イースターエッグ
私は順調に独自の文化を発展させていくエイダを見守りながら、守護聖人達と楽しく過ごした。
目覚めて、エイダの進捗を確認し、今日はどこで過ごすか決めて、行った先で現れた守護聖人と仲良くお話をする。それから次にやっておいて欲しいことをお願いして、リソースを割り当てる。
最近はスリープに入る前に、イースターエッグを一つ隠す遊びがお気に入りだ。その日会った守護聖人と一緒に決めたプレゼントを大陸のどこかに隠す。スリープ明けにエイダの誰かがそれを発見したかどうか、発見した者はその後どうしたかを観るのは、ワクワクする。
イースターエッグは、別に卵型の容器に入った小物ではなくて、その時々で全然違う何かだ。大きな純度の高い鉄鉱石だったり、水晶の洞窟だったり、思いがけない場所の甘露な湧水だったり……単なる絶景の風穴ということもある。
周囲の茂みから滴った珍しくて有用な樹液が冷たい水底に溜まり続けた淵なんていう凝ったネタは、仕込んだもののなかなか発見者が出ず、そうこうするうちに茂みの方は枯れてなくなって、そこにそんなお宝が眠っているなんてすっかりわからなくなった上に、大型の獰猛な水生生物までが淵に住み着いて、なんとも面白い状態になってしまった。
あまりに見つからないので、緑が、せっかく仕込んだのに誰も発見しないのは面白くないと言って駄々をこね始めた。見かねた夢がこっそり弱いビジョンでヒントをばらまいてくれたらしい。
たまたま感応してしまったエイダが、これは伝説の天啓に違いないと早合点した。誰も知らぬ淵に棲む怪物を倒せなんていうのは無茶なクエストだが、なんとそいつは闇雲に旅立ってしまった。その額に白い斑がある大柄な個体は、同じ夢を見た仲間と出会い、協力して困難を乗り越えていった。彼らのたどる冒険の旅は、まさに英雄譚と言うにふさわしかった。そして長い旅路の果てに、ついに彼らはくだんの淵を見つけ出した。
「ついに今日、到着だよ!」
一緒に見ようとわざわざスリープ中の私を起こしに来たマルクルに急かされながら展望室に行くと、呆れたことにほとんどの守護聖人が集まっていた。みんな暇か。いやこういうの私も好きだけどね。私達は皆でワクワクと"英雄"の怪物退治を観戦した。
「ところで、彼ら……あの水底の生物資源の利用方法、知っているんでしょうか?」
「どうだろう?仲間に賢そうなのが一人いなかった?」
「どうでしょうねぇ。この地方の固有種の素材ですし、伝統工芸技術はこの辺りでも一度途絶えていますから」
「その分、ちゃんと加工できたら高価なレア素材なんだけどなー」
私達が固唾をのんで見守る中、額に白い星を頂いた英雄とその仲間たちは、見事に怪物を倒し……怪物の歯と鱗を手に入れて喜んで帰っていった。
「ちっがーう!!」
マルクルの絶叫に、一同は大いに笑った。




