表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
64/155

ゴブリンスタンピード ⑥


「一番槍取られたか!『乱れ突き』!!!」


「おらぁっ!『パワーアックス』!!」


「殴れ殴れ『連続斬り』!そこの人!俺にもバフくれねぇか!!」



「………ハッ!?あ、ああ。『エンチャント・ライト』」


「サンキュー!『パワースラッシュ』!!」



 今後のことが予想できてしまい茫然としていたら、いつの間にか俺の周りにプレイヤーが集まって来ていた


 正確には俺にではなくボスのレッサーリッチにだが。『シャドウダイブ』でゴーストを振り切った幾人かがここまで辿り着いたようだ



「『ダークアロー』!ダメ入ってんのかこれ?」


「俺にも殴らせて〜」


「あ、俺もうちょいでスタミナ切れるから交代するぞ」


「ダウン長いな」


「雑魚狩って場所広げるぞ!『二連斬り』!!」


「結構柔いぞこいつ、そろそろ一割削れそうだ!」


「殴らせて〜」


「待って思ったより雑魚の圧ヤバい!ヘルプ求む!!?」



 一気に賑わってきた。プレイヤー全体で見れば少数なんだろうけど、それでもこの場に30人以上はいるだろう


 影を通ってきたプレイヤー達がボスをリンチし始める。と言っても、ボスの体格が人間サイズなので、一度に殴れるのは5〜6人が限度だ。なので、ST(スタミナ)消費の大きいスキルを使っては後続と交代するという戦法を使っているようだ


 これが協力ゲーか……いいなぁ、俺も参加したい。なんかやれることはあるか?


 ボス殴りに参加できないプレイヤーは、ボスの周囲のアンデッド達を処理している。だが、ここはスタンピードの中心にして、アンデッドの湧きポイントでもある



「誰か土壁出せるやついるか!!」


「おっ、俺できるぞ!」


「そこのおっちゃん!俺が波でゾンビを押すからそこに壁焚いてくれ!」


「なるほど任せろ!」


「いくぞ!『ウォーターウェーブ』!!」


「…ここだ!『クレイウォール』!!」



 おお!なんか勢いで初対面の人と即興で協力プレイできた!楽しい!……やろうと思えば1人でできることだったけど、協力したというのが重要なんだ



「ナイスだ!今のうちにポーションで立て直すぞ!」


「急げー土壁脆いぞー」


「あっゴーストが」


「アカーーン!」



 大量のアンデッドがいたため、クレイウォールは数秒で破壊されるだろう。その数秒を使って体勢を立て直そうとしたようだが、ゴーストが壁をすり抜けてきてしまった


 回復が足りてないっぽいかな?よし、辻回復しよう。ついでにさっきみたいに光エンチャとバフもかけてあげよう



「タゲ散りすぎぃ!?タンクいないのタンク!!」


「たぶんいない!ここに来れてるやつ遊撃と魔法使いばっかり!」


「みんな『シャドウダイブ』で来たからな」


「ボスダウン復帰!備えろ〜」


「こいつどんな攻撃してくるの?」


「知らん。気づいたらダウンしてた」



 お、レッサーリッチがダウンから復帰してた。ならこっちに参加したほうがいいかな?攻撃パターン知ってれば対応できるし


 …あっやべ、俺こいつの攻撃パターンあんまり知らんかも


 こいつの最初の攻撃は大技のどれかで、その時に『フラッシュ』当てれば確定ダウンが取れる。その後いつもは復帰なんかさせずに瞬殺して終わりだった。だから、通常攻撃とかはほとんど記憶にない


 まあ待て思い出せ。ボスじゃないレッサーリッチやらエルダーリッチやらは後々野生の雑魚として出てくるし、そいつらの攻撃の強化版だと考えればいいわけだ



「瘴気玉展開したぞ!一旦退避!!」


「近接封じか?遠距離のターンっぽいぞー」


「任せろ『ウォーターアロー』!『豪射』!」


「もうちょい離れてくれ!『フレアボム』!」



 ダウンから復帰するとともにレッサーリッチが腕を横薙ぎに振るうと、レッサーリッチの周囲を漂うように瘴気の球体が複数出現した


 え、なにこれ知らない


 そういや、ボスの弱体化ってステータス面だけじゃなく、行動パターンの修正・削除もあったような……


 レッサーリッチが再び腕を振るうと、展開された瘴気玉がゆっくりと射出された



「全体攻撃の前段階だったのか。雑魚処理班後ろ気をつけろー」


「いや弾速おっそ」


「あっちょ待って避けられ──」


「いや威力えっぐ」


「あいつ体力ほぼマックスだったのに…」



 射出速度は秒速1m程度だったが、雑魚の対処に手間取っていたプレイヤーが避け損ねてしまった。そして、そのプレイヤーには瘴気が纏わりつき、一瞬でポリゴンへと変わってしまった



「即死技?ただ単に大ダメージ?とりあえず絶対避けろよ〜」


「あれ喰らったらデスペナ増えるらしい!死んだフレから伝言」


「死後も残るとか呪いかよ。ゾンビ戦法も封じてくるのか」


「ゾンビは相手だけどね」


「だれうま」



 あ、全然知ってる攻撃だったわすんません。いやしょうがないじゃん?あれ使ってくるのリッチ系じゃなくて瘴気系の敵だし



「あれ?あの玉さっき当たってたよね?消えてなくね?」


「マジかよ貫通攻撃か」


「ちょっと小さくなってる?回数ヒットかも」


「このままゾンビに当てちまおうぜ」



 まずこのゲームの瘴気っていうものは、生物とかの負の感情が闇属性の魔力と混ざり合うことで生まれるとかなんとか。ゲーム的に言えば、『闇魔法』と『呪い』の複合みたいなかんじだ


 『呪い』の説明は、しっかりやると長くなるから端折(はしょ)るけど、とりあえず今は対処が面倒な状態異常と思っておけばいい。死んでリスポーンしても効果が残るものとかね



 そんで、あの瘴気玉の攻撃はたしか、敵に当たると闇属性の魔法大ダメージと呪いを与えるもので、一定距離進むかモブに5〜10回当たるまで消えないんだっけ?


 その魔法ダメージがかなり痛くて、多分現状だとMND特化構成でもないと耐えられないと思う。そしてさらに、味方のアンデッドにあれが当たると……



「……明らか強化されてんですけど」


「ムキムキゾンビ(腐肉)」


「こっちのムキムキはそのマッスルもないぞw骨しかねぇw」


「骨どころか肉体もないゴーストマッチョさんのことも考えてあげ──」


「し、死んでる…!?」



 全ステータスが三段階ぐらい強化される。一体一体がフィールドボス並に強くなるのだ


 特にゴーストの強化がやばい。通常攻撃がINT(魔法攻撃)判定なので、雑魚処理を担当していたプレイヤーが強化ゴーストのひっかきでどんどんやられていく


 くっ、歯痒い……対処法は知ってるのに、必要なスキルやアイテムがない。こんなことになると予測できてたら準備できてたのに……悠長に品種改良なんてしてる場合じゃなかった




「掲示板見たか?ボスまで姫ちゃん護送だってよ」


「はぇ〜、明らかに効果バツグンそうだもんな」


「普段迷惑かけてる分活躍してもらわんと」



 姫ちゃん?ということは『光魔法』か。でもなぁ……



「このボス魔法耐性高いんだよなぁ。弱点魔法撃つよりぶっちゃけ物理で殴った方が早い」


「まじで!?だからダークアローも微妙だったのか」


「いやそれ属性的にも効果下がってるから」


「姫ちゃん連れてきても意味ないじゃん」


「強化雑魚倒してもらえばいいんじゃね?」


「いや、掲示板によると『光魔法』だけじゃないっぽいぞ?『祈り』ってスキルがあるらしい」


「え?」



 『祈り』?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] わちゃわちゃしてて楽しそう
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ