ただしイケメンでも許されない
俺はイケメンである。いつからかと問われれば、生まれもってイケメンとしか答えられない。寝ても覚めてもイケメンで、鏡を眺めていると一時間くらい経っていることもある。逆ナンなぞは、週五である。義務教育の国語みたいな頻度だが、コレが冗談でもなんでもないから困る。女などを苦労して手に入れようとしている凡百の気持ちというのは俺には一生かかってもわからないだろう。こちとらパンツを履く必要性がわからなくなってきているのだ。
今日も街へ繰り出す。ヒモであるところの俺は、こうしてときどき新たな寄生主を探しにいかねばならないときがある。若者が多い場所はダメだ。ガキの身体が欲しいわけじゃない。俺が欲しいのは身体もさることながら、金だ。ある程度金のある女が集う場所。高級住宅街や、オフィス街。そういうところが俺のホットスポットである。そういうわけで、現地まで車で向かい、そこから徒歩で散策し始めた。入れ食いの釣堀みたいなものだ。五分と歩かずに良質物件に出会えることだろう。もうパンツをあらかじめ脱いでおこうか。
そうして散策を始めてすぐのこと。ふと。店のショーウィンドウに映った姿に、驚いて声を上げそうになった。とんでもないイケメンが映っている。何だ、こいつは。俺に勝るとも劣らないイケメンぶりだ。神が創ったとしか思えないほどの造形美。化け物か、コイツは。切れ長の目に、凛々しい輪郭、唇は薄く、それでいて……
「あ、ああ! 俺か」
再び歩き出す。と、踏み出した足は、後ろから掛かった声に止まる。
「あの、ちょっとよろしいですか?」
ほらきた。こんな調子だから、イケメンはやめられない。それにしても早い。車を降りて何歩あるいた? ってレベル。やはりパンツなんて要らなかった。振り返ると、紺色のピッチリした服に身を包む女性がいた。
「ちょっと署の方まで、任意同行という形をお願いしたいんですけど」
何かのゲームでナルシストキャラが居て、コイツがチンチン出して捕まらんかな、と思ってティンと。




