最初の街は不吉な匂い-4-
「俺は嘘をつかずに真実を伝える生き方が好きだ。だってお互い辛いだけじゃないか。隠される方も隠す方も・・・・だけど、人は皆嘘をつく。だって相手の気持ちを尊重しなければいけないし、俺らには人を否定する権利なんてねぇし・・・・」
彼女はこちらを怨めしく睨む、
「でも、俺はお節介だから、言っちゃうけど。その行動は間違ってるって・・・・。
でも結局、最後に信じなければならないのは自分だ。信じるようになるには一人じゃあダメだ。広い世界で旅をするように、人と接しないと、己への自信はやってこねぇ!だから・・・・その、今いる世界が全てじゃあねぇよって事が言いてぇ・・・かもしれん」
「・・・・。ふふ、私は・・・・私は、ああ」
あなたの言葉で涙を流す、それは赤黒い液体ではなく人間の涙。
崩れていった闇の石。
差し込んだのは日の光。
”一つの村だけで生きてきた少女は貴方という世界を知った”
私は嘘をつく者が嫌いだった。だって傷つくからというのが率直の感想。
何を信じればいいのか時々不安になる。
人から見れば上手く出来ていない作品だったけど。私の中では上手くできていた、けど大人は裏を含んだ声で言ったんだ。
"ウマイネ ソノブレスレット テヅクリナノ?"
自分よりも他人の意見ばかり参考にする私、そして人の表情ばかりを見てきた私。
すぐに分かった。思ってない癖に・・・・。
でも、今の話聞いたら
(本当はその人にとっては悪気はなくて、私を守ろうとしたのかな?)
思い込みだったと知った時にはもう遅く、後悔で涙しか流れてこない。
対処も分からず、一人で抱え込んで泣いていた幼い自分。
でもほんの少しだけ気づいてたんだ、私を傷つけないための配慮だということをでも、気づかないふりをしてた。
出来ない自分を一番理解しているのは私、認めることが怖くて、悪者になってた。
(もう少し早く貴方と会っていれば・・・・道を外れずにすんだのかな?)
分かってるのに苦しい。人との関わりさえも分からず見失って、いつの間にか、愛娘として愛してくれたおじいちゃんの思いさえも、思い込みという怨みに隠れていった。
今は・・・もう帰る場所もなければ、村に帰る権利さえもない。
あの時から姿は変わっていない私はもう、人ではないんだ。
「・・・・・・・・杭が消えた」
(・・・・・・・人は追い詰められるほど視界が狭くなるものですよ)
彼を理解できない者を見るように睨む。
長い髪の女から人間に、まるでそれは呪縛から解かれたかのようだった。
"本当は気づいてほしかった"
それとも
"納得のいく答えが欲しかったのか"
「・・・・・・」
彼女は涙目なまま年相応な微笑みで
「ありがとう、名も無き英雄さん。私はあなたのお陰で本当の私に戻ることができた」
「お役にたてれたのであれば光栄ですぜ」
冷静にお礼を受けとっているが内心では英雄と呼ばれ嬉しがっている男。
「私は零下。能力は結界。拐って閉じ込めて殺して嘘を吐く人を制裁すればいい我ならそうする。
とあの人から教えて貰ったのが私という悪の誕生。その時の私はおかしかったんだ!。今では・・・重い間違いだと思ってる」
罪の重さに気づき苦しそうに打ち明けた少女に俺は、彼女の頭を撫でてあげた。
「英雄さん?」
「よかったら俺と一緒に来るか?」
と良い雰囲気の所・・・・・
「えーゴホン。あーところで、すみません、あの人とは誰のことですか?」
「うおっ!びっくりした!」
突然押し寄せてきた男に驚く。
少女はきょとんとしながら
「新たなる神になると言っていた男の人」
鋭い視線に変わり、ボソッと一人で呟いた。
「なるほど・・・・・新たな神。これで確定しました
ふむふむ」
俺は心の中で
(何の確定だよ)
と突っ込みなが俺は考えた。
俺は新たなる神を名乗ったとされるその男と
"個性は尊重されるべき。その反面、個性に焼かれる可能性がある"という言葉を生むきっかけになった事件で登場する、少年と重ねてしまう、この俺の思考は正常なのか古すぎるのかは不明だが。
(仮にあの事件と共通する者つまり後継者だったら、
・・・・事件が再来するかもしれねぇな・・・!)
危機感を覚え、すぐに少女に一番聞きたい奴の居場所についての質問を投げ掛けようして口を開く
「なあその」
が
「その男の人、どちらにいったか分かりますか?」
さっき助けた男に、言葉を遮られてしまい軽く隣をにらむ。
「うーん・・・・確か、蝋牢監獄に行くって言ってた」
「ありがとうございます。えーと、零下?さん」
(蝋牢監獄ですか・・・・うーーーん)
「・・・・・どこそこ」
「自分で調べてください、それと零下さん、情報提供ありがとうございました。私はこれで・・・ぐはっ」
そう言って去ろうとする青年。歩いて傷が広がったのか彼はバタリと地面に倒れた。
「おい!大丈夫か!?」
近寄ってくる男、正直ほっといてくれと強がる私、
(もうダメなんでしょうか、私は完璧な神殺しになれずに死ぬのでしょうか?嫌だ、私はまだ一族の者に認めてもらっていない。
ああ、でもこんな私を、今更見てくれる人なんているのでしょうか?
)
悪しき神を追って来た私は、彼女に負けた。
最後にギリッと歯を強く噛んで
意識を手放した。
シャボンいるかさんからのコメント:
自分が敵だとしんどいお
さらに理想と現実が絡んでくるのはもっとしんどい。
だからひとつの箱ではなくて、沢山の世界で視野を広げる事が大事だおって事が言いたかったお。全ての価値観はこの場だけではないお。
ちなみに・・・・"主人公の隠さず言ってしまう個性はこの先役に立つかもしれないし立たないかもしれない"
以上です。