不機嫌なヒロインⅡ~少女マンガ編
こんにちは、こんばんは。
すっかり低調がデフォルトのかわかみれいです。
いえその、健康方面は変わりありませんから元気は元気です、創作方面だけがずっと低調なだけで(苦笑)。
まあそれでも、ようやく涼しくなってきて少しは低調を脱しそうな感じになってきましたので(子供のころから暑いのがダメなのです)、リハビリがわりにお気楽かつ創作方面にかかわりのある(かもしれない)エッセイでも書こうかな、などと思うようになりました。
そこでふと浮かんだのが、ずいぶん前に書いた『不機嫌なヒロイン』(https://ncode.syosetu.com/n7817hk/)というタイトルのおしゃべりエッセイ。
子供の頃、たまたま見たとあるテレビドラマについてのおしゃべりになります。
そのドラマのあらすじを簡単にまとめると。
仕事や生活は並み以上にきちんとしている、おそらくはアラサーの、都会で一人暮らしをしている美しいヒロイン。
ただ彼女は、いつも鬱陶しい不機嫌そうな顔をしている。
この年頃で未婚なのは時代のせいもあって(私が小学生の頃に放映されていましたから、バリバリ昭和です)なにかと風当たりが強く、彼女自身もそんな自分の状況を無意識で恥じている様子。
そんなある日、彼女は、ひょんなことからヒッピーまがいの美しい青年と出会い、主に青年に執着されるような形で流されるように懇ろになる。
だけど彼との仲を続けるつもりはない、彼女。
彼女は、自分を鬱陶しくさせている両親(に、代表される世間)を気にし、自由奔放な青年に惹かれながらも、断ち切るように彼と別れる……であろうことを匂わせ、END。
彼女の顔は徹頭徹尾、不機嫌な鬱陶しい顔のままでドラマは幕を閉じます。
誰にとってもわかりやすい名作ではないでしょうし、私が個人的に大好きな作品とも言い切れないのに、記憶の隅に棘が刺さったように残っている、不思議な作品です。
そういうのって、他にもいくつかあったよな。
私はある日、ふと思いました。
そのうちのひとつをテーマに今回、書いてみようかと思います。
それは多分ですが、私が小学校高学年から中学生くらいの頃。
歯医者の待合室か同級生の誰かに借りて読んだか、そんな感じで接したとある少女漫画のコミックスの、おそらくは巻末に、おまけのように収録されていた短編読み切り作品だった、ような記憶があります。
あらすじは以下のような感じ。
女子高生のヒロインA子ちゃんは、学校中の女子のあこがれの的である完璧超人(顔ヨシ・頭ヨシ・スポーツ万能のクラス委員長)なクラスメート・B君のことが好き。
だけど、かわいい顔立ちながら内気というか勇気を持てない彼女は、彼を遠くからじっと見つめている(というか、眉間にしわが寄るような雰囲気でジトッとにらんでいる、ようにしか見えない。絵としてもそんな雰囲気で描かれていたし、A子の友人たちもそう彼女を揶揄している)だけ。
さて。
完璧超人Bにはいつもそばに、明るくて気のいい親友・C君がいた。
A子がジトッと見つめる先には、もれなくCもいるという状況のせいで、Cは『俺、A子ちゃんに見つめられてる?』と勘違い。A子に好かれていると思い込んだCは舞い上がり、A子にお付き合いを申し込む。
A子は困惑するが、Cに付き添って告白の場にいるのにしらッと明後日の方向を見ているBの態度にムラムラと腹を立て、その場でお付き合いをOKする。
喜ぶC。微妙な表情のB。
実はB、A子の視線は自分へ向かっていたことを知っていて、それが満更でもなかったというか、ぶっちゃけ彼女が好きだった、と。
今まで女の子から好かれるばっかりで、自分から好きになったことのないB、どうしていいのかわからずソコソコこじらせていた様子。
まあでも、Cが嬉しそうにしてるので、親友のために自分の気持ちは封印しようと決めるB。
が、Cから色々と惚気られ(遊園地デートをしたとか深夜まで長電話したとか)、BのイライラはMAXへ。
ある時、ひょんなきっかけでA子と二人きりになる機会があり、『今更だけど、俺はA子ちゃんが好きだった』と告白するB。
驚愕するA子、Bが踵を返そうとしたその時。
『待って。私もホントはB君が好き!』
と言っちゃうA子。
C君は明るくて誠実でいい人だけど、A子の心を縛るのはやはりB。
Cとお付き合いしても、そこは変わらなかったA子。
互いの気持ちを確認しあった二人は、学校近くの喫茶店(カフェとかバーガーショップとかじゃないのが昭和ですね)で、Cにすべてを打ち明け、謝罪する。
『ハハ、俺、完全にピエロだよな』
泣き笑いの表情でそう言いつつもCは、きっぱり身を引くと言明。
そのまま独りで喫茶店を出たものの、Cはこらえきれなくなり、思わず『バカヤロウ!』と叫び、その場から走り去る。
店内に残ったおバカで罪作り(これは筆者の、今の個人的意見)な新カップルは、『C、ごめん。すまない』『C君、ホントにごめんなさい』と、涙ぐんで……END。
そういうお話でした。
おそらくは一度、さらっと読んだだけの作品でしたが。
妙に印象に残っています。
何といいますか……まずは。
少女漫画のテンプレを、踏襲しつつも外している流れに、私は引っ掛かりました。
登場人物たちの行動が変にリアルで、残酷でわがままで、だけどこういう心の流れになるだろうなー、と、碌に初恋も経験していない11~12歳くらいの少女でも『わかってしまう』。
『わかってしまう』けど『許しがたい』、イヤーな流れ。
そこが心に刺さりました。
だってさー、C君メッチャ可哀想やん。
A子の視線を自分向けだと、誤解するのはお花畑だけど。
恋に恋する思春期青少年なら、まあ、ありがちな誤解だと思います。
(と、おばちゃんになってから思う私。当時はひたすら、C君が可哀想だったものです)
彼の罪?は、友人へ向けられていたA子の恋の視線を、自分へ向けたものだと誤解したことだけ。
きっかけはそれだったといえ、彼はA子を本当に好きになったでしょうし、お付き合い中も一生懸命エスコートする、素敵なボーイフレンドだったと思います。
A子もそこは認めていたし、『C君、いい人』と思っていた様子。
『いい人』は得てして『好きな人』にならないのが恋というヤツかもしれませんが、それでも彼女、決してCに悪印象を抱いていません。
これ……普通の少女漫画なら。
A子は、格好ばかりつけているこじらせB君より、ちょいとおっちょこちょいながら、真っ直ぐで誠実なC君の良さに目覚め、仮に後からBに告白されても『ごめんなさい』と言ったことでしょう。
『私はC君が好き』
『確かに最初はB君が好きだったけど、今はC君が好き』
そう言ってきっぱり、Bを振ったでしょう。
彼女に振られ、こじらせBも少し大人になる――内心、ちょっと低く見ていたCという友人の偉大さを素直に認める――、というENDになったのではないかと思うのです。
ラストのコマは、心から楽しそうに笑う彼女とC、二人をやや切なそうに見つめ、心の中で『お幸せに』とつぶやくB……とでもいう感じではないかと。
その方が読者も素直にカタルシスを得られ、安心して読了出来る気がします。
安心して読了出来るでしょうが……少なくとも私は。
さほど印象に残らず、読み流してしまっていた、気がします。
だから、しつこく覚えていることもなかったと思います。
ところどころ不快に引っ掛かる、不協和音交じりのお話だったからこそ。
今まで覚えているのだろうと。
眉間にしわの寄ったような顔でヒーローを見つめていた(にらんでいた)ヒロインは、ラストまで明るい笑顔を見せることなく、最後はなんとか恋する人を手に入れながらも罪悪感にまみれ、涙ぐんでエンディングを迎えます。
肝心のヒーローも、70年代の少女漫画によく出てくる学園の王子様そのもののスペックを持ちながら、どこか小狡い、結果的に最悪の形で友達を裏切る男として描写されています。
当て馬役を演じさせられたヒーローの親友は、この後、すさまじい人間不信に陥ったのではないでしょうか?
親友だと思っていた男から、実は前々からお前のガールフレンドが好きだったと告白され、当のガールフレンドからも、本当に好きだったのは実はアンタじゃなかったのごめんね、と言われるなんて、何処へ怒りを持っていっていいのやら。
その後の彼のメンタルが心配になります。
何とも後味の悪い、だけど青春の闇――あるいは黄昏時のような薄暗がり――を巧く描写している小品だったとも、私は思います。
さて。
いきなり話は飛びますが。
拙作『君が誰を好きだとしても、俺は君だけのナイトでありたい』(https://ncode.syosetu.com/n5681ip/)の話を少々。
これは、ひとりの少年の無私で一途な、だけど報われない初恋を描いた話です。
彼の初恋が報われない、ことは、ストーリーを思いついた時から決まっていましたが。
お話が半分を過ぎた頃から、私の中で迷いがあったことを告白します、今更ですが。
この話の主人公・田中祥平くんの一途でどこまでも真っ直ぐな思いに、書きながら作者としても、どうにかして報われてほしくなってきたのです。
ラスト、ヒロインの尊子に『やっと気づいた、アタシが好きなのはショーヘイだよ!』と言わせても良かった、のです。
まあ、そのラストへ至るまでのヒロインの心理描写を、もう少し微調整した方がもっと流れは良くなるでしょうが。
仮にそのままであったとしても、ハッピーなラストでもイケるお話だったと思わなくありません。
むしろその方が、読者としても素直にカタルシスを得られるのではないかな、と。
でも私は、祥平君に涙を呑んでもらいました。
このお話は、仮にハッピーエンドを迎えるにしても、二人共アラサーくらいになって(お互いソコソコ恋やらなんやら経験して)改めて出会い直した方が、上手くいくような気がするのです、何故か。
相性は決して悪くないけれど出会うタイミングが早すぎた、そういう二人のような気がします。
いえ、単に私がそう思うだけですが。
でも私は私の作品の神……創造主であります(笑)。
神とゆーのは理不尽なものなのです。
(いやその、ごめんなさい、祥平くん)
冗談はともかく。
素直じゃないストーリーラインの、心にざらっとしたものが残るお話というのは、あまり好まれない傾向はあるでしょうが。
心の隅に引っ掛かり続ける、そういうものになる可能性はあるでしょうね。
多くて100作品中1~2作品程度、でいいでしょうけど。
たまにそういう作品が読みたいです、私は。
それこそ、今のところAIには書けない、人間ならではの作品ではないかとも思います。
どう思われますか?




