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小ネタ集  作者: ポンカス
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穴暮らしのハナゲッティ

 ハナゲッティは今日も、健やかに暮らしています。望月さんの鼻の穴、レフトの守備位置です。ハナゲッティが生えているのは、出入り口からはかなり奥まった場所。故意に抜くでもしない限り、なかなか見つかることはないでしょう。ハナゲッティたち、鼻毛の仕事は、望月さんの鼻の中の皮膚を守ること。そして、もう一つ忘れてはならないのは……

 ――いまです。

 ハナゲッティの仲間、一本の鼻毛が望月さんの鼻の穴から勢いよく飛び出しました。望月さんの鼻息にそよぐように自然に、まろびでます。友人の目は、突然鼻から毛を飛び出させた望月さんに釘付けです。

 そう、もうおわかりですね? ハナゲッティたちのもう一つの大事なお仕事は、望月さんを悪目立ちさせること。鼻息の流れに上手く乗り、飛び出し、嫌がらせ、もとい存在を相手に印象付けるのです。

 友人と別れ、トイレに入った望月さんはそこでしまったという顔をします。鏡で自分の姿を確認したのです。指で押し込まれ、鼻毛はすごすごと身を引きます。


 望月さんが女性とデートです。事前に出入り口付近の鼻毛は、鼻毛カッターで短く切られてしまいました。望月さんはこれで大丈夫と安心しきっていますが、こういうときこそ、ハナゲッティの出番です。普段は奥まった場所でとぐろを巻くようにして見つかりにくくしていますが、実際にハナゲッティの全長は巻いている部分を伸ばせば、ゆうに空気に触れることが出来る程です。

 五分前行動をむねとする望月さんより先に、女性は来ていました。社交辞令的な挨拶を済まし、いざ出発。

 ――いまです。

 巻いていたハナゲッティの体は大きく伸ばされ、直毛のようになります。ついでに絡み付いている小さな鼻くそも連れて行きます。大サービスです。鼻息に乗り、鼻くその重力も利用し、精一杯のびきったハナゲッティは鼻の穴を越し、外気に触れます。ハナゲッティ一世一代の晴れ舞台です。見れば、右の穴からも、ハナゲッティに追従するように鼻毛が飛び出しています。大盤振る舞いと言っていいでしょう。

 望月さんはデートの終わりに、相手の女性に正式に交際を申し込みましたが、断られました。


 それから一週間、ハナゲッティは自分の死期が近いことを知りました。どうにも毛根に力が入らず、しがみついているのが辛くなってきたのです。

 そこへ望月さんが指を突っ込み、鼻くそをほじり取ります。ハナゲッティに絡み付いていた鼻くそもまた取り出されてしまいました。ともに穴倉の中で育った仲だったので、ハナゲッティの胸中には寂寥があります。ですが、そんな感傷も、すぐに意味を成さなくなりました。

 望月さんが鼻くそを一掃して、満足顔で最後に鼻をかんだのです。もともと寿命の近かったハナゲッティ。さらに鼻くそをほじる過程で刺激され、弱っていました。そんなハナゲッティが強い風に耐えられるはずもなく、勢いよく抜け、ティッシュの上に屍を晒すことになります。

 ですが、ハナゲッティは大往生です。幾多も飛び出し、望月さんを苛立たせたハナゲッティの一生は、十分に胸を張れるものでした。

もういたしません。もうやらないから。誰も読んでないからって、やりたい放題だな。あんまり反省はしてないけどねー

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