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雨雲花






「ゲコォ!」


「『アーススフィア』」


「ゲギョッ!?」


「ナイッシュー!」



 おお、悶えとる悶えとる


 間抜けに口を開けたところに土塊を突っ込まれたマッドフロッグは、ひっくり返ってジタバタしだした。…………カエルだけに



「連続普通のパーンチ!おお、ぶよんぶよん」


「ゲコォ…」



 白い腹をボコボコとぶん殴ると、マッドフロッグが光に還る。…………カエルだけn((


 このぶにぶにボディには斬撃や突撃は効きにくい。なので打撃か魔法で倒すのが効果的だった


 …あれ?俺って今めっちゃバランスよくね?斬撃の『暗殺術』ナイフ、打撃の『格闘』、刺撃の『魔法弓』、そして各種魔法で弱点属性もつけるぞ?


 全く意図してなかったが、ほぼ全ての敵に対処できる気がするぞ?無理そうなのといえば……雑魚が大量に出るやつとか?



 現在俺はあれからさらに奥へ進んで、森を抜けて湿地帯へと辿り着いていた


 足元のほとんどは冠水してるし、水がないところも泥でヌルヌルしている。ここで転けたら大変なことになるな


 天候が雨なこともあり、さらに湿度が増している、気がする。ジメジメはするが、不快と感じるほどではない


 ぬかるみに足を取られながらも、目ぼしいところを探索していく




「お、あったあった」



 10分ほど探索していたら、謎の黒いモコモコを発見した


 背の高い草のてっぺんに、綿花のようなフワフワの花が咲いているそれの名前は、[雨雲花]。雨の日にしか咲かない、ゲーム的に言えばスポーンしない植物だ


 これは育てるのが大変だが、上手いこと品種改良に成功すれば様々なことに役立つ便利植物だ。というわけで早速採取──




 ガチンッ!!


「のわっ!!?」



 間一髪で飛び退く。危ねぇ、こいつらには『索敵』が機能しづらいんだ


 俺を噛もうとした下手人は、歯をガチガチと鳴らしながらも、獲物が口に入ってないことに気づくとまた定位置に戻った


 某配管工が活躍する作品に出てくる危険植物のような見た目のそれは、[イビルプラント]。植物型モンスターだ


 口から涎のように蜜を垂らし、獲物が近づくのをじっと待つ食肉植物だ。好物はゴブリン



「うわ、ここ群生地かよ……」



 辺りを見回すと、同じようにギザギザの歯を持った花がそこらじゅうに咲き乱れていた。ゴブリンにとっては地獄だな。まあ──



「探す手間が省けてよかったぜ!お前らのことも目的だったんだ。種寄越せ!『フレアボム』!!」



 草には火。じゃんじゃん燃やしていく


 こいつも種さえあれば育てられるんだよな。ハウスの防衛機能にもなるし。……プライベートエリアじゃ関係ないけど


 うーむ、種のドロップ率が渋いな。できれば10個ぐらいは欲しいところなんだが……ここのやつら全部燃やせば足りるかな?


 よっしゃ、汚物は消毒だァーーッ!!!




「やっべ、[雨雲花]が燃えてるぅ!!?!?」








 ハウスに戻ってきました


 今回の成果。[雨雲花]17本、[人喰い花の種]12個。その他諸々


 一応[三日月草]とかも取ってきたが、重要度は前二つより低い。初級ポーションの材料になるけど、俺回復魔法使えるし。見習いポーションで現状事足りてるからなぁ



「さてと、雨が降ってる内に終わらせちゃいますか」



 [雨雲花]は雨が降っていないと咲かない。『作製加速』をかけても雨じゃないと意味がないので、雨の日にやる必要がある


 局所的に雨を降らせる魔法や、擬似的な天候変化ができる施設などがあるけど、俺じゃまだどっちも使えない。なので自然の雨を使うしかない


 取ってきた[雨雲花]を『鑑定』していき、詳細なステータスを見ていく



「これは比較的いいな。こっちは微妙。これは……お、当たりっぽいか?じゃあさっきのは綿雲にしよう」



 選別し終わり、品種改良へと移行する。まずは水気の少ない[雨雲花]と、[やけど草]を並べて植えて交配させる


 近縁種とかじゃなさそうだけどいけるのか?とは思うが、そこはゲーム。隣の畑から白いフワフワの花が咲いた


 [綿雲花]だ。用途はそのまま綿花と同じで、布系装備・アイテムを作る基本材料だ。ぬいぐるみとかも作れたりする


 これ、紡いで裁縫ギルドに売ったらおばけキャロットより効率いいかもな。[綿雲花]なら晴れの日に咲くし、手間がかからない


 いや、自分の『裁縫』レベリングのために取っておいたほうがいいか?でもその時にはもっと経験値効率のいい素材が入手できるかもだし……



 皮算用は置いといて、品種改良の続きにはいる


 今度は採取してきた[雨雲花]の中でも1番花が大きいものと、2番目に大きいものを植えて交配させる


 すると、一番大きい花より一回り大きい[雨雲花]が咲いた


 やってることはまんま現実の品種改良だな。親同士の遺伝子を片方ずつ受け継ぐのを利用して、より良い品種を作る。個体差として親より大きいものが生まれることもあるってやつだ


 『栽培』をやりこんだら、大量の実をつけるうえに品質も高く、しかもすぐに育つ作物が作れるぞ?


 ぶっちゃけエンドコンテンツ(暇人要素)だけど。農家ガチ勢でもない限り、ほどほどの品種改良で事足りるからな。まあそのガチ勢が種を売り出したらつい買っちゃうけど



 生えてきた[雨雲花]を、2番目に大きかったのが植えてある場所に移し替える。そしてもう一度交配させる


 すると、今度は小さい花が生えてきた



「……まあ、まだ最初だ」



 大きい花ができるなら、小さい花もできて当然だ。こっからは根気の勝負だ


 同じことを繰り返して、少しずつ花の大きい品種を作っていく。早く終わらせないと雨が上がってしまうかもしれない。そしたらまた降るまでおあずけになる



「さっきから小さいのしか生えねえんだけど!?」



 ブチっとむしり、もう一度交配させる


 天気は大体朝夜の8時に変わることが多い。そして、現在の時刻は夜の7時30分。あと30分で晴れてしまうかもしれない



「でかいの来い、でかいの来い……!!!──あ!?MP切れた!?!?」



 いきなり視界がクラクラする。MP切れによる〈めまい〉状態だ。夢中になってたあまり、『作製加速』で使うMPを回復させることを怠っていたようだ



「くそ、タバコタバコ………ん?あれ?まさか、タバコも切れた!?!?」



 踏んだり蹴ったりすぎる。今から作って間に合うか!?あ、魔力茸がない!やべぇ、今から採取に、いやマーケットなら……!!



 右往左往しているうちにタイムリミットが近づいていく。そして8時になってしまい、雨が止む───





「…………止んで、ないな」



 どうやら、雨はまだ止まないらしい(詩的)

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― 新着の感想 ―
[良い点] くっそ面白くて一気読みした。続き楽しみ
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