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全クリまでがチュートリアル


 AWRには、プレイヤー間で「チュートリアル」と称されるものが複数ある



 まず一つ目は一番最初のチュートリアル。ゲームに初めてインした時に必ずやらされる、公式チュートリアルだ


 ここでは簡単な身体の動かし方、スキルの使い方、ステータス画面やインベントリメニューといったU(ユーザー)I(インターフェース)の開き方などの初歩的操作を教えられる

 なお、ここで教えられることの半分以上は、思考操作で手順をショートカットできたりする



 二つ目のチュートリアルは、最初の町ならぬ最初の国、『プリムス王国』からの出発までだ


 オープンワールドを謳うにはこのちっぽけな国はあまりにも狭すぎる。だからといって何も知らせずにいきなり広い世界に解き放つのはまずい

 そのために用意されたのが、このフィールドと4つのイベントだ


 1個目はスタンピード。多対多のP(プレイヤー)v(バーサス)E(エネミー)

 2個目は武闘大会、個人戦。一対一のP(プレイヤー)v(バーサス)P(プレイヤー)

 3個目は採取、製作、納品系。プレイヤー同士の協力やNPCとの交流が求められる

 そして4個目は武闘大会、パーティ戦。五対五のPvP。と見せかけて………


 AWRをやる上で一番重要なのは4個目のイベントだな。あれでこのゲームの片鱗を見せつけられる


 ……そういや、このチュートリアルイベントって第二陣以降のプレイヤーはどうすんだろ?そこら辺全然知らんなぁ

 適当な『公式鯖』に途中参加したときは、とくに何もなかったけど……



 そんで三つ目が、下級職コンプリートだな

 下級職自体が上級職のチュートリアルな節もある


 下級職は自由度が、というか選択肢が少ない。最適解というのがほぼほぼ決まっていて、独自性が生まれにくい


 ジョブの選択順とかで個性を出すことはできるが、結局は全員が全部のジョブを取ることになる

 下級職は取れるジョブが決まっている。そのせいで全員が似たようなステータスになっていく

 SP振りで多少は差が出るが、それでも下級職オールカンストで貰えるステータスボーナスの量からすれば焼け石に水だ


 全員が半強制的に似通ったロールをさせられる。そのおかげで研究も早く進み、操作に慣れやすい環境になった、のかもしれない

 周回勢からしたらつまらん以外のなにものでもないのでさっさと突破したいのだが


 で、それを突破した先にあるのが上級職。選択肢がバカみたいに増える


 なんせ、一つの下級職から10個前後、多いものだと20個以上もの上級転職先が出てくるのだ

 組み合わせ方の数はもう尋常じゃない。億や兆なんて生ぬるい、「(せい)」とか「(さい)」とか意味わからん桁が出てくる


 まあ、育成方針によってある程度選択するジョブは決められるけどね

 というのも、それぞれ10個前後もある上級転職先の半数以上が、いわゆる「捨てジョブ」と呼ばれるものだからだ


 捨てジョブというのは、メインで使いたいジョブを活かすためにステータスボーナスだけ貰う、それだけのために取得するジョブのことだ

 例えば、【剣士】の上級職なのにINTが伸びたり、【魔法使い】の上級職なのにVITが伸びたり。【盾士】の上級職なのに元のVITを削りながらAGIが大幅に伸びたりする。そんなジョブ群のことだ


 これがあるから、下級職時代に均一化していたステータスに色を出せる。特化構成とかもようやく楽しめるようになってくるのだ

 ……『ソロ鯖』だと基本1人で全部なんとかしなくちゃいけないので、結局万能型になりがちだけど


 今回はどうしよっかなぁ…。生産系を捨てジョブにすることはなかったけど、これを他の人にやってもらうこともできるわけで……ああでも交渉とか誘導とかめんどくさそう

 その時になったら考えるか。最悪()()()()もあるし



 そんなわけで、AWRは上級職になってからが本番だ。だからといって下級職時代をおろそかにしていいわけではないが……周回勢からしたら、何度も通る道すぎてぶっちゃけ作業ゲーだ


 これ以外にもいろいろチュートリアルと呼ばれるものもあるな。戦争チュートリアルとか大陸チュートリアルとか

 スケールのでかいものだと、「一度全クリするまでがチュートリアル」なんて言っちゃう廃人も一定数いるな


 いやいや、一回クリアするのにあんなにも時間かかるのに、チュートリアルて……

 まあたしかに、ノーマルエンドに比べたらハッピーエンド、特殊エンドとかは難易度が10倍くらい違うけどさぁ


 ノーマルルートじゃエンドコンテンツ扱いだった()()()()も極めていかなきゃいけないし




「このサーバーはどのくらいの難易度のルートになるかなぁ……」


「ーー!ーー!」


「あーはいはいレベリングね。畑作業だけやっちゃうからもうちょい待ってて」


「ーーー!?」


「まってまってこれが最後だから!!」



 急かすように俺のまわりをグルングルン回るミュラをひっつけながら、さっさと収穫と作付けをする


 植えてあった[綿雲花]、[雷雲花]、[暗雲花]を収穫し、作り置きしといた肥料をちゃっちゃと撒く

 ちなみに[魔草]とかは植えてない。あれは成長が早いからな。放置で成長させるのは時間が長いやつを優先したい。短いやつは、『作製加速』で増やせばいいし


 肥料を撒き終わったらまた苗を植えておく

 その中の2つを、さっき作ったばかりの[月光草]を株分けして植える

 [月光草]も成長時間が長い。作る時は20時間かかったが、増やすときも20時間必要だ。夜限定の条件がなくなってるのが救いだな


 [月光草]はもうちょい本数を増やしてから植えたかったけど、そうしたらさらに時間がかかってミュラがおこになってしまう


 あらかた作業を終え………[擬似雨発生装置]の燃料が切れかけてることに気づく

 倉庫からクズ魔石を持ってきて、ジャラジャラと投入。でっかい丸底フラスコみたいな装置の中がボコボコと沸騰し、もくもくと雨雲モドキが生成された



「ーーー?」


「へいへい終わりましたよ。そんじゃ行こか」


「ーー!!!」



 思ったより時間がかかってしまった。ミュラには内緒だけど、多分今夜中にもう一進化は無理そうだな



「さて、どこでレベリングしようか……。うーむ、その前にあれだな」


「ーーーー?」


「まずは、序盤最強武器を手に入れようか」



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