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カトリア戦記  作者: 山水香
共和国へ
13/21

到着

「おい。そろそろ共和国に着くぞ」


「うん」


「聞いてるのか?」


「うん」


ネロ達大使団が聖地アナトリコンに到着した三日後、


一行は共和国の首都レーベルランドにもうすぐ到着するところであった。


しかし、ネロは昨日のショックからまだ立ち直れていなかった。


「いい加減立ち直ってくれよ。


 確かにピラミッドは壊れていたのを黙ってたのは悪かったけど共和国にも面白いものはあるぞ」


「うーん」


「だめだこりゃ」


セドリックはネロを精一杯励まそうとしていたが、当の本人の機嫌が直る兆しは全く見られなかった。


「ほら元気を出せ。


 確かあれが共和国の首都レーベルランドだ。

 

 頼むから夜のモーデンベルク殿主催の食事会までには機嫌を直してくれよ」


紆余曲折あったが一行はレーベルランドに到着した。




その日の夜


セドリックの言った通りモーデンベルクの自宅で食事会が開かれることになった。


モーデンベルクの自宅はさながら宮殿のようないで立ちをしておりた。


食事会の会場も吹き抜けとなっており上からシャンデリアがつるされているなど豪華なつくりであった。


食事会にはモーデンベルクの他、


共和国の首脳陣、もとい大富豪たち


共和国に駐在しているロンバルキア同盟の関係者が参加していた。


王国からはネロのほかセドリックら事務要員として共和国にやってきた数名、


あとアテネもやってきていた。


それぞれテーブルに並べられた料理をたしなみながら話をしていた。


ネロもまた主催者のモーデンベルクと話をしていたがどこか上の空であった。


「いやー。よう来てくれはりました。


 道中大変でしたやろ。


 今夜は旅の疲れをいやしてもらいたいと思とります。


 どうぞ楽しんだってや」


「はい」


「ははは。


 わいはこれでもいろいろなところを旅したけども今回あんたたちが通った道はわいでもかなりきつい部類に入りますで。ネロはんもえろう疲れてまんな」


モーデンベルクは主催者でありながらもうすでに酔っぱらい、ネロに絡んでいた。


「あーそうなんですか」


あーピラミッドは見えなかったし、おっさんの変な話は聞かされるしめんどくさいな。


こんなんだったらこんなとこ来るんじゃなかった。



そんなことを考えているとふと向こうのテーブルの前にいた女性が目に入った。


「・・・あの娘は誰ですか?」


「ん?おーあれはわいの娘ですわ。もしかして興味がありまっか?おいラシャ」


僕が何かを言う前にモーデンベルクはラシャであろう女性をこちらに呼び寄せた。


モーデンベルクに呼ばれた女性は長い金髪をまっすぐ降ろした青い目の女性だった。


「どうしましたかお父様?」


「実はな、このイケメンのお兄ちゃんがお前に興味あるらしいんや。


 相手したってくれへんか?」


「いや別にそういうわけじゃ…」「いいですよ。お兄さんどこから来たの?」


しまった。否定しようと思ったけどタイミングを逃した。


そして僕は否定できないままその娘と話すことになり、あのおっさんもどこかに行ってしまった。


「えっとカトリア王国ってとこから来ました」


「まあ。ということは噂の大使様かしら?」


「そうです」


ラシャは少し驚いたがすぐに落ち着きニコッと笑った。


「お会いできて光栄です。


 まさかあの噂の英雄様に出会うことができるなんて」


まさか初対面の人から英雄様なんて言われる日がくるなんて思いもしなかった。


「王国でも同じようにみんなから言われましたよ。


 でもこっちでも同じように言われているとは思わなかったけど」


「たしかに十字軍はうちの味方だったけど、あの人たちは別に好きじゃなかったんだもの。


 ・・・今言ったことは内緒にしてね。」


そういうとラシャはいたずらっぽく笑って見せた。


こんなに無垢できれいな笑みを浮かべる人初めて見た気がする。


というか、最初から英雄様呼びだなんてこの子僕に一目ぼれしたんじゃないか?


そういえばさっきの笑顔も会ってすぐするようなものじゃなかった気がする。


どうしようこの子僕のこと好きなのかもしれない。


ネロは今まで抱いたことのない感情が自分を支配していることに気付いていなかった。


ラシャではなく、自分の方が彼女に恋をしてしまったのであった。




あの馬鹿何してんだ。


立ち直ったと思ったら急にニヤニヤしてやがる。


自分が大使ってことわかってんのか?


セドリックは食事会に参加していた外交官達と同盟の具体的な打ち合わせをしていた。


「では正式な同盟の締結などは大体一か月後ということにいたしましょう。」


「了解いたしました。お互いの将来にとってより良いものといたしましょう。」


「しかし、セドリック殿は優秀ですな。


 一人で事務作業を進めることができるなど、


 さすがはあの名軍師アンリ・アウグストの子孫なだけありますな。」


「ありがとうございます。


 しかし、まだまだ至らぬことの方が多いので皆様方のご協力お願いいたします。」


「もちろんですぞ。我々はもはや家族同然、喜んで協力いたしましょう。」


そんな会話をしていると一人の男が思い出したかのようにしゃべりだした。


「そういえば、実は私今日近くの山に最近できたという寺に行ったんですよ。


 そこでお守りを買ったので今日の記念に差し上げましょう。」


そういいながらその男はセドリックに安全祈願と表に書かれたお守りを握らせた。


「ありがとうございます。これでどんな危機にも対処できる気がします。」


「そうで言ってくれるとこちらもうれしいですな。」


外交官たちは他にも用事があるらしくだんだんとほかのテーブルに散っていった。


セドリックはひとまず料理を食べようとテーブルに向いた。


するとさっきまで誰もいなかったはずのテーブルの上で少女が料理を食べていた。


「あれ?お嬢さんどこから来たんだい?テーブルに乗ってはいけないよ」


少女はしばらく反応しなかったが、自分のことだとわかるととても驚いたそぶりを見せた。


「私のことが見えるのか?」


セドリックが話しかけたのはアテネであった。


今日はこれで終わりにしてすでに投稿しているものを修正したいと思います。

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