど背中にリュックを背負っていたのを思い出して中を開けてみる。
「あった!」
色々なものが乱雑に詰まったリュックの一番上に置いてあった。
「?なんだろうこれ。」
オカリナがあったのは良かったけどその下に一枚の紙が敷かれるようにあった、なにが書いてあるのかと気になり読んでみると一枚の楽譜のようだった。
「そんなに難しくないし・・・吹いてみようかな?」
腰掛けるのに丁度いい岩があったし色々あって混乱した頭を冷やすのにもいいかと思い岩に腰掛けて覚えた楽譜の曲を吹き始めた。
「~♪~♪♪」
???side
「さて、今日も八ツ目鰻を釣りに行こうかなー♪」
いつもの日課の屋台の経営のために必要な釣りに行こうと家からいつもの川に向かう道、だけど今日は何時もと違っていた。
「あれ?笛の音が聴こえる?」
この竹林に人間が入って来るわけないし、でも笛を吹く妖怪なんてこの辺りにいたっけ?
「それにしても、綺麗な音色だな~♪」
歌を唄う身としては透き通るようなそしてどこか安らぐこの音色にどこか惹かれる感覚があった。
「少し遠回りだけど、気になるし見に行こうかな。」
妖怪か人間かは解らないけど、私は音を頼りにその音源を探し始めた。
side out
蒼は現在戸惑っていた、
オカリナの音色がいつもより調子が良いのは別にいい、しかし問題は今目の前の光景だ。
(な、なんでこの人が此処にいるの!?)
オカリナを吹き終わったら拍手が後ろから聞こえて振り返って見たらそこには本来なら出逢うはずのないその存在。
(やっぱり此処は私の知っている世界じゃなくて、そしてこの世界は・・・。)
その考えが頭に浮かんだ時に近づいて来た存在を確認した時にその考えは確信に至る。
その姿は人間の少女に見えるがその背中には人間にはあるはずのない鳥のような羽、鋭い爪。
空野 蒼が以前の世界で見たゲームのキャラ、夜雀の妖怪の
ミスティア・ローレライがそこにいた。
(この世界は、幻想郷なんだ・・・。)
蒼 side
「凄い演奏上手なんだね、私感動しちゃった!」
輝いた目で此方を見るミスティアさん。
手荷物を見るに屋台のための釣りに行く途中だったのかな?
とりあえず自己紹介しておこう。
『うん、ありがとう、私は蒼、空野 蒼だよ、あなたの名前を聞いてもいいかな。』
「蒼ね、うん、覚えたよ、私はミスティア、ミスティア・ローレライだよ、よろしくね蒼♪」
『うん、よろしく、ミスティアさん。』
「気軽に呼び捨てでいいよー私も蒼って呼びたいから。」
『そう、かな、解ったよ、ところでミスティアは釣りに行く途中だったのかな、釣り道具も持ってるし。』
「え?ああうん、そうだよ、屋台の八ツ目鰻を捕りに行くところだったの。」
『・・・私でよかったら手伝おうか?』
「いいの?」
『恥ずかしい話なんだけど今しがた此処に迷いこんじゃってどうすればいいのかわからないんだよね。』
「ああ、なるほど、外から来たのね、じゃあ私のよく行くポイントに行きながら私の知っている事教えてあげる。」
そのあと、ミスティアに幻想郷の事を教えて貰って解った事はつい最近スペルカードルールが発足したばかりで目立った異変は起きてない、つまり紅魔郷が始まる前に私は此処に来たようだ。
そして八ツ目鰻を獲る時に解った事だがどうやら私は着ている服だけではなく種族的にも河童になったようだ、潜った時に息継ぎ無しでも潜れたり目を開けて見れば眼球の上に薄く膜ができていた。
「蒼が手伝ってくれて助かったわ、私だけだったら数倍の時間が掛かったわよ。」
『役に立てて何よりだよ、さて、これからどうしようかな。』
リュックの中身は数着の着替えと今まで貯めた全財産がこちらの通貨に両替されしばらく暮らすのには不自由しなさそうだが問題は住む場所だ、まあ最悪野宿する事になっても別にいいけど。
「・・・ねえ、蒼って住むあてがないんだよね?」
『そうなんだよね、まあいざとなったらどこかで野宿でもしようかな。』
「じゃあさ、私の家の近くに少し古いけど小屋があるからそこに住んだらどう?」
ありがたい助け舟だ、断る理由も無い。
『ありがとう、ミスティアには感謝してもしきれないね。』
「そんな事ないよ、ねえ・・・もう一度聴かせてくれないかな、その笛・・・?」
『いいよ、じゃあもう一曲行くね!』
オカリナを構えて吹き始める、隣にミスティアが座って。
こうして、私の二度目の人(?)生がはじまった。
最初に出逢ったのはミスティアでした。
此処からどんどん増えて行く予定です。