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生後1日です


 門を潜り、草原を駆け抜けて森へと向かう

 最初は西の虫から倒していこうかな〜


 なんて、思ってたんだけど……



「ピィ?」


「ピキーー!」


「アカハネ、ダメだぞ〜?」



 途中、俺のフードの中に隠れさせておいたアカハネが勝手に転がり出て、ポテっと落ちる

 そして、近くにいたスライムに興味津々に近寄っていった


 いや、ダメだからな?草原での魔物狩りは禁止されてるんだ。戦っちゃダメだぞ?

 ………でも、1匹くらいなら………



「ピキーッ!」


「ピィッ!」


「あっ」



 俺がちょびっと葛藤してる間に、スライムがアカハネに体当たりした

 トマトサイズのアカハネにスイカサイズのスライムが突進したのだ。アカハネは大きく跳ね飛ばされてポテッポテッと転がった


 念のためアカハネの体力を鑑定しておく

 案の定1ミリも減っていなかった


 いや、おそらくは体当たりを喰らった瞬間は1ダメージ以上のHPが減ってたはずだ

 しかし、不死鳥の名は伊達ではない。一瞬で全回復、何事もなかったかのように立ち上がってまたスライムへ駆け寄っていった



「ピィ?」


「プキー!」



 『いきなりぶつかってきたけど、このプルプルはなんだろう?』とでもいいたげに、アカハネはそのちっちゃいくちばしでスライムの粘体ボディをちょんちょん突く


 スライムはそれを挑発と捉えたのか、それとも特になにも考えていないのか、攻撃を継続する

 その場でポコンッとジャンプし、アカハネの上にベチッとのしかかった

 それだけでなく、なんと小さなヒヨコを体内に取り込んでしまった



「プィッ、プィッ、プィッ!」


「ピィ?ピッ!!」


「ピ!?ピギャッッ───」


「うわぁ」



 スライムの腹の中でプカ〜ンと浮かぶアカハネ

 スライムはまるで勝ち誇ったかのような笑い声っぽい音を発する


 しかし次の瞬間、アカハネが真の姿を解放

 ちっちゃな赤いヒヨコが、全身火だるまになる


 腹の中に突如超高温の火の玉が出現したスライムは、ボコボコと身体が一瞬で沸騰し、バチュッ!!と、爆発四散した


 む、むごい殺し方するなぁ……



「ピィ!」



 水色の粘体が四方八方に飛び散った悲惨な現場の中央に、元のちょっとぬくいヒヨコの姿に戻ったアカハネがコロンと転がっていた

 フェニックスの正体って、「炎を纏った鳥」じゃなくて「鳥の形をした炎」だからなぁ



「すごかったぞ〜アカハネ。でも次からは俺が言うまで待とうな?」


「ピィ?ピィ!」



 あらなんて聞き分けのいい子

 どっかの誰かとは大違いだ


 俺はちゃっかりドロップしていた[精霊門の欠片・粘液]を拾い、アカハネをフードの中に押し込んで森へと直行した






 『ファスト』の西の森、巨蟲エリア

 そこに入った俺たちを最初に出迎えたのは、体長1.5mはあるでかい蜘蛛の魔物[スパイダー]だった

 名前がそのまんますぎる件


 最初のエリアだからか、キモさは控えめ

 クリクリの目に太くて短い脚、ぷりぷりのお尻に、全身にクリーム色の短い体毛を生やしている

 巨大化させたハエトリグモみたいな見た目をしていた


 こいつの強さはゴブリンと同レベルかちょっと強い程度。こいつからは[精霊門の欠片・糸]をドロップするので倒していこう

 ちょうどいいし、アカハネにやらせてみよう



「キシャーー!」


「アカハネ、あれ一人で倒してこい」


「ピィ!ピィィ……」


「ちょ、降りて降りて!!?」


「ピィッッ!!!」


「キシャ──」


「あっぶっ!?燃える燃える!!」



 俺の頭とフードの間に挟まっていたアカハネに声をかけると、アカハネは降りずにその場で大きく息を吸い込み始めた

 俺が止めるまもなく、息を吹き出す。すると、アカハネのちっちゃい口からぶっとい火柱が伸び、スパイダーを消し飛ばした


 ア◯ャモのくせに「かえんほうしゃ」なんて覚えるんじゃありませんっ!



「ふぅ、危うくザビエルヘアになるとこだったぞ、『ウォーターウェーブ』」


「ピィ…?」


「いいか?仲間には当てないようにしろよ?あと威力も強すぎ。もうちょっと抑えような?」


「ピィ!」



 チリチリと燃えるフードのつばをぽふぽふとはたきながら、頭上のアカハネに注意する

 アカハネの火炎放射は蜘蛛を消し飛ばすだけじゃ飽き足らず、木を4,5本まる焦げにした。燃え広がって火事になる前に消火しておく


 わかってんのかわかってないのか微妙な返事をしたアカハネは、俺のマネでもしてるのかちっちゃな手でフードをポフポフと叩いていた


 こいつもまたヤンチャそうだな……

 ちゃんとしつけしないとな







 森の奥まで進み、いつものアリの巣に到着

 いつものごとく草むらから様子を窺えば、いつものように歩哨の働きアリが見張りをしていた

 うむ、いつも通りだ



「おし、アカハネ、あいつら蹴散らしてこい!」


「ピィッ!」


「お〜、えらいぞ!ちゃんと頭の上から降りたな!」



 俺の命令を受けたアカハネは、俺の頭からピョンッと飛び降りて、その短い足でアリのところへ走り出した

 賢いな。さっきの話をちゃんと理解して頭から降りるだけじゃなくて、俺から距離を取って攻撃が当たらないようにしたぞ?

 やっぱどっかの幽霊より数倍賢い可能性があるな


 ………ん?ちょっと離れすぎじゃない?そんなに前に行かなくてもいいぞ?



「アカハネ〜?」


「ピィッ!」


「ギィッ!!」「キチチチ」「ギギギ、ギ?」「ギィ、ギギ……」「ギギギギッ!!」



 [フェニックス・キッズ]の攻撃手段は全部遠距離技

 だというのにアカハネは、草むらから飛び出て尚アリの集団へゆっくりと───本()は全力疾走のつもりで───チテテテテと突撃していく

 なにをするつもりだ…?


 アカハネの接近にアリサイドも気づく

 しかし、侵入者がちっこいヒヨコだとわかって困惑しているようだ。『なんで自分たちを見て逃げ出さず、あまつさえ立ち向かってくるんだ?』と

 でも仕事は仕事。こんなザコはさっくり噛み潰してオヤツにしてやろう、とでもいうかのように、大顎を大きく開いて無謀な突撃を待ち構えた


 そんなアリ共の態度なんてお構いなしに、アカハネは突撃をやめない。途中で止まって攻撃を放つ体勢になるなんてこともしない

 ただ正面を見据え、ちっこい手足をばたつかせながら巨大な敵へ突貫していく


 そしてついに衝突

 赤いヒヨコはそのちっこい身体で、巨大なアリにタックルをかました


 ………全身に炎のような赤いエフェクトを滾らせながら



「ピィッ!!」


「ギッ───」


「「「ギギ!!?」」」



 瞬間、その場は驚愕に包まれる


 それもそうだ

 体長10cm程度のヒヨコに突進されただけで、体長1mはあるアリがぶっ飛ばされ、木に打ち付けられてバラバラになったのだ

 そういう反応にもなるだろう


 が、アリ共に唖然としている時間はなかった

 小さな凶星が、次のターゲットを見定めていたからだ



「ピィッ!!」


「ギッ───」


「ピィッ!!」


「ギギ───」


「ピィッピィッピィッ!!」


「ギ───」「ギギ───」「ギギギ───」


「ギギィ!?」「ギッ、カチカチカチ……」



 もう無双状態

 小さなヒヨコがテケテケ移動するだけで冗談みたいにアリが吹き飛んでいく


 想像できる?自分の十分の一しかない相手に小突かれた程度でぶっ飛ばされる気持ちを

 チワワにじゃれつかれたと思ったら10mくらい吹っ飛んで内臓ぐちゃぐちゃになったみたいなもんだ


 ようやくアリ共が増援を呼び始めたが、アカハネの猛攻は止まらない

 なんなら巣から増援が出てくるよりも処理スピードのほうが早すぎて、途中からはわんこ蕎麦方式で入り口に待ち構えて出てきたそばからぶっ飛ばしていた


 えーー、生後1日っす、はい

 さすがはクエスト産戦闘タイプのテイムモンスター、将来が末恐ろしい

 でも本職後衛なんだけどな


 アカハネがこんなにも無双できてるカラクリも俺は知っている

 それは「バフ」だ。強力なバフを自分にかけてるから、後衛なのにインファイトで無双しているのだ


 ちなみにこのバフは全体技なため、仲間の俺にもかかっている

 というわけで、ステータスを開いて効果を見てみましょー



「えーっと、「STR +100」。うん、やりすぎ」



 あのねぇ、ここいらのレベル帯のステータスなんて、特化してるやつでもいいとこ30とか40、極振りでようやく50がいるかいないかなんだよ?

 そんなとこに100なんていたらそら無双しますわな!



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