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異端戦争編 11話

神獣しんじゅうの姿へと変貌した十勇士たち。


**神狼しんろう**と化したスレイグが、口元を歪めてニヤリと笑った。


「久しぶりだぜ、この姿になるのは。血祭り開始だな、おい!」


巨大な**白鯨はくげい**の姿を得た「海帝」レヴィルは、深く息を吐き出す。


「ふぅ~……力がみなぎるわい。これなら少々手荒にやっても問題ないじゃろう」


漆黒の体から光を放つ**麒麟きりん**となったオルダは、無言で悠然とたたずむ。


その静かな存在感は、かえって畏怖を抱かせる。


堂々たる**虎神こしん**の姿へと変貌した「無頼」アグロヴァルは、その巨躯を見下ろして唸った。


「見てくれは良くないが、これはこれで良し。存分に暴れてやる」


威風堂々とした**聖壮巨鹿せいそうきょろく**となったガレスベルクは、静かに語る。


「確かにこの姿はいただけないですが、ライナ様が喜んでいただけるのであれば致し方なしですね」


空を舞う翼を持つ一角獣ユニコーン、つまりはペガサスとユニコーンが融合したかのような姿に変身した「戦王」スランが、不満げに叫んだ。


「みんなはまだいいぜ! 俺なんかペガサスとユニコーンだぜぇ~……。俺、一応荒くれ者の戦王の二つ名を持ってんだぜぇ~!」 これにライナが、無邪気に首を傾げて答える。 「いいじゃないの! 可愛いじゃないの!」 「うわぁ~~ん!」 聖女の一言に、スランは文字通り形無しである。


「まあまあ、私なんか乙女なのにグリフォンですし……」 苦笑しながら声をかけたのは、天翼鷲騎てんよくしゅうきグリフォンの姿となったセレンだった。


彼女の言葉に、ライナがハッと目を見開く。 「えッ、ごめん! もしかして嫌だった!?」 セレンは慌てて手を振り、いつもの淑女の振る舞いを装う。 「いえいえ、そんなことはございませんわよ。オホホッ……!」


一連のやり取りを、どこか達観した目で見つめていた**神竜王しんりゅうおう**のヴェロンが、静かに呟いた。


「ワシは元に戻っただけじゃの」


そして、一際まばゆい金色の光を放つ獅子王となったアイルが、仲間たちを見回し、満面の笑みで呼びかけた。


「みんなッ! 決まってるね! カッコイイよッ!」 「お前はどっか抜けてんだよなぁ~」 スランが呆れたように言うと、アイルは「エヘッ!」と頭をかいた。


その瞬間、スレイグが雄叫びを上げて咆哮した。 「さあ、始めようぜ、血祭りをよぉーーーッ!」 だが、ライナは可愛らしい声で、しかし明確な指示を出す。 「みんな、できるだけ殺さないで、痛めつけるだけでお願い!」


聖女の言葉に、神獣化した勇士たちはそれぞれの表情を浮かべた。 「我らが聖女さまの願い事だぁ~!」とスランが叫び、 「しょうがないのぉ~」とレヴィルが嘆息する。 「フンッ。殺す価値も無い」アグロヴァルはそう言い放ちながらも、その瞳には従順な光が宿っていた。


金色の獅子王アイルが、その場に響き渡る声で号令をかける。 「一気呵成に全体攻撃をかけて、敵軍の士気をくじくんだッ! 神獣の力を全解放せよーーーッ! いくぞーーーッ! かかれぇーーーッ!」 彼の号令とともに、神獣と化した十勇士たちが、再び戦場へと飛び出していく。


「おのれぇ~……ッ!人外どもがぁ~ッ!」 四聖帝の一人、「盲信」のキアンが、その眼差しを怒りに震わせながら呟いた。


アイルの号令が響くや否や、神狼しんろうと化したスレイグは、先ほど受けた毒による屈辱的な借りを返すべく、**五家領ごかれいの一人、ふじ一刀斎いっとうさい**に牙を向けた。その巨体からは想像もつかないほどの速度で、スレイグは一刀斎へと肉薄する。 「むうッ――! 何という速さだッ!」(厄介だぞ、これは……!) 一刀斎は驚愕に目を見開き、スレイグの動きを追う。


スレイグは低く唸る。「ガルルルルルッ! 逃げてばっかりじゃ、戦いになんねぇぞぉーーーッ!」 彼の挑S発に、一刀斎は顔を歪める。 「仕方なし……『必殺の間合い』、『天領てんりょう』!」 一刀斎がそう言い放つと、彼の周囲に円形の陣が浮かび上がった。「この円の中に入れば、何人たりとも我が刃からは絶対に逃れられぬ……! さあかかって来い、ワン公がッ!」


一刀斎の見え透いた挑発だったが、スレイグは構わず、迷いなくその円陣へと突っ込んでいく。一刀斎はニヤリと嘲笑した。(馬鹿が……ッ!) スレイグが「天領」と呼ばれる円陣に入ったその瞬間、無数の毒の刃が、あらゆる角度から容赦なく飛来した。 「とらえたぁーーーッ!」 一刀斎が勝利を確信した叫びを上げた、その刹那――。


スレイグの巨大な身体は、まるで影のように揺らいで消えた。 「なにぃ~~ッ!?」 驚愕に顔を歪める一刀斎。その時、彼の背後から、神狼の鋭い牙が襲いかかった。


避けようとする間もなく、強靭な顎が閃き、一刀斎の右腕を無情に喰らいちぎった。


激痛に顔を歪めながら、せめて一太刀でもと残った左手で刀を振りかざしたが、またしてもスレイグの幻影が揺らぐ。虚しく空を斬るだけだった。神獣化したスレイグの力は、一刀斎の想像をはるかに超えていたのだ。

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