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あーかい部! 18話 雨降り

ここは県内でも有名な部活動強豪校、私立池図女学院。


そんな学院の会議室、現場……いや、部室棟の片隅で日々事件は起こる。



3度の飯より官能小説!池図女学院1年、赤井ひいろ!


趣味はケータイ小説、特筆事項特になし!

同じく1年、青野あさぎ!


面白そうだからなんとなく加入!同じく1年、黄山きはだ!


独り身万歳!自由を謳歌!養護教諭2年生(?)、白久澄河(しろひさすみか)



そんなうら若き乙女の干物4人は、今日も活動実績(アーカイブ)を作るべく、部室に集い小説投稿サイトという名の電子の海へ日常を垂れ流すのであった……。

池図女学院部室棟、あーかい部部室。


午後から雨が降り出したせいか、部室棟は静まり返っている。




「今日は白ちゃん来るかなぁ?」


「雨だし保健室にいるんじゃない?」


「グラウンドが使えないと負傷者とか来ないだろうしな。」




あさぎ、ひいろ、きはだの3人の声がいつにもまして静かな部室に響いていた。




「雨だとなんだか、気分が沈むよな……。」


「そう?私はワクワクするけど。」


「あさぎちゃんって台風のときテンション上がるタイプ〜?」


「休みにならない学校に憤るタイプ。」


「前日までに休みかどうか決めておけば良いのにな。」


「我々、日和見体質な民族だからねぇ〜。」


「なんなら今日も午後休みたかった。」


「保健室行けば良かったじゃん?」


「それは白ちゃん先生に迷惑だからダメ。」


「真面目だねぇ。」


「ねえ、ひいろ。」


「ん?なんだ。」


「その髪をクシクシするの、やって良い?」


「別に構わないが……そんなに楽しいものでもないぞ?」




あさぎはひいろから借りた櫛で暴れる髪をクシクシし始めた。




「じゃあわたしも〜。」




きはだも自前の櫛で混ざった。




「なんだか、すまないな。」


「え?いいよ楽しくてやってるから。」


「そうなのか……。」


「ひいろちゃんの髪って、湿気るとアニメのキャラクターみたいになるよねぇ。」


「シルエットで誰かわかっちゃうヤツなあ。」


「だから雨は嫌なんだ……。」


「じゃあ縛っちゃえばいいのに。」


「ご、ゴムを忘れてしまってな……。」


「うっそだぁ。キメッキメの髪型にすると怖がられるの気にしてるって、知ってるよぉ?」


「それは……いいだろ別に///」


「ポニテやお団子も似合いそうだけどなぁ……。」


「いや、似合いはすると思うぞ?少なくとも今よりはな。」


「超能力とか使えそうでカッコいい。」


「……ちょうどサイキック握力を試してみようかと思ってたんだ。きはだの顔面で良いか?」


「すみませんでした。」


「そうだよきはだ。ひいろはカッコいいよりも可愛いって言われたいんだから。」


「そんなことないっ///……それより、雨について話すんだろう?早く部活を始めるぞ。」


「はぁ〜い。」


「……って言っても、『雨』って結構漠然としてるよね。雨の思い出とか話してく?」


「そうだな。ワタシは髪のことで散々弄られたから、あさぎかきはだ頼む。」


「雨か……。最近のでも良い?」


「良いよぉ。」




一呼吸置いてあさぎが語り始めた。




「この間にも雨が降った日あったじゃん?その時のことなんだけど、


「その日は部活なかったな。」


「今週だねぇ……。」


「ちょうど家に着いた頃くらいに雷も鳴っててさ。家のドアを開けようと思ったら、隣の部屋から悲鳴が聞こえてきたんだよね。」


「も、もしかして怪談か……?」


「慌てて隣の部屋のドアを叩いたんだ。スマホもコールボタン1つで110番呼べるように準備してさ。」


「慌ててる割に冷静だねぇ。」


「強盗かもしれないし、通報できるようにしておくのはいいんじゃないか?」


「そしたら中からお隣さんがバスタオル1枚で出てきて


「えっっ

「ひいろちゃん、『待て』。」


「まあ……押したよね。」


「押すな押すな。」


「ポリスメンしたのか……。」


「話を聞いたらさ、シャワー中に雷でブレーカーが落ちて慌てふためいてたみたい。」


「う〜ん、あるある……。」


「引っ越して間もなくてブレーカーの場所覚えてなかったみたいでさ、お隣で間取りがわかるから私がブレーカーを戻したんだよ。」


「お隣って間取り同じものなのか?」


「普通は違うの?」


「さあ?」


「……まあいいや。ブレーカーも戻ったことでお菓子をご馳走になってたんだけど、


「流れるようにくつろいでるな。」


「少ししたらまたドアをドンドン叩く音がしたんだよ。」


「嘘だろ……やっぱり怪談


「2人で恐る恐るドアを開けたら、目の前には……ずぶ濡れのお巡りさんが立ってたんだ。」


「ポリスメンしたもんねぇ。」


「その時はすっかりスマホのこと忘れててさ、そりゃあ2人で慌てふためいたよね。」


「後ろ暗いことがないなら堂々としていろよ……。」


「ま〜あポリスメン(後ろ暗いこと)したからね。」


「そのお巡りさんが通話の内容聞いててなんとなく事情をわかってたみたいでさ、一応ってことで来てくれたみたいなんだよね。」


「優しいなぁ。」


「お巡りさんが優しい人じゃなかったら虚偽の通報でしょっぴかれてたと思うと……ああ恐ろしい。」


「そういう方向で怖い話か……。」


「というわけで私の話はおしまい。」


「そんなことがあったら、まあ仲良くなるのも納得だな。」


「……なんかもうあさぎちゃんの話で一本書けそうだねぇ。」


「そうだな。」


「思い出とはまた違う感じになっちゃったけどね……。」


「雨、止んだな。」








あーかい部!(4)




きはだ:とう子ぉ!!


あさぎ:誰だよ


白ちゃん:とう子ぉ……あ、投稿!


きはだ:えへへ


ひいろ:このノリ続けるのか


白ちゃん:今日は3人で何のお話してたの?


あさぎ:雨です


白ちゃん:最近あんまり雨降ってなかったもんね

白ちゃん:最後に振ったのって半月前くらい?


きはだ:その時のエピソード

あさぎ:どんぶり勘定だなぁ


白ちゃん:じゃあ早速読んでくるわね!




白ちゃん:あんまりお巡りさんに迷惑にかけちゃダメよ?


あさぎ:お菓子めっちゃ美味しそうに食べてました


きはだ:収賄で草ァ!


白ちゃん:それ不味くない?


あさぎ:もしかしてダメでした?


ひいろ:まあバレなければいいんじゃないか……?


あさぎ:だよね、お隣さんも『ポリスメンは金と菓子で楽勝♪』って言ってましたし


白ちゃん:うわぁ……


きはだ:お巡りさん可愛かった?


あさぎ:もっと愛でたかった


ひいろ:お隣さんに夢見すぎとか言ってた癖に……羨ましい奴め


白ちゃん:お巡りさんはお隣さんじゃなくない?


きはだ:惜しいけどねぇ


白ちゃん:惜しい?


あさぎ:2文字違いかぁ


白ちゃん:そういう……


ひいろ:小さかったか?


あさぎ:小さいながらも確かな質量がそこに


ひいろ:えっっ


きはだ:見境ないねぇな


ひいろ:違うぞ!?これはあさぎの罠だ!


あさぎ:計画通り……!


白ちゃん:あさぎちゃんの周りは楽しそうで羨ましいわね


あさぎ:白ちゃん先生はご近所さんとあんまり合わないんでしたっけ


白ちゃん:あんまりというか全く、ね


きはだ:ドアドンドンしてポリスメンすれば仲良くなれるかも


白ちゃん:それこそしょっ引かれるわ!?

ひいろ:よしっ!


きはだ:『よしっ!』じゃないんだよどこ行くつもりだ一軒家


あさぎ:どうしようポリスメンしなきゃ


きはだ:1

白ちゃん:1

ひいろ:9

あさぎ:0


あさぎ:しまった!?


白ちゃん:救急車来ちゃうじゃない


きはだ:いやもうそのままいっぺん頭診てもらおう


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