書庫番としての日常
ブックマーク増えてた!やったー!
ここは魔王城。世界を恐怖に陥れると豪語している魔王が住まうお城だ。そんな目的を持っているものだから、魔王は……というより魔族は世界中の共通の敵の様なものになっている。まったく、面倒なことだ。
私はそんな魔王城の書庫で書庫番として働いている。要はここで本の管理をしているということだ。一応本の貸し出し業務や新しく出た本の購入などの業務もあるのだが……魔族連中はほとんど本を書くこともないし、勿論読みに来ることもない。
つまりほとんど仕事がなくて暇だということだ。暇は魔族にとってとんでもない敵だ。性格的なものもあるとは思うけれど、あまりにも多くの魔族がじっとしていられない様子から、私は種族的な特性なのだと思っている。
だけどそれは、私には当てはまらない。何故なら、私には本があるからだ。本さえあれば、暇なはずの時間は瞬く間に甘美なる時間へと変化を遂げる。だから暇は問題ない。むしろ来い来い暇な時間! と思っていたのだけれども……。
ドカカカカーン!!!
あまりにも騒々しすぎる。これでは、幾ら本の虫の私でも本に集中することができない。というか寧ろ、この騒ぎがこっちに来ないか不安だ。ここにある沢山ある本たちがめちゃくちゃになってしまわないかと言った様な意味で。
魔族のみんなはここが魔王城、魔王の住まうお城だということを理解しているのだろうか。……してないんだろうなぁ。もしくは、これぐらいの騒がしさでは迷惑にはならないと思っているのだろうか。
どっちにしても嫌だなぁ、と憂鬱な気持ちになる。そんな魔族たちのことを魔王が怒っていないのだから私が怒るのが筋違いだとしてもだ。……まったく、今代の魔王は寛容が過ぎるなぁ。思慮が無いとも言えるけど。
そんな感じで部下の統制すらまともに取れていないのが、今代の魔王というわけなのだけれど……魔族の視点に立って見てみると、決して悪い存在というわけではない。
何故なら強いから。これに尽きる。常日頃から魔族の中で最強の存在がなるのが魔王という役職なわけだが、今代の魔王はパワータイプ。筋力は歴代の魔王と比べても中々のものだ。魔法こそ使えないが、それを補って余りあるパワーがあると言えるだろう。全くもってスタイリッシュではないが。
そんなまさに脳筋を体現している魔王だからこそ、書庫を優遇することもないが、代わりに害をなすこともないだろうと思っていた。放置さえして貰えれば今の生活は守られるのだ。それで満足だと私は思っていたのに。
しかしまさか、ここまで私の読書生活に支障をきたすとは。これは私の想定が甘かったと言わざるを得ない。腐っても魔王、私の考えなどお見通しということか。
これは……半ば引きこもりの私が書庫を出る時が来たかもしれない。
普段、書庫を出ることがない私はここからの外出が禁じられているのかと思いきや、全くもってそんなことはない。ミスリードという訳だ。そうじゃないと外に本とか買いに行けないからね。遣いに出せる様な部下がいる訳でもないし、書庫番は孤独なのだ。
という訳で出発の時だ。私の多彩で素晴らしいコミュニケーション能力を以て、この騒々しい何かを辞めさせなければ。そして手に入れるのだ。私の安寧なる読書生活を!
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