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カトリア戦記  作者: 山水香
王国の運命
9/21

過去の記憶

「おっ、ネロじゃないか。一人で敵を全滅させたらしいじゃないか。すごいな!」


「どうも。」


ネロは首都カトリアの町中を一人歩いていた。


いや、厳密には一人ではなかったが。


「さっきからあんなに褒められてるのになんでそんなにそっけないんだ?」


「うるさい、付いてくるな不審者。僕がどういう行動してもお前には関係ないだろ。」


ネロは起きてからずっと付きまとうこの不審者に嫌気がさしてきていた。


大体こいつはどこまでついてくるんだ。


さっきもトイレにまで入ってこようとしたし、どういう神経してんだよ。


「せめて街中では話しかけてこないでよ。変人と思われる」


ネロの言い分は最もだった。しかし、ネロは既に変人だと思われている。


現に今も町の人は何もない空間に話しかけているネロを見て


“ああ、またなんか変なことしてんな”


と思っていた。


そんなネロの前を彼と同じ年頃の二人組の女性が通りがかった。


彼女達はネロがいつも口説こうとしている人たちである。


「あら、ネロじゃない。聞いたわよこの前の戦いですごく活躍したらしいじゃない」


「ほんとすごいわよね。いつもあんな執拗にナンパしてくる姿からは想像できないよ」


「あ…ありがとう」


「…どうしたの?元気ないみたいだけど」


「たしかに。いつものネロなら


『いやー。まあ僕もやるときはやる男だからね。


 今、僕フリーだし彼女の席空いてるよ。


 とりあえずこの後お茶でもどう?』


 くらいは言ってくるのに、確かにおかしいね」


うしろにこんな不審者がいたら元気なんてなくなるよ。


というか、僕っていつもそんなふうに思われてたのか。


ネロは衝撃の事実をさらっと言われてさらにしょげてしまった。


「いや、大丈夫だよ。


 でもさすがにちょっと疲れたんだよね」


「なるほどねー。


 まあお疲れ様、今度お茶くらいなら行ってもいいわよ」


「その時は私も誘ってねー」


「やったー。じゃあまた今度ね」


二人は手を振りながらどこかに歩いて行った。


「よかったな、モテモテじゃないか」


「・・・・・・」


くそ、こいつさえいなければ今すぐにでも行きたかったのに。


というか今度一緒にお茶できるといってもこいつがいたら台無しじゃないか。


・・・よし、かくなる上はグラディウス山で巻いてやろう。


ネロは立ち止まったかと思うと。突然街の外に走り出した。




ネロは無我夢中で走りグラディウス山の麓までやってきた。


「はあ…はあ。あいつも急に走るとは思ってなかっただろ」


ネロの目論見通り、不審者の姿は見えなかった。


不審者が追ってこないとわかるとネロは近くの草原に座り背中の岩にもたれかかった。


「・・・・・・」


あいつがこっちに来るまですこし待つか。


・・・最近はどうも僕の平穏が失われている気がする。


さっきの不審者のこともそうだし戦争のことも……。


嫌なこと思い出した。さっきまで忘れていたのに。


お気楽な考えの持ち主であるネロにも、先日の血の感触はまだ残っているらしい。


だめだ、そんなこと考えていても気が滅入るだけだ。


そうだ、あの変態から逃げることに夢中だったけどグラディウス山の麓にまで来たじゃないか。


さっきまでのことなんか全部忘れて詩のことだけ考えていよう。


風に揺られる新緑の林、差し込んでくる木漏れ日、そこを流れる小川、その向こうでポーズをとる全裸のマッチョ、どれをとっても素敵な詩が……最後だけなんかちがう。


「いつの間に来たんだよ。」


そういうとネロはこの場を離れようとした。


「む。趣味の時間は終わったのかい?おいなんで逃げようとしてるんだ。」


そういうと変態は逃げるネロを羽交い絞めにした。


「やめろ触るな変態!大体なんでこんなについてくるんだよ。」


「私は君のイメージなんだ。ある程度近くにいないと私は消滅してしまう。


 君こそなんでこんなに逃げるんだ。できることならなんでもするから逃げないでくれ。」


そういうと、変態はネロをつかむ力をさらに強くした。


「あ゙あ゙あ゙―――!やめろ、体を密着させるなー!!そのムキムキマッチョなところが嫌なんだよ。」


「そんな、ムキムキマッチョだなんてほめなくても。」


照れる変態。


「違う褒めてない。


 あーもう。


 とりあえずそのビジュアルをどうにかしろーーーーーー!!!!!」


その瞬間、変態が突如光に包まれた。


ネロがまぶしさに目を瞑っていると、やがて光は収まりネロはマッチョの腕から解放された。


そして、ネロがまだ目をチカチカさせていると前から聞いたことない声が聞こえた。


「なんでだ?私の筋肉はどこに行ったんだ?」


ネロがようやく目を開けると、さっきのマッチョはおらず、かわいらしい少女がそこはにいた。


どうも、二日ぶりの投稿です。更新が遅れて申し訳ありません。現実が忙しいのと物語の展開で悩んでいたので遅れてしまいました。今日は3話くらい投稿する予定だったのですがまだ忙しいのでもう1話くらい投稿したいと考えております。

第一章の脱字、一人称について修正しました。また国家紹介と本編の補足に<馬についての>項目を追加しました。

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