追加キャラ上等!ただしキャラ設定にはもの申したい
好感度が十分に高まったおかげだろうか、計画立案中の私に、ルヴァンが新しい守護聖人を紹介してくれた。
「アンジー様、地中の鉱物資源の分布とその活用に関する知見をお求めでしたら、私より詳しいものがおりますので、ご紹介しましょうか?」
ただし、性格にやや難があるので、付き合い方は難しいかも知れないという。
おっしゃ上等!追加キャラどんとこい。
「私からも、一人、植生や生き物全般に詳しいものをご紹介できますが、あの子もいささかムラ気で子供すぎるので、きちんとアンジー様にお仕えできるかは不安です」
なるほど。より専門的な操作を行うには、難易度の高い好感度攻略が必要だということか。やってやろうじゃないか。
こうして新たに紹介されたのがツンツンの銀髪のパンクな兄ちゃんと、男の娘っぽい美少年だった。
早速命名して第一印象をメモる。
鋼のゼフィル :口が悪いツンデレ不良。
緑のマルクル:陽気なお子様。腹黒か?
ちょろい。コレなら扱い方は簡単だ。
私は大いなる母性と忍耐力を動員して、新入り守護聖人をおだてて、挑発して、ご機嫌をとって、お願いを聞いてもらった。
§§§
「どうしたの?アンジー。浮かない顔だね」
「ランサー。あなたこそどうしたの?」
展望室で眼下の惑星を眺めていた私は、風の守護聖人の急な訪問に驚いた。基本的に守護聖人はこの飛空城の定められた自分のエリアに居る。呼び出してもいないのに、私のいる場所にやってくるのは珍しい。
「最近、根を詰めているようだからちょっと気になってさ」
さすが風の守護聖人、空気読むな、コイツ。ここは素直に流れに乗って相談することにした。
「大陸中央の平地なんだけどね。やや深い位置だけれど鉱物資源もあるし、いいところなのよ。でも活用するにはちょっと乾燥し過ぎで水が足りなくて……。この辺りに湖の一つでもあれば、なんとかなりそうってリューズは言ってくれてるんだけど」
手元の地図を見ながら眉を寄せた私の顔を覗き込んで、ランサーはフッと微笑んだ。
「対策は思いついているけれど、実行する勇気がないんだね」
「気候への影響のシミュレーションがいまいち難しくて、成功するか自信が持てないの」
「風を読むことなら任せてよ」
私は自信と希望に溢れた彼の目を見返した。なるほど。たしかに彼は風の守護聖人だ。
「では、ここにコレぐらいの大きさの氷隕石を落とした場合に起こる事象のシミュレーションを、その後の気候変動も含めてお願いしてもいいかしら?」
「え……えーっと、地や水が協力してくれるなら……」
「鋼も協力させるわ。彼も一見粗暴っぽいけれど、あれで結構細かいところに気がつくし優秀なイイコなのよ」
「そ、そうなんだ」
ライバルの大陸にまで深刻な影響が及ぶほどの大規模な惑星改造は禁じ手なので、落とす氷塊のサイズは慎重に計算させた。惑星全域には影響しないが、そこそこいい感じのクレーターを形成して、深めの位置の地下資源を露出させ、湖を形成させるための、質量、落下角度、個数。
生じる熱と衝撃波の計算に火も呼んで、総力戦で構築したプランの初稿ができあがったところで、守護聖人達は私に、上位守護聖人二人の存在を明かした。このレベルの大規模なプランは彼らの承認がいるらしい。
いつもの大広間で引き合わされたのは、金髪巻き毛の華麗な白皙の美丈夫と、長い黒髪の陰のある美形だった。二人とも長身で肩幅が広い。無駄にズルズル裾の長いドレープ多めのコスチュームだ。守護聖人はイケメン揃いだが、この二人は顔の良さがカリスマ方向に振られていて凄みがある。どちらもパッと見でプライド高そうな感じである。うわ、めんどくさい。
光のシリウス:規律。厳格。派手。
闇のクラウス:寡黙。冷徹。根暗。
「惑星外からの物資の持ち込みは許容できない」
シリウスはいかにも正義と規範の執行者という面持ちでピシャリと言った。
凄い。大天使様感があるわー。
「だったら、惑星内の物質なら問題ないんですね」
私は二人の上位守護聖人から、自分が取りうる手段を聞き出した。この世界でのテクノロジーが提供する"手段"は、転生前知識からすると、ほぼインチキ魔法クラスなので、十分に私の思いつきを実現できた。
極地の氷を一旦軌道上にまで持ち上げて、その後、任意の角度と速度で撃ち込むって、コレは未開の荒野がターゲットだからできる荒技だよねー。
§§§
暖かい密林で、重なった枝葉の奥行きを立体視できる目と枝や果実を握れる器用な手を発達させたその獣達は、星が降った夜のあと、次第に植相が変わり始めた森から出て、消えた河を求めて平原へとその生活の場を広げていった。
「失楽園作戦成功ね」
何度目かのスリープから目覚めて、進行状況を確認した私は、緑の守護聖人マルクルの頭をグリグリ撫でた。
「偉いぞー、マルクル。シミュレーションどおり荒地の草原化に成功してるじゃん」
「えへへ。マーカスお兄ちゃんが、シリウス様の許可を取ってくれてね。アンジーの言っていたとおりに飛空城からのレーザー照射で荒野に等間隔で浅い穴を作ってくれたんだ」
保水力のない荒野にできた凹凸は、降った水がすべて流れてしまうのを防ぎ、草などの生育スポットとなった。雨季のあとを中心に繁茂し始めた草や低木には、昆虫や小動物がやって来て、それらを餌とする小型の獣も現れた。
エイダと名付けた私の担当種族は中型の雑食動物なので、その狩り場としては、用意したこの草原はなかなか良いところだろう。
「採取生活も重要なんだけれど、草原での狩猟ってのも農耕に入る前にちょっとは経験させておいたほうがいいからね」
チームワークが必要な集団での狩りは、コミュニケーション能力と、ああすればこうなるという未来予測能力……想像力があると有利になる。そういう能力に秀でた個体が生き残る生存バイアスは将来の発展のために早めに掛けておきたい。
私は少し離れたところで気楽にくつろいでいる風のランサーに視線を向けた。
「ありがとう、ランサー」
「どういたしまして、アンジー。でも、それは何に対しての感謝だい?」
「あなたでしょう?エイダ達に草原に出るだなんてことを思い切らせたのは」
風の守護聖人である彼は、冒険心やチャレンジ精神も司っている。担当種族への精神干渉がどの程度可能なのかはわからないが、フロンティアへの進出がこれほど早く起きているのはランサーの功績だろう。
「重大な精神干渉はクラウス様の許可なしには行えない決まりだ。僕が何かできたとしたら、ふと思い立たせたり、ちょっとした気の迷いの背中を押したりする程度だから」
「先駆者となる者のその一瞬の気の迷いを、人は勇気って言うのよ」
「いつも勇気をありがとう」と笑顔で改めて礼を言うと、ランサーは少し困ったように「君はいささか思い切りが良すぎるけどね」と口では言いつつ、照れ笑いを浮かべた。
うん。爽やかイケメンのこういう顔はやる気出るわ。
私はそこで、ふとあることに気づいた。
「ねぇ、重大な精神干渉は闇の許可がいるということは、逆に言うと、クラウスの許可が得られれば、強い精神干渉を行う手段があるということなのね?」
その場にいた守護聖人達は互いに顔を見合わせた。
「あるにはあるけどよー」
最近、あまり粗暴な振る舞いはせず皆がいる場所にも顔を出すようになった鋼のゼフィルが、辟易とした口調で「アイツはやめとけ」と言った。
「アイツっていうことは、まだもう一人、守護聖人がいるのね?全部で何人なのよ。その人が最後?」
「はい。そのとおりです、アンジー様。九人目の……最後の守護聖人がおります」
私が尋ねたことには可能なかぎり答えをくれるルヴァンが、今回も丁寧に答えてくれた。
ルヴァ先生もなー、知ってたら聞かなくても答えてくれると良いんだけどなー。そういうところの仕様が意外にシビアなんだよなー。
「会ってみたいわ。会えるの?」
「アンジー様が望まれるのでしたら」
水のリューズがいつもどおりの聖母の如き優しげな微笑みを浮かべてそう答えてくれたが……そうか、私が存在に気づいて要求するまで、こいつら最後の一人を紹介する気なかったんだな。
「あいつを呼ぶなら俺は失礼させてもらうぞ」
「あっ、兄貴、ずりぃ!俺も!!」
赤毛の美丈夫の火と、パンクな針金頭のツンツン鋼くんが大広間から退出する。そんなに筋肉系と相性悪いのか。どんな奴なんだ?
現れたのは、キラッキラのラメ入りのアイシャドウとリップが麗しい守護聖人だった。
「あらぁ、随分カワイコちゃんの女神候補ねぇ。会えて嬉しいわぁ。はじめまして。アタシが"夢"の守護聖人よ。ヨロシク☆」
バチーンと音がしそうなウィンクをかましてきた夢の守護聖人は、マーカス並みの高身長で、ウィッグではなさそうな部分カラーの派手派手な髪をしたインパクト強めなオネ兄さんだった。
夢のオリビア:気ままなオネエ。
誰だよ守護聖人のキャラ設定担当。攻略対象のラストにこんなのって、センスが微妙すぎるだろう
一番キャラが変なのは主人公というのはツッコんで良い




