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親方!空から女の子とかが!


▼▼



 次の日

 俺は悩み事なんかなにもないかのようにゲームを再開していた


 一回寝て起きたらなんかどうでもよくなってきた

 俺の特技は切り替えの早さだ。嫌なことは忘れる!楽しいことだけやる!それが俺のポリシーだ


 ………自分のことしか考えないクズの所業をしておいて無責任に逃げ続けてるだけなので、時々思い出しては罪悪感に押しつぶされそうになるけど




「あーあーあー、楽しいことだけ考えろーー『狙撃』」


「ギッ──」


「『擬態』」


「ギィ!?」「ギギギ?」「キィィ…」



 現在俺は、『変装』習得のために準備をしているところだった

 感知能力が高い虫系魔物相手に『隠密』を鍛えている


 弱めの[魔寄せのお香]を焚いて、集まってきた虫どものド真ん中で、見つからないよう位置を調整しながら潜み続ける

 それだと簡単すぎるので、わざとバレるような行動をして難易度を上げる。『隠密』のアーツも使わないと隠れ続けられないくらい追い込むことで、アーツを使った時に成功経験値が発生する


 身につけているものが周囲の景色と似ているほど隠密力の上がる『擬態』に、動かないでいると隠密力の上がる『静止』、物陰などで視界が遮られていると同上な『潜伏』などなど

 順番に使っていって経験値を稼いでいく


 今はまだ使えないけど、『隠密』レベルマックスで使えるようになる『魔力隠蔽』ってアーツが使えるようになれば、『魔力感知』でも捉えづらくなるぞ



「もうちょい強めでもよかったな、お香」



 ちなみに、[魔寄せのお香]はどういう用途であろうと違法なので、作るのも使うのもカルマ値が上がってくぞ?注意しよう!




「単調だし、もっとリスキーなことして遊んでみるか。『影走り』のCTが上がったら、魔物の間を縫うように走り回ってみよ…………おん?」


「ギィッ!?」「ギギギッ」「ギィィィィ!!!」



 次のアーツの使用法を計画していたら、集まっていた虫どもが急に散り散りに逃げ始めた

 なんでだ?お香の効果はまだ続いてるはず……


 ってことは、お香の匂いを振り切るほどの生存本能が働いたってことだ

 つまり、とんでもなくやべーのがこの近くに来てる可能性がある



「お〜、ここで来るのは激レアイベントじゃね?」



 そんな脅威の接近を察しながらも、俺はその場を動かずにいた

 だって逃げても意味ないし


 もし巻き込まれて殺されても、1デス程度さほど痛くもない。むしろ1デスの危険性だけで珍しいものが見れるんだ、留まるに決まってる



「どこだどこだ?そろそろ見える範囲にいそうな……おっと」



 周囲を確認していたら、なにかから逃げ惑うように遠ざかっていく反応の中に、一つだけ高速で近づいてくる反応が俺の『索敵』範囲に映った

 それも上空からだ


 だがしかし、これはおそらく俺に向かってきているわけじゃなくて……


 俺の探してるやつは、『索敵』範囲にまで近づかれたらすぐ気づけるような存在感だし、そもそも『索敵』に映るような相手じゃない

 今近づいてきてるやつはあまりにも小さい。それにこの反応は…………人間だな


 俺が考えを巡らせている数瞬のうちにも、そいつは迫ってきており………地面まで辿り着き、反応が消失した



「即死だな。こっちの方か」



 やはり彼は自分の意思で飛んでいたわけじゃないらしい、落ちていたんだ

 そして地面に激突し、落下死したようだな


 『擬態』用に纏っていたギリースーツを脱ぎ捨て、反応が消えたところにいく

 そこにはやはり、死にたてホヤホヤの人型ポリゴンと、ロストアイテムだろうものが転がっていた



「あらら、カワイソス」



 ポリゴン化する直前に一瞬見えた装備に少し既視感を覚えつつも、『索敵』に集中する

 そしたら、また一つ落下してくる反応が見つかった


 どうやら、空に挑んだバカがいたようだ

 ……いや、前情報ナシのこの段階で空へと挑戦するなら、むしろ勇者か?



「なるほど、こいつらが引き連れてきちゃったのか。じゃあ激レアイベントってほどでもないな、レアではあるけど。………いや待てよ?なにも知らない状態からこの状況になるなんて、かなりの偶然が重なってないか?超激レアケースじゃね…!?」



 なんて1人で勝手に盛り上がりながらも、落ちてきた2人のプレイヤーの落下地点からある程度の位置を割り出し、空を仰ぐ


 すると、なにやら籠のついた風船のようなものが浮かんでいるのを発見できた。それ以上にデカいやつが隣を飛んでたけど

 なるほど、[気球]を使って空に行ったのか




「……ん?んんんん!!?!?…えっあれちょ待ってまさか………ッスゥーーーーー((空気を吸い込む音))………まっずい、すごくまずい。あれは助けた方がいいな。いや、絶対助けなきゃいけない。俺には助ける義務がある」



 しかし、その気球にはどでかい穴が開けられており、だんだんと高度が下がってきていて………あっ、撃墜された


 俺のスーパーマサイ族アイは、数百m上空にある気球の籠に、まだ1人残っているのが見えていた

 その人は撃墜の衝撃で投げ出されたが、運良く気球の残骸に乗っかってムササビみたいな状態になり、落下が少し緩やかになっていた

 でも速度が落ちててもあれだと地面に激突したら死んでしまうだろう


 だが問題はそこではない。俺が注目していたのはもっと別のところだった




「あの気球に使われてる、綿()()のように白い布………すぅ〜〜〜んごい見覚えあるんだよなぁ…(汗)」


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