お利口さん
どうも、厄年です
初詣には行ってません
対戦よろしくお願いします
あとあけおめです
バフで超強化されたアカハネの「通常攻撃」で、文字通りムシケラのようにアリ共を蹴散らし始めて1分
アリは早くも勝てないと悟り、巣の中で籠城に持ち込んだ
アカハネの消耗はほぼゼロ
体力は全く削れておらず、仮に被弾していたとしても自動で回復する。魔力は最初にバフを使っただけ。走り回ってスタミナは削れたが、それはちょっと待てば回復するローコストゲージ。既に全快していた
「よくやったな。えらいぞ」
「ピィ!」
草むらから出て、巣の入り口から中を睨みつけているアカハネに声をかける
ちっこいヒヨコはピョンとジャンプしてこっちを向き、元気に返事をしてくれた
それにしても、なんで近接で戦いに行ったんだ?
不死鳥の技といえば遠距離範囲技。複数相手にするならそれを使ったほうがよかったのに……
「……もしかして、火事にならないよう気を付けてくれたのか?」
「ピィ?ピィ!」
まさか、さっきの蜘蛛戦で火が燃え移った木を俺が消火したのを見て、「木を燃やすのはダメだ」って自分で考えたのか…?
俺が直接口で教えていないのに……!?
「えらいぞ〜〜アカハネ!!お前はすごい子だ!!」
「ピィッ!」
すげぇ、この子の頭脳レベル、かなり高いぞ…!!
これはだいぶ育成が助かるな!!
「それに、俺の言いつけを守ってちゃんと待っててくれたんだな!」
「ピィッ!」
巣の中に残党がいることはわかっているだろうに、勝手に突撃せず入り口の外で待っててくれていた
なんてえらくてかしこい子なんだ!
俺はアカハネのちっこい頭をそっとなでなでする
お〜毛がふわふわだねぇ〜よちよち。塩もいっぱい食べなさい
「さて、それじゃあ巣の中にいるやつも殲滅するぞ」
「ピィ!」
「中は火事になる心配はないから、自由に火を使っていいぞ?」
「ピィ!」
「それと、強そうな気配のするところはまだ行くなよ?一緒に入るからな」
「ピィ!」
アカハネの理解力を信頼して、簡単な指示を出す
これがどこぞのドッペルゲンガー予定のおバカなら、理解するまで何度も何度も懇切丁寧に教え込まないといけない。最近はちょっと賢くなったけど
それがアカハネには必要ない。1発で理解し、命令を遂行してくれるだろう
錬金毒を流し込んで弱らせる必要もない。アカハネの能力ならまだまだ巣にみっちり詰まってるアリ共を始末できるだろう
アカハネはスゥッと息を一つ吸い込んで、巨大アリの大きな巣穴に飛び込んだ
「「「「「ギギギィッ!!!」」」」」
「ピィッッ!!!」
「「「「「ギッ───」」」」」
飛び降りた瞬間、待っていたとばかりに大量のアリが同時に襲いかかる
しかしアカハネは動じることなく、思いっきり息を吐き出す
全身に焔色のエフェクトを纏ったアカハネの口から放たれたのは、蜘蛛を消し飛ばした時よりもデカくなった火炎放射であった
一息でその場にいたアリは全て消滅し、奥の方で待機していた後続まで巻き込んで消し飛ばしてしまった
賢いな……待ち伏せされてる可能性を想定して、攻撃準備をしてから飛び込んだぞ…?
攻撃を放った後、まだパチパチと燃えている炎をアカハネが吸収して消火していく
「密閉された場所で『火魔法』や火を使うと酸素がなくなって死ぬ」なんて不便な仕様はない。けど、ドロップアイテムが燃える可能性はあるのでありがたい
「ピィ!」
「いいぞ〜、どんどん行っちゃえ!」
てちてち進むアカハネの後ろを、俺はアリのタゲが来ないように『上級隠密』を使いながらついていく。ついでにドロップも回収しながら
『上級隠密』を使う都合上、メインジョブを【テイマー】にできないので経験値が減ってしまう。が、そもそもアカハネ一羽にしか戦わせていないので経験値は全部アカハネに行くから無問題だ
その後も、アカハネは順調にアリの巣を攻略していく
少数による奇襲は近接で度突いてしばき、多数が雪崩のように襲ってきたらバカデカ火炎放射で一掃する
無駄のない非常に効率の良い動きだ
最初にかけたバフも継続中だ
しかもこのバフ、効果はSTR上昇だけではない
状態異常耐性付与、デバフ抵抗付与、火属性付与&強化と、一つのバフで複数の効果を与えるイカレ技だ
なんて末恐ろしいんだ。なにが恐ろしいかってこの子、ついさっきレベリング始めたばっかなんだよ
まだまだ伸びしろがたっぷりある
まっ、強くて当然だけどな!
1キャラ1体しかテイムできないクエストテイム、それもゴリッゴリの戦闘タイプのモンスだ
しかも『決闘鯖』テイマー戦に選抜されることもある上澄みな上、メインの用途はストーリー攻略、マップ攻略ときたもんだ
1レベルでもこれくらいできてくれないと
「あ、そこの部屋はアイテムあるから火は使わないでくれな」
「ピィ!」
あんなに巣にみっちみちにアリ共が詰まってたのに、一度も立ち止まることなくスムーズに進んでしまっている。無双状態継続中
というか、適正レベルからかけ離れてるんだろうなぁ。さっきアカハネのレベルを見たら、あんなに倒したのに2つしか上がってなかったもん
ここ一応、『プリムス王国』内では上の下くらいの難易度してるんだけどなぁ……
「早いな、もう殲滅終わっちゃったよ」
「ピィ?」
お散歩感覚でアリを虐殺しまわり、女王部屋以外のアリを掃討できてしまった
範囲攻撃連発できると早いなぁ……錬金毒流し込むより早いんじゃないか?
「準備はいいか?じゃあ行くぞ〜」
「ピィ!」
特に気負うこともなく、メインディッシュの女王部屋に挑む
ボスエリアに入ると、奥に体長3mの女王アリがおり、その周りに頭のでっかい近衛アリが10体、さらに兵隊アリが14体いた
ちょっと取り巻きの数が多いパターン引いたな。まあ誤差でしかないか
「アカハネ、あいつら一人で倒せるか?」
「ピィ……」
おや?即答せず考え込んでるな?さっきまではすぐに「ピィ!」って返事してくれたのに
さすがに強個体が複数いると無双はできないと考えているのか
「ピィ!」
「お、行けるか?」
「ピィッ!」
少し考えていたアカハネだったが、どうやら一人で大丈夫だと判断したらしい
俺はその考えを尊重し、任せてみる
だがその問答をアリ共は待っててくれたわけではない
近衛アリと兵隊アリは陣形を組み、女王アリはバフを振り撒いて手下を強化し終えていた
バフ近衛アリが10体もいるのは厳しいぞ〜?今の俺でもちょっと時間がかかっちゃうだろう
アリ共は指揮系統が崩されておらず、万全な体勢で綺麗な隊列を組んでこちらへ突撃してきた
さて、アカハネはどうするかな?
「ピィィィィ……!!!!」
「えっ、ちょ待っ!?」
アカハネがちっちゃな手を後ろに引き、前のめりな体勢になる
スキル発動の力みで全身の毛が炎に戻ってしまうほど力を込めると、アカハネの頭上にブーメランのようなV字の炎が出現した
その炎は見方を変えれば、突撃する鳥を抽象化したもののようにも見えるだろう
「ピィッッッ!!!!」
「やべっ、[大岩]『シャドウダイブ』!」
アカハネが溜めていた力を解き放ち、V字の炎が射出される
その炎は進路上にいた近衛アリを吹き飛ばし、女王アリ目掛けて真っ直ぐに進んでゆく
そして、着弾
───ズムンッッッッ!!!!!
巣の中とはいえそこそこ広いはずの女王部屋全体を、爆炎と圧力が支配する
そんな状況に耐えられるはずもなく、ここにいたすべてのアリは体力が消し飛んでしまった
アチャ◯のくせに「Vジェネレ◯ト」なんて覚えるんじゃありませんっ!




