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がんばれサっちゃん


◆Side:サっちゃん



「でもどうするのサっちゃん?こんな量のアイテム、5時間じゃ集められないよ?」


「[オークの木材]は充分にあるし、[コッコの羽]も50枚近く残ってる。残りは手分けしましょ」


「手分けって、あとは蟲のとこの素材だよ?2人で行った方がいいんじゃないの?」


「それじゃ間に合わないわ。商業ギルドのマーケットを使うのよ」


「あ!他のプレイヤーが売ってるのを買えばいいのね!」


「そうよ。私のゴールドも渡しとくから、エリはそれで素材買ってて!あ、ぼったくりには気をつけるのよ!」


「わかった!それでサっちゃんはどうするの?」


「私は西の森に行って直接集めてくるわ!」


「りょ〜かい!それじゃあ、解散!!」



 私はサチ。友達のエリと一緒にゲームをしてるピッチピチのJKよ


 魔法使いのおじさんに言われたアイテムを集めるために、1人夜のフィールドに出る


 それにしてもおじさんが見つかってよかったわ。私のサブジョブは【魔法使い】。魔術師ギルドに申請する方法が使えないから、NPCを探すしかなかったの


 ベータテストの時に挫折した【魔法使い】に未練があったからダメ元で探すことにしたのだけれど、優しいエリはそんな私に付き合って一緒に探してくれたの


 【テイマー】であるエリだったら『テイム』スキルを上げれば魔術師ギルドに申請できるのに、「私だけ先に行けないよ!」と言って、ついてきてくれた


 私は元ベータプレイヤーで、エリはただの第一陣よ?不甲斐ないったらありゃしないわ。そんな彼女のためにもこのクエストは絶対成功させるわ!!



 夜のフィールドは危険なモンスターが出てくる。空からはダークバットが襲ってくるし、上ばかり注意してたら足元からダークラットやダークスネークが奇襲してくる


 一番やばいのがダークウルフね。あれの群れに襲われたら今の私には逃げることしかできないわ


 でも、リアルの時間は夏休みの夜。他のプレイヤーが大勢いるから遭遇(エンカウント)率が低いのが救いね



 たまに見かける魔物を避けて進み、西の森林に到着した。すこし進むと羽音が聞こえたので、そっちに向かうと巨大な蜂が飛んでいる



「夜の森に奥まで行くのは危険だから助かったわ。せいっ!」


「ギィッ!」



 体長1mはある巨大蜂、ジャイアントビーを剣で切りつける。アーツを使えば1発で倒せるけど、わざとそれをせず、通常攻撃で体力を削っていく



「カチカチカチ…」


「そうよ、仲間を呼びなさい!」



 フラフラと飛ぶ瀕死のハチが、大顎を打ち鳴らして威嚇する。これをされると周りのハチが集まって来るので、あまりやってはいけない危険行為と言われている


 集まったハチを倒しきれずまた仲間を呼ばれ、その集まったハチがまた…と、周囲のハチが全部来るまで終わらない地獄になることもある



「「「ギギギギッ」」」


「3匹、余裕ね」



 近づいてきたハチの下に潜り込み、アーツを発動



「『スラッシュ』!」


「「ギィッ!?」」



 うまいこと二匹に当てて同時撃破する。そのあとは瀕死にしたハチを通常攻撃で倒し、残りの1匹をさっきと同じように削っていく



「カチカチカチ…」


「このかんじなら、6匹までは行けそうね」



 アーツの数とCTからそう判断する。7匹以上の羽音が近づいて来たら目の前のハチだけを倒して逃亡ね。ミスしたらモンスタートレインになるから気をつけないと


 クエストに必要な[ジャイアントビーの針]のドロップ率は大体60〜70%らしいわ。時間いっぱいまでやったら100本集まるかしら?


 ヴヴヴヴヴヴ…



「ちょ、これ10体以上はいるわ!?撤退!!」



 前途多難な気がするけど、これも友達のため!頑張るのよ私!!


 でもこんな大量の虫はイヤーーー!!!!




◆Side:クロート




「お、ヒト◯ゲと煽りモンキー攻略されとるやん」



 少女たちが去った後レベリングを再開した俺は、全体アナウンスのログを見ながら今後の予定を組み立てていた


 俺の周りには『ライトスフィア』と『ダークスフィア』が回っている。レベルが高いアーツを使った方が熟練度を多く貰えるからな


 攻略されたボスは、南のファイアリザードと東のアクアモンキー。こいつらは体力が半分になると魔法を打ってくるので、『火魔法』と『水魔法』もワキるつもりだ


 他の2体のボスは、ロックタートルは魔法頻度が低いから効率が悪く、ウィンドマンティスは逆に連発してくるから調整が難しい


 あとこの2体は魔法がないと突破はきついだろうな。岩亀なんて、今の俺でもギリ倒せないぐらいの硬さだ


 まあ『風魔法』取ったら余裕なんだけどね。でも今取ると『土魔法』の難易度上がるから取らないだけだし、そもそも岩亀倒されてないから待つ必要あるし?



 ふと俺に、1つの企みが浮かんだ。『魔力操作』を解除し、回復するMPを全て『粘土』に使う


 MPを限界まで使ったら『瞑想』を使い、さらに回復量を上げる。『魔力操作』を使ってないため、『瞑想』の使用条件を満たしたかたちだ


 『瞑想』は、継続すると回復量が徐々に上がっていく特性がある。今のスキルレベルなら、1分弱でマックスの1秒間に最大HP,MPの1%回復になる。ちなみにSTは『瞑想』の使用条件上、1分経つ頃には全回復しているので除外だ


 言い忘れていたが、HP,MP,STの自然回復量は割合回復だ。スタートダッシュしたいなら、MPとSTは序盤から多めに振っておいた方がいいぞ?


 あ、これキャラクリのときに「後々語るかも」って言ってたやつだな



 タバコ薬の効果もあわせて2分程度でMPが全回復する。その度に『粘土』を連発し、また『瞑想』。途中で薬作りのための『乾燥』を使いつつも、順調に経験値が溜まっていく。そしてついにその時がくる



〈条件を満たしました。スキル『土魔法』が獲得可能となりました〉



「っしゃ!」



 小さくガッツポーズをする。これさえ解放できていれば、『風魔法』を持っているデメリットはなくなる



〈BP3を消費し、スキル『風魔法』を獲得しました〉



 さっそく『ウィンドボール』を発動し、いつものように自分の周りをグルグル回らせる。CTが開ける度に『ウィンドボール』を追加していき、どんどんボールが増えていく



「む、これが限界か」



 4つ目を追加しようとしたところで、『魔力操作』の支配が受け付けず、あらぬ方向へと飛んでいってしまう。今のレベルではこれで限界のようだ


 とにかく、とある目的のためにも、少女たちが帰ってくるまでに『風魔法』をLv.7には上げておきたい。あ、『闇魔法』も上げる必要があるかも?それも準備しないとな

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― 新着の感想 ―
[一言] > 私はサチ。友達のエリと一緒にゲームをしてるピッチピチのJKよ さちさんじゅうななさい。まだどくしん。じつはじっさいのねんせいh… あ、おい、なにをする、、やめr
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