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ゴブリンスタンピード ④

 私の入試の合否で更新頻度が変わります



「ふむ、ローブを着た骸骨か。リッチ、もしくはワイトだろうか?あれがボスなのか、それとも中ボスのような存在なのか……うぅむ、情報が足りないな」



 瘴気の中から出現した魔物を視界に捉え、すぐさま考察へと入る


 ボスらしき骸骨は、出現したところと同じ黒い瘴気を身体に纏っているな。あれはどこかで見覚えがある。たしか資料室の文献に………。ということは、この件にはあの存在も絡んでいるのやもしれんな


 もしかしたら、街の外のボスにも黒い瘴気がついているかもしれんな。ふむ、念のため向こうにはサブマスターを行かせてあるし、確認させてみるか




「ロウガンさん大変です!ボスが出ました!!」


「落ち着きたまえフレイニ君、あれはまだ動いていない。情報が集まるまで、本格的な攻勢は控えるべきだ」


「いえ、そうではなくて、プレイヤーの半数ほどがボスに特攻して戦線が乱れはじめました!!」


「……う〜む」



 これはいかんな。外のスタンピードは住人(NPC)たちも把握していたが、こちらは急な事態だったためか衛兵が少ない。もし取りこぼしを出したら街への被害へと繋がりやすいだろう


 といってもアンデッド達はそこまで多くないので持ち堪えられてはいる。なんでも、ゴブリンの方は想定以上に数がいるらしいな


 そうはいっても、こちらも突破されるのは時間の問題だ。プレイヤーを一丸とさせる必要がある



「ということで、君たちのネームバリューを使わせてもらうよ。プレイヤーに呼びかけてもらえないかね、ライス林殿?」


『わかりました、任せてください!!』



 同盟(アライアンス)通話から返事が返ってくる。彼ら〈魔法同好会〉には多くのプレイヤーが感謝しており、彼らの人柄もあってか彼らの言うことは従うというプレイヤーは多いのだ


 呼びかけの効果か、徐々に戦況が安定し出した



『……『望遠』、『鑑定』。名称[瘴気に汚染されたレッサーリッチ]、Lv.40。……『解析』。属性:闇・不死・瘴気、魔法耐性:中』


『ありがとうございますクラマス。ロウガンさん、聞こえましたか?』


「ああ、しっかりと記録したよ。ジェイ君にも感謝する」



 〈魔法同好会〉のクランマスターであるジェイ君がボスを鑑定してくれたようだ


 彼女は現在【狩人】のジョブに就いており、それにともない『望遠』のスキルを獲得しているようだ。非アクティブ状態の魔物に鑑定系スキルを使うとヘイトが向くという話もあるが、彼女なら大丈夫という判断か


 ジェイ君は、ベータの大会ではデリック君を打ち破って二位になったほどの実力者だからな。ちなみに、一位は〈オルキヌス〉クランマスターのカイル君だ。もしデリック君が準決勝で彼女に勝っていたら、相性の問題でデリック君が優勝していたと言われているな



 おっと、思考が逸れた。ふむ、「瘴気に汚染された」か。属性が瘴気ということは、彼女のスキルが有効かもしれぬな



「フレイニ君、聞いていたかね?あのボスには君の『祈り』スキルが効きそうだ。任せられるかね?」


「わ、私ですか!?で、ですが、ここからじゃスキルが届きません。もっと近くに、戦線を越えて奥まで行かないと届きそうにありません……」


「ふむ、なら君のクランメンバーを護衛にすればいいのではないかね?彼らなら嬉々として盾となるだろう」


「えぇ……あまり気乗りはしませんが……」



 私の横で戦っていた、〈ホーリープリンセス〉のクランマスターであるフレイニ君に声をかける。彼女は私が認知する中で唯一の『祈り』スキル所持者だ


 彼女はベータの時から度々我々を頼ってきたので、今回の敵がアンデッドだと予想されたときに個人的に声をかけていたのだ。………まさかクランメンバーを置き去りにして1人で来るとは思わなかったが


 と言っても、彼女は元々幹部メンバー以外にはほとんど姿を見せていないらしいので、通常運転なのだとか。あまり口出しすべきではないのかもしれないが、それでいいのだろうか


 また、彼女は唯一『光魔法』を正規のルートで手に入れたプレイヤーだ。ただその習得難易度のせいで、全体的なスキルレベルがあまり上がっていないと嘆いていたが


 彼女の情報提供により、『祈り』『光魔法』の習得方法も広めているのだが……あまり知られていないらしい。彼女のクランメンバーに妨害されるのも一つの理由ではあるだろう


 私の知る限り、あのリッチにもっとも有効となるプレイヤーだと考えられる。できれば彼女を作戦に組み込みたい



「気乗りしないのなら、我々のクランを護衛につけよう。どうだね、行ってくれないか?」


「……いえ、私のクランメンバーに任せてみます。私が近くにいた方が、大人しくしてくれるかもしれませんし」



 ふむ、あまり彼らに近づきたくなかったようなので提案してみたが。彼女もクランを作ってしまった責任を感じているようだ


 フレイニ君がメッセージを送り始めた。その間、私も戦況を観察しようと前方へ意識を向けると、リッチが腕を掲げているところだった



「手のひらに瘴気が集まって球体になっているな。『闇魔法』のようにも見えるが……」


『ロウガンさん、大技が来そうです!どうすればいいですか?』


「魔法攻撃のようだが……うむ、全くわからん。各々で対応してくれ」


『ええ!?わ、わかりました!全員、魔法防御体勢!!『ダークブレス』!』


『……撃ち抜いてみる。『ウォーターアロー』、『溜射』』



 防御を固めるものもいれば、中断させようと攻撃を加えるものもいる。なにしろ初見の技であるため、なにが正解かはわからない


 私がするべきことは、なにが有効だったかしっかり見極めることだな。それがわかれば、次に的確な対策が出せる



 ──チカッ



「む?」



 一瞬、閃光のようなものが見えたか?


 見れば、リッチが腕を下ろし、両手で眼孔をおさえてのけぞっている。手のひらに集めていた瘴気も霧散しているようだ


 あれは……誰かが攻撃を中断させることに成功したのか?だがどうやって?閃光……光……『フラッシュ』か?だが、あの射程の短い魔法をあの位置で打てるほど奥へ行っているものがいるのか?


 一体何者だ?

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― 新着の感想 ―
[一言] 難しいですが気負わず入試に挑んでください!
[一言] のんびり待ってるから、入試頑張ってね
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