第二陣
再開しやす
この章は短くなると言ったな?あれは嘘だ(ごめんね)
重要な話を詰め込んだ結果、酵母みたく内容が勝手に膨れ上がっていく罠 (ぴえん)
話数を分けて1話の内容を薄くしたくないので、かわりに1話あたりの字数が増えました(こぶし)
見てくれないと病んじゃうかも(ナイフハート)
▼▼
◆side:クロート
「か………勝ってる………!!」
ギャンブルで、大本命に見えた超大穴に全額入金してしまったことに気づいた後
俺は全財産をドブに捨てたショックから目を逸らすように、アナウンスもメッセージも確認せず黙々とレベリングをしていた
しかし、次の日
いつまでも無視し続けてはいられないと思い直し、アナウンスと向き合ったら………
〈おめでとうございます!あなたは見事優勝者予想を的中させました〉
〈払戻金はメッセージにて送付します〉
テトロの気まぐれか、それともそこまで捻くれてなかったのか
なんにせよ、ヤツは順当に優勝していたようだった
それで、肝心のリターンだが………
俺がテトロに賭けた金額が、1055万Gとちょっと
そして、テトロの最終オッズが…………
1.095倍
「ギ、ギリッッッギリ、100万プラスだ……!!!」
増えたお金が、0.095×1055万で………電卓機能ポチポチ
100万と2千Gちょい!!マジでギリギリだった!!?
あと一つでもオッズのカウントが下がってたら足りなくなってたぞ………
「と、いうことは、だ」
ニマニマと笑みを浮かべ、揉み手をしながらメッセージを開く
イベント報酬の一回戦敗退ザンネン賞で一瞬真顔になりながらも、本命のギャンブル結果のメッセージに辿り着く
メッセージを開き、添付されていた払戻金を受け取れば………
〈条件を満たしました。職業【ギャンブラー】に転職可能となりました〉
「っしゃ!!」
計算は間違っておらず、狙い通り【ギャンブラー】を解放することができた
よかったぁ〜〜!!!
この機会逃してたら、次に条件満たせるタイミングはだいぶ先になるからなぁ〜
今すぐ就職するってわけじゃないけど、キ◯タマレベルブーストの時までには全下級職を解放しておきたいし
あと100万Gの収入。これも地味にデカい
というより1000万Gのマイナスがなくなったのがマジでデカい
特に今は、フィルってプレイヤーがおそらく裏工作イベントを解決したことで、お金の価値が爆増したからな
前までは一日魔物を狩り続けてたら100万Gは稼げてたけど、今じゃ3〜4日はかかるからなぁ
………そういや、裏工作イベントが終わったってことは、あのイベントもそろそろ起きるな
イベントクリアされたのが3日前……ゲーム内で7日前だから、8日後……リアルで3日後か
「忘れんようにアラームセットしとこ」
X日のY時、『セカン』の軽食店、っと
さてと。今日はまず助言ごっこからこなしていこうと思っている
最近は自分のやりたいことが増えてきて、あんまり時間が取れなくなってきたからな
それに、今日から第二陣が参入してくる
いいタイミングなんじゃないか?
今日入ってきたばっかの新人にコオロギが話しかければ、なんかいい感じに作用してなんかがなんかするんじゃないか?(低学歴故語彙力皆無)
というわけで、やってきました『ファスト』の噴水広場
「おっ、多すんぎっ」
転移した瞬間、不思議な力でまた少し離れたところへ強制転移させられる
後ろを振り返れば、噴水周りには大量のプレイヤーがひしめきあっていた
こりゃ、端の方で『隠密』使いながら生産なんてできないな
そんなことしたら蹴り飛ばされまくりそう
結構広いはずの広場に、朝の通勤ラッシュかってくらい人がぎゅうぎゅう詰めになってる
通勤ラッシュは言いすぎか。えーっと、花火大会くらい?
………どっちも行ったことないけどね
しかもよく見れば、周囲の建物の屋根上にまで人がたくさんいた
装備の質を見る限り、ほとんどが先輩プレイヤーだ
勧誘なのか、友達との合流なのか知らんけど、あの位置は目立つだろうなぁ
「っと、俺も移動したほうがいいな」
転移時に人がいない場所へと飛ばされてここに転移したが、新規がどんどんインしてくるせいか人混みがこっちまで溢れかえってきていた
下手にこんなとこで立ち止まってたら邪魔になるな。さっさと移動しよう
噴水広場から離れたところもプレイヤーでいっぱいだった
特に冒険者ギルドへ向かう道や、街の外へ行く道はたくさんいた
と言っても、走り抜けられないくらい混雑してるってほどではない。でも馬車に乗ったNPCは道を塞がれ通り抜けられなくて怒ってるな
これじゃ、助言ごっこで1人だけに話しかけるなんてできそうにないな
どうする……?
ここは初心に帰って路地裏か?
裏工作イベントが進んだ影響で、浮浪者の取り締まりもされたから、路地裏に俺がいることは不自然だけど……
いや、「コオロギ」は浮浪者に偽装してたってだけで、別に浮浪者ではない
それに神出鬼没設定だし、どこにいたっておかしくないんじゃないか?
それに路地裏は、最初の頃にコオロギとして出没していた場所だ
「コオロギ」を求めているプレイヤーがあっちの方から来てくれるかも?
というわけで、脇道の方、人気の少ない方へと歩を進める
「なんでこっちも人が多いんだよ……」
しかし、メインの道路から逸れたにも関わらず、そこにもプレイヤーがそこそこの数いた
表通りほどってわけじゃないけど、どこを向いても視界に5人以上は人がいる状況だった
これくらいの密度なら1人だけに話しかけることはできそうだけど………
なんか、ここにいるほとんどのプレイヤーがなにかを探してるような雰囲気なんだよなぁ
まさか、みんなコオロギを探してる……!?
………さすがに自意識過剰か
こん中から助言を与える人を選ぼうにも、全員が求めてるようにしか思えなくて、誰がいいのかわからん
とりあえず、1人でいて、リアクションの小さそうな人を見繕おうかね
「ま、待てぇぇぇぇぇ!!!!」
「なんでぇぇぇぇ!!!?!?」
「あたしなんも悪いことしてないんだけど!!」
「やっぱこれまずかったって!!」
「初日からトラブルはイヤぁぁぁぁ!!!?」
「もうっ!!足を速くするスキルとかはないの!?」
「え〜〜っとぉ〜〜〜………あっ!『ダッシュ』!」
「「あんただけ速くなってどうすんの!!!」」
「く、くそっ!!誰かあの娘を止めてくれ!!!」
「ん〜?なんだなんだ?」
「おっやべぇ110番だな!(冷静)」
「もしもしポリスメン?」
「オッペケテンムッキー!」
「バカなこと言ってねぇで、捕まえろよ」
「ほならね?自分が捕まえてみろって話でしょ?」
「若い女の子に声かけるのは、いや〜キツいっす」
「せやろ?」
「というか、なんで追いかけられてんだあの子たち?」
「そりゃあ、あんな格好してたらねぇ」
「なるほど、エッチだ」
「もしもしポリスメン?」
「おにいさん許して!!」
「おう考えてやるよ」
「ダメみたいですね…」
「ま、ありゃ怒られるわな教会関係者には。─────悪魔コスなんてしてたらさぁ」
大量の第二陣プレイヤーによる喧騒から、一際響く喧しい声が聞こえてくる
なにやら、女性プレイヤーがNPCに追いかけられているらしい
表通りの方から聞こえてきていたが、追っ手を振り切るためか角を曲がり、俺のいる方へと向かってこようとしているようだ
その姿を見れば、追われている理由は一目瞭然だった
よし、ちょうど俺の方に来ているし、俺が止めてやるか!!
え?女の子に声をかけるのは大丈夫なのかって?
いや〜キツいっす




