異端戦争編 13話
スレイグとセレンの猛攻、そしてアイルの**『獅子王の咆哮』による魔法封殺。ゼラフィム軍の戦況は一方的に傾いていた。 そんな中、空高くから地上を見下ろすもう一人の巨影があった。神竜王ヴェロンが、その巨大な翼を広げ、全身に魔力を漲らせながら、<神業>**の準備を終えて待ち構えていたのだ。
ヴェロンが、戦場を統べるアイルに声をかける。 「おいッ、アイル! 準備ができたぞ、撃って良いか!?」 ヴェロンは、アイルの号令を静かに待つ。神獣化した十勇士たちの連携が、今、完璧に機能しようとしていた。アイルは、戦場の状況を瞬時に見極め、迷いなく指示を出す。 「今です、撃ってくださいーーーッ!」
アイルの言葉を受けたヴェロンが、その口から深淵なる力を解き放つ。神竜王の**<神業>、『撃滅天砲ヘルフレア』**が発動した。
天空に巨大な魔法陣が幾つも現れ、その中心から、まさに地獄の業火を思わせる無数の巨大な火の塊の弾が、地上のゼラフィム軍が張る布陣めがけて、容赦なく降り注いでいく。 ドオンッ! ゴオンッ! ドガァァンッ! 辺り一帯に、大地を揺るがすような轟音が鳴り響き、凄まじい爆炎が舞い上がった。逃げ惑うゼラフィム軍の兵士たちは、なすすべもなく、降り注ぐ炎の塊に次々と飲まれ、跡形もなく圧殺されていく。戦場は、一瞬にして地獄絵図へと変貌した。
戦場は、神獣化した十勇士たちの圧倒的な力によって、一方的な状況へと変わり果てていた。 神狼スレイグは、その**<神業>である幻影の力で、まさに敵陣を縦横無尽に駆け巡り、暴れまくっていた。彼の姿は無数の残像となって兵士たちを翻弄し、そのたびに鋭い爪と牙が敵の体を切り裂いていく。兵士たちは、どこに本物がいるのかもわからず、ただ恐怖に叫びながら倒れていった。 一方、神竜王ヴェロンは、先ほど放った『撃滅天砲ヘルフレア』**の反動で、大きく息を整えていた。彼の巨大な体からは湯気が立ち上り、大量の魔力を消費したため、しばらくは動けない状態だ。その隙を、他の勇士たちが補うように戦場を蹂躙する。
そして、その戦場の中心で、光の麒麟オルダが一人静かに佇んでいた。彼の周囲には、まるで深淵から湧き出るかのような異様な空気と、張り詰めた殺気がじわりと広がっていく。寡黙な彼の内に秘められた、計り知れない力が解放されようとしていた。 オルダが、静かにその口を開く。 「……<神業>、『光玉崩塵』」
彼の傍らに、ぽぉ~うッと、怪しげに光を放つ大きな光の弾が二つ、生成された。それはゆっくりと輝きを増し、徐々に光が強く、そしてはっきりと、眩く光り始めたその瞬間――。 「パァァンッ!」 眩い光と共に弾けるやいなや、その光は無数の塵となってゼラフィム軍へと襲いかかった。ゼラフィム軍の兵士たちは、キラキラとチラチラと舞い落ちる光の塵に巻き込まれたと思った次の瞬間、彼らの体に激痛が走る。その美しい光の塵は、見るも無残に、まるで鋭利な刃のように敵兵を切り刻んでいくのだった。全身を刻まれた兵士たちが、血飛沫を上げながら次々と倒れ伏していく。




