初心者救済
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「精霊界」
ここは…………その、あれだあのあれ、なんかいろいろできるとこだ
一言で説明するのは難しいくらいなんかいろいろある
ただ、いろいろできるんだけど、そのほとんどは今はまだできなかったりする
どんなことができるのか、それに必要な条件はなんなのか、全部丁寧に教えてくれるぞ。当分条件満たせないんだけど
好奇心を煽るようなことを羅列しておいて、「今はできましぇ〜んw」とお預けをくらわせてくるのだ
まあ真面目に言うと、「後々こんなこともできるようになるよ〜!これ目指して強くなってね〜!」って誘導なんだと思う
オープンワールドという、やれることが多すぎて目的迷子になりがちなゲームジャンルで、明確な目標を定めてくれている、初心者に優しい要素なのだ
決してイジワルじゃないぞ
そんで今日ここに来たのは、今でもできる数少ない要素の一つ、「精霊との契約」をしに来たのだ
これだけでも十分すぎるほど来た価値がある
[精霊]系テイムモンスター
こいつは…………その、あれだあのあれ、なんかいろいろできるやつだ
一言で説明するのは難しいくらいなんかいろいろできる
もうほんとになんでもできる。できすぎる
細かな要素まで上げると、箇条書きにしてもレシートみたいな長さの量になるらしい
大まかにまとめるとするなら、戦闘・生産・採取・探索・補助・その他諸々なんでもござれの万能モンスターと言うべきだろう
「逆にお前なにができないん?」って言われるくらい、ほぼ全ての要素に手広く関わっている
ただまあなんでもできると言っても、その道専門の職業やアイテムなんかと比べたら流石に劣る
広く浅くな総合職の立ち位置の便利屋性能といったところだろう
………なのだが、実際には広く浅くというより、「広く十分に深く」と表現した方がいいくらい、結構しっかりできちゃう
わざわざ専用のものを用意せずとも精霊で事足りてしまう、「それ精霊でよくね?」現象が多発してしまう
特化職の役割を奪いがちな存在なのだ
育成もとっても簡単。というのも、プレイヤーの強さに合わせて精霊も強くなるのだ
レベル上げしなくていいってわけじゃない。でも、育成をサボってレベル差が開いていても、プレイヤーのレベル帯に追いつくまでは経験値に多大な倍率がかかって一瞬で追いついてこれるのだ
プレイヤーの現在レベルが精霊のレベル上限と言い換えてもいいな。プレイヤーが強くなるほど、精霊も強くなれる
プレイヤーが最上級職になれば、精霊も最上級職相当の強さを手に入れるのだ
しかも精霊には、一番活躍するタイミング……いわゆる「パワースパイク」という期間がほぼ存在しない
ずーっとそこそこ強い。序盤から終盤までずっと一定の強さ・便利さを発揮する特殊な存在だ
あまりにも強すぎてゲームがつまらなくなるOPになることもなければ、インフレの波に置いてかれて産廃になることもない、ずっと丁度いい塩梅でいてくれる
テイム方法は一番難易度の高い「クエスト産テイム」に分類されているが、その中では一番簡単と言われている
テイム条件も簡単だし、その方法を知るのも精霊界に来れば簡単にわかる
前情報がなくとも、精霊にだけは辿り着けるようになっているらしい
さらに、クエスト産テイムモンスは1キャラ1体しかテイムできないが、精霊は条件を満たせば複数体のテイムが可能だ
まあ、これはあんまオススメしないけど
精霊と契約すると『精霊術』ってスキルが習得可能になって、それを習得すれば2体目以降の精霊と契約できるようになる
ただそのかわり、精霊以外のモンスを使役できなくなってしまう
これがかなりキツい。フェニックスなど他のクエスト産テイムモンスが使えなくなるから、だいぶ頑張らないといけなくなる
便利便利と持て囃されても結局はジェネラリスト。できることに限界はあるのだ
……………一方で、掲示板の最強論争では度々「Gルートで『精霊術』系極めたら最強」と言われてたりもする
精霊は、プレイヤーが強くなるほど強くなれる。Gルートで非人道的な力を手にしたプレイヤーと同等の強さな精霊が複数体いれば、それはもうとんでもないことになるだろう
ま、机上の空論でしかないけど
ただでさえ最高難易度なGルートを、精霊以外テイムできない状態でやるなんて正気の沙汰じゃない
実際にキャラビルド成功させた人は1人もいなかったらしい
そりゃそうだ、そうでなきゃ困る。俺なんて縛りなしでもGルートクリアできないのに
ちょっと話が逸れた
まとめると精霊は、ゲームが苦手な人でもある程度楽しめるようになる、「初心者救済措置」というポジションだな
ゲーム界隈では、「厨房が適当に使っても強いキャラ」、略して「厨キャラ」って呼ばれてるやつだ
んで、厨キャラは熟練者が使ってもちゃんと強い
なので、テイムできるようになったらすぐにテイムした方がいいのだ。………これ前も言ったか?
というわけで有言実行。さっそく精霊と契約しに行こう
舗装されていない獣道みたいなところを道なりに進むと、横合いに小高い丘のようなものが見えてきた
その麓に、奇妙なものも鎮座していた
なんだろう、なんて言ったら伝わるかな…?でっかい………縄文土器?
俺の背丈の倍はある土色の造形物が置かれていたのだ
そこへ近づくと、そのデカ縄文土器にある2つの穴がポワァンと光り、ゆっくりと、ほんのわずかに浮いた
「人間、精霊ト契約シニ来タカ?」
「契約したーい」
ちょびっと浮いた縄文土器が俺を見て、急に話しかけてきた
こいつの正体はゴーレム型の[土精霊]、「ノーム」の一種だな
デカ縄文土器に見えたのはこいつの頭、小高い丘はうずくまったこいつの背中に土が降り積もってできたものだ
精霊と契約するためには、まずこいつと話す必要があるぞ
まあ道をそのまま進んでれば近くに来たタイミングで反応してあっちから話しかけてくるから、スルーすることはよっぽどないけど
「契約ノタメニ、スロットヲ………」
「大丈夫だ、もう空いてる」
「ソシタラ、精霊鈴ガアレバ………」
「ほら、材料はもう揃ってるぞ?早く作ってくれ」
精霊との契約に必要なもの
それは「精霊契約スロット」と[精霊鈴]の二つだ
精霊契約スロットは、『テイム』のテイム枠みたいなものであり、その数だけ精霊と契約することが可能になる
一つ目のスロットを開放するための条件は、『テイム』レベルマックス、そして、契約したい精霊の属性と同じ魔法のレベルマックスだ
[火精霊]なら『火魔法』Lv.40、[光精霊]なら『光魔法』Lv.40だな
特別なことはしなくていい、ただレベルを上げるだけだ。時間をかければ誰でもできる。めちゃくちゃ簡単だろ?
[精霊鈴]は、この土器頭に材料を渡せば作ってくれる
その材料とは、契約したい精霊の属性と同じ属性結晶が50個。それだけだ
[火精霊]なら[火結晶]50個、[光精霊]なら[光結晶]50個だな
該当する属性のボスを周回すればいいだけだし、ドロップ率は悪いけど雑魚mobを狩るのでもいい。時間をかければ誰でもできる。めちゃくちゃ簡単だろ?
少なくとも、特定の天候で消耗品を湯水のごとく使って高難度ダンジョンを攻略する必要があるのに、がっつり予習してもなお失敗しやすいのに全ロスするリスクが付き纏うヤツなんかと比べたら、難易度ベリーイージーすぎるだろ?
ただレベル上げて素材集めるだけでいいんだもん
「ワカッタ、今作ル。チビ達、手伝ッテ」
「「「「「~~~~~!!」」」」」
土器頭に、50個の[土結晶]を見せる
あ、精霊は結局[土精霊]に決めました。やっぱハッピーエンド目指したいよね
土器頭がそれを確認すると、背中の丘から小さな丸い光がいくつも出てきて、土器頭の周りをフヨフヨと旋回し始めた
そして、俺の出した[土結晶]を複数体で一つずつ持ち上げ、うんしょうんしょと運んでいく
それを、土器頭の王冠みたいになっている頭の中に投げ入れ、また次の[土結晶]を運んでいく
なんか、どっか既視感のある光景
なんとなく、別世界に迷い込んだ女の子が油屋で働いてコハクンチョスに助けられる作品が幻視される
みんながんばれ〜〜
[土結晶]が全部運び終わると、土器頭がゴウンゴウンと昭和時代の洗濯機みたいに唸り出し、ひび割れた顔の隙間から光がチラつき始める
少し待っているとプシューッと蒸気が抜けるような音がして、ズズズズズと土器頭の下部分……口?にあたる部分が開いた
その中には、黄土色の紐がついた丸い鈴、[精霊鈴・土]が完成していた
………あとなぜか、[土結晶]が10個一緒に入ってた
「あれ?これなんで?」
「余ッタ、返スネ」
「あ、ありがとう。うーん、なんでだ…?」
おかしいなぁ、50個ピッタリ持ってきたはずなのに
なんで余ったんだ?それも10個も。こんだけ多かったら流石の俺でも気づくと思うけど………
………あっ、そういや俺精霊門イベントをパーフェクトクリアしてたんだったな
あれやると精霊界でのあれやそれやがいろいろ優遇されるんだったたしか
なるほどなぁ、それで材料費2割引きか。………結構デカいな
まあ、デカいと言ってもわざわざ[精霊門の欠片・卵]を狙うほどではないかな
よし!想定外は起きたけど、いい方の想定外だったな!
精霊鈴もできたし、さっそく契約しに行こう!




