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錬金術師の活用法



◆Side:コオロギ



 目の前で巨大な昆虫共が大戦争をしている。最初こそ不意を突かれた形のジャイアントビーだったが、すぐに持ち直し、体格差もあってかどんどんと押し返していっている


 だが、ここはジャイアントアントの本拠地。次から次へとアリが湧き出してくる。さらに、今までのアリより一回り大きい個体もでてきた。ワーカー(働きアリ)の上位種のソルジャー(兵隊アリ)



 いやぁ〜アリの巣の近くまで引き寄せててくれて助かった。さすがにあの数相手に無双ゲーするのはスタミナ的にもまだ無理だからな


 実は結構ギリギリだったりした。俺は物理戦闘職共通スキルの、ダッシュモーション中AGI小上昇とスタミナ消費減少するスキルである『ダッシュ』を取ってなかったからな


 こんな序盤に長時間走り続けることになるとは思ってなかったぜ。今後いろいろと使う機会ありそうだし、今のうちに取っとくか



〈BP2を消費し、スキル『ダッシュ』を獲得しました〉




「助かったよ黒ローブの人。それで……あんた、何者なんだ?」


「おっと、名乗るならまずはそっちからじゃねぇかい?」


「それもそうだな、失礼。私はチョコフォンデュ、ジョブは【盾士】と【騎士】だ。そんでこっちが──」


「俺は卓上ボール盤。ジョブは【魔法使い】と【格闘家】。そこのバカの彼氏やってます」


「おいゴラ」


「俺はマミムメモで、ジョブは【短剣士】と【剣士】。そこのアホの弟やってます」


「テメェら喧嘩売ってんのか??」




 えっ、フォンデュさんじゃん。ママさんクランの会長の


 懐かしいなぁ、この人の作る料理絶品なんだよね。たしか最近第三子が小学生になったとか言ってたっけか?てことは、横の「卓上ボール盤」って方が未来の旦那さんかな?


 まさか爆弾魔カノンに続いて2人目の未来の有名プレイヤーに出会うとはな



「揃いも揃って変な名前だな。俺のことはまあコオロギとでも呼んでくれ」


「いやコオロギってのも大概変な「え?コオロギ!?」ん?どうしたフォンデュ?」


「う〜ん、出会っちまったなら隠す必要もないか……。実はトップクランのクランマスターだけに知らされてる情報があってな?あの右脇法と魔法武技のヒントをくれたってのがそのコオロギって名乗るNPCらしいんだ」


「はあ!?魔法武技まで!?」


「それで、なんでクラマスにだけ?」


「それがどうも遭遇者曰くお助けNPCらしくてな?行き詰まる度にそいつに頼るってのもどうなの?ってのでメンバーに伝えるかは自由だったんだ。まさか、コオロギと黒ローブが同一人物だとは……」


「そうか、徘徊ボスの時もそんなこと言われてたしな」



 どうやらコオロギのことも伝わっていたらしい。名乗ったのはサチとエリだけだが、そこから広がっていったのか?カノンには名乗り損ねたし



 ……お、そろそろここもやばいな



「それで、この機会にいろいろ聞いてみたくてだな……」


「せいっ」



 ──ヒュン!ドスッ!



「ギィッ!?」


「なにしてんの!?!?」



 俺の放った矢が、ジャイアントビーにとりついていたジャイアントアントの頭を貫いた。ハチとの戦闘で体力が減っていたアリは、それでポリゴンへと変わった



「ハチ側が劣勢だったからな。手助けしてやらねぇと」


「だからなんで!?」


「せっかくコイツらをぶつけ合えたんだ、貰えるもんは貰っとかないとな。あ、お前らは帰ってもいいぞ?……手伝ってくれたら助かるが」



 戦線が広がってきていて、ここまで到達しそうってのもある。こいつらは匂いで追いかけてくるため『生活魔法』の『消臭』を使っておいたが、それも近づかれたら意味ないだろう



「も…もちろん手伝うさ!助けてもらったお礼もしたいしな!」


「こんな状況スルーするとかありえないしな」


「激強NPCと共闘とか最高じゃん」


「そんじゃ、弱ったやつだけ狙ってけ。できればアリを優先で、スキがあったらハチも倒していいぞ」


「「「了解!!!」」」










  〜30分後〜




「ふぅ。どうやらアリ共は防御を固めることに専念したみたいだな。ハチも全滅させたし」



「なあ姉ちゃん、あの動き見てたか?あれエグくね?」


「近づいてきたハチを弾き飛ばしたかと思ったら弓でワンパンして、アリを蹴り飛ばして別のアリに当てて魔法でまとめて倒して……しかも他の集団になってるとこにも魔法がすごい軌道で着弾していって……」


「どんだけMPあるんだよ……魔法ってあんなに軌道曲げられるのか。てか手のひらや杖の先以外からも魔法って打てたのか?」


「【魔法使い】と【弓士】かと思ってたけど、格闘まで使えるのか……」


「というか、あれだけ狙われて全く被弾してないの頭おかしい。しかも一瞬消えたと思ったら別の場所いるし」





 あぁ〜〜気持ちええ〜。初心者相手にドヤってるだけだけどやめらんねぇ〜


 やり込み勢からしたら、ここらへんのモンスター相手に攻撃を喰らうことはまずないからな。廃人ならアリとかちあわせなくてもソロで殲滅することぐらいはできるだろう。俺?流石に無理



「さてと。お宝強奪と行きますか」


「巣の中に入るんだな。でもまだ中には大量のアリがいそうだぞ?」


「まあ見てなって。あとこれ持っとけ」


「これは……団扇?」



 そういうと俺は、1人アリの巣の入り口に入る。数メートルほど進んだところで立ち止まり、錬金釜を取り出した


 そこに、[ジャイアントアントの腹部][ジャイアントビーの腹部][しびれ茸]等々を放り込み、『錬金』のアーツを発動する



「『強制錬金』」



 触媒となる魔石が入っていないため、普通なら何も起こらない。が、『強制錬金』することによって無理矢理になにかが作られようとし、特殊な失敗(ファンブル)を発生させる


 錬金釜がガタガタと震え出し、口からモクモクと紫色の煙が漏れ出してくる



「こ、今度は何をしてるんだ?」


「アリ専用の殺虫剤みたいなもんさ。ほれ、扇げ扇げ〜!」


「そんなことできるのか!?というか『錬金』も使えるの!?」



 4人がかりでパタパタと扇ぎだす。錬金が戦闘寄りってのはこれが理由だな。アイテムでも毒ガス発生させられるが、現地で作った方が安上がりだし煙の量も多い。まあこんな機会そうそう訪れないが


 あとこれやると錬金釜の耐久がゴリっと削れるんだよなぁ。あとで修繕しないと




 10分ほど扇ぎ続け、ガスが充満してから少し時間を置いて巣に突入した。そこには痺れて瀕死になったアリと、毒だけで死んで素材になった残骸しか残っていなかった



〈称号『アントスレイヤー』を獲得しました〉

〈2,000G手に入れました〉


〈称号『大量虐殺』を獲得しました〉

〈BPを1獲得しました〉

〈3,000G手に入れました〉

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