星の手紙と、夏色のミストラル
蝉時雨がそそぐ
夏色の風の道に
吹きわたる
白南風がゆらす
葉たちは
まるで夏暖簾のように
蘭月の空を
焦がす太陽へと
オリヅルランの
葉は羽ばたきながら
夏をわたりゆく
心はまるで
窓辺に置いた
書きかけの手紙のように
余白を照らす
陽射しはまぶしくて
星の矢が
駆けゆく夏の空に
南の夜空に
燈るさそり座の星を
追いかけるように
煌めく南斗六星
夏銀河の宙へ
光を放つ
いて座の星々
季節を伝える
それは星の手紙
星の矢が
駆け抜ける夏の宙に
アルナスルの星が
見つめる先に
広がる銀河は
三万光年の彼方に
地上へ舞い降りる
光をあつめて
アストランティアの
花は星々の
輝きをそのままに
心という
銀河ははてしなく
駆ける想いは
星の矢のように
どれだけ遠くまで
たどり着けるか
それもきっと
大事だけれど
どれだけ自分らしく
飛んでいけるか
そして
たどり着くまでに
出逢う道を
大切にできたら
真っ直ぐな道
ばかりではないけれど
弓はしなるほど
力を生み出すように
時に周り道のように
思えることも
きっとたどり着くための
大切な道のり
弓張月が照らす
やさしい光を浴びながら
ふりむけばそこに
たどって来た足跡が
ひとすじの
道となっているように
これからもきっと
続く道を信じて
言の葉で紡ぐ
手紙は折り鶴のように
織りなす翼に
願いと祈りをのせて
遥かな銀河の
彼方の宙へ
夏色のミストラルに、
星の手紙をのせて
黄道十二星座の一つ、いて座は、半人半獣の射手の姿で、弓手から続く星々は「南斗六星」と呼ばれます。矢に輝く星・アルナスル(アラビア語で「矢の先」)の方角の3万光年先には、天の川銀河の中心があるとされます。
オリヅルラン(折鶴蘭)は、折り鶴のような姿で、夏の暑さにも強い花です。アストランティアは、いくつもの白い花が星のように咲き、名前はギリシャ語の「星」に由来します。花言葉は「星に願いを」です。
蘭月は7月、白南風は7月下旬頃に吹く風です。ミストラルは、「季節風」を表すフランス語です。
季節の星や花をモチーフに詩を描かせていただきました。お読みいただき、ありがとうございます。