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第二十七話 幼馴染・夏森さん

「海春くん。昼休み、ちょっと話があるんだけど」


俺のクラスメイトが話しかけてくる。


月曜日の朝の教室。


「うん? 夏森さん、話って?」


彼女は、夏森寿々子。高校一年生から同じクラス。


それだけではなくて、幼馴染。


幼稚園の時から小学校二年生の頃までは、一緒に遊ぶことは多かった。


アニメもよく一緒に見た。ゲームもよく一緒にした。


楽しい時間を彼女と過ごすことができたと思う。


康一郎や鈴乃ちゃんと一緒に遊んだこともある。


しかし、彼女とは小学校三年生の時、別々のクラスになった。


それからは一緒に遊ぶことも少なくなっていくが、それでもまだ一緒に遊ぶことはあり、その時は楽しかった。


その年の九月。


俺は彼女と久しぶりに遊びたいと思い、誘うことにした。


夏休みの間は一緒に遊ぶことはなかったので、楽しみにしていた。


ところが、夏森さんは、仲良くなっていたクラスの女の子の友達と先に約束していたので、遊ぶことを断られてしまった。


同じクラスの子と遊んでいた方が楽しいのかなあ……。今まで、一緒に遊んでいて、夏森さんの方も楽しいと思っていたのに……。


俺は寂しく、そして、つらい気持ちになった。


それ以降、彼女を誘うことは遠慮するようになり、彼女とは疎遠になっていった。


中学校も同じだったが、クラスが同じになることがなかったこともあって、あいさつをすることも少なくなっていった。


その後、同じ高校に入学し、同じクラスになった。


それからは、あいさつはするようになったし、中学校の時より話も少しはするようになった。


しかし、幼い頃の親しさはないと言っていい。


呼び名も、昔は下の名前で呼んでいたのだが、今は苗字呼びになっている。


昔は、お互いに、夢海ちゃん、寿々子ちゃん、とちゃん付けで呼んでいたものだけど……。


寂しいと思うこともある。


背は百五十センチくらい。男子からの人気は結構ある。


告白もされているようだが、今付き合っている人がいるかどうかはわからない。


俺は彼女に異性としての興味を持ったことは、今までなかった。


しかし、こうして間近で見ると、結構かわいい。


幼い頃もかわいいとは思ったが、それに磨きがかかているようだ。


でもいったいなんだろう。


相談ごとだろうか。


もしそうだったら、力になってあげるべきだろうと思う。


でも今は、たいして親しくもない俺に相談なんてするのだろうか。


相談だったら、もっと親しい人にすべきだと思う。


それに相談されたからと言って、力になれるかどうかはわからないのだけど。


「それは昼休みに話すから、お昼ご飯を食べた後、体育館の入り口まできて。お願い」


彼女は頭を下げる。


うーん、やはり相談ごとかなあ。


少し顔を赤くしているような気もするけど。


とにかく話を聞くことにしよう。


「まあいいけど」


いつもは康一郎と昼食を食べた後もおしゃべりをしているのだが、今日くらいはいいだろう。後で言っておこう。


「じゃあ、よろしく」


そう言って彼女は自分の席に戻っていった。




そして昼休み。


昼食をとった後、康一郎には、


「ちょっと用事があるんだ。ごめん」


と言い、体育館の方へ向かった。


体育館の入り口に着くと、既に彼女が待っていた。


「ごめん。待った?」


「うん。ちょっとだけ」


「ごめんなさい」


「いや、謝ることじゃないわ。呼び出したのはわたしなんだから」


彼女はなんだかもじもじしている。


「それで、話って何? 相談だったら、俺の出来るところまでだったら、乗ってあげたいと思うけど」


「その……」


顔がだんだん赤くなってきていた。


「出来るだけ力になるよ」


「海春くん、優しいね」


「いや、そんなことないと思うけど」


「わたし……」


そう言うと、彼女はうつむいてしまう。


「どうしたの? 具合が良くないの?」


「そういうわけじゃなくて……」


「体の調子が良ければいいんだけど」


俺は彼女を心配してそう言った。


すると、彼女は真剣な表情になり、


「わたし、海春くんのことが好きなの。付き合ってください。お願いします」


と顔をさらに赤くし、頭を下げながら言った。


好き? 付き合ってください? それってどういうこと?


俺は、とても驚いてしまった。


「わたし、海春くんに、幼い頃から好意は持っていたの。海春くんもわたしに好意を持っていたんじゃないかと思っていた。でも疎遠になっていっちゃったから……。もう幼い頃のことなど忘れていたと思っていた……」


忘れていなかったわけじゃないんだけど……。


クラスが違っただけならば、また仲良くなっていったかもしれない。


しかし、疎遠になってからは、彼女に対してどういう対応をしたらいいかわからなかった。


そして、俺はのずのさんに恋をした。


失恋をするまでは、異性というとのずのさん、ということになっていた。


夏森さんとの幼い頃の思い出を思い出す機会は、どうしても少なくなっていったということは言えると思う。


「年が経っていくにつれて、だんだん気難しそうで近寄り難い雰囲気になっていた。だから、話しかけるのも難しかったの」


まあ、俺は自分でも思うくらい、人との付き合いは苦手な方だ。


でも疎遠だった時間が長かったとはいえ、夏森さんがそう思っていたなんて……。申し訳ない気持ちだ。


「でも、それはわたしが海春くんのことを理解していなかったから。優しくて頼もしいところは、幼い頃から変わっていなかった」


「それは何かの間違いじゃ。俺自分では別に優しいとは思わないし、それほど頼もしい人間だとは思ってないんだけどな。それにイケメンの中には入らないだろうし」


「そうやって、自分のことを全く誇らないのも素晴らしいと思う」


とにかく俺に好意を持ってもらえるのはありがたいと思う。


「高校一年生の時、わたしは落ち込んでいたことがあったんだけど、その時励ましてくれた。それまでは海春くんとは疎遠で、寂しいところは多かった。でも昔と同じで優しい。全然そこは変わっていない。うれしいなあ、と思ったの。それから海春くんのことが、恋という意味で好きになったの」


忘れていた。


今、夏森さんに言われて思い出したところだ。


「ありがとう。でも俺、別にたいしたことはしていない。むしろあたり前のことをしただけだよ。落ち込んでいたら声をかけて励ますのが普通だと思う」


「いや、普通はそうは思っていても、なかなかできるものじゃないと思う。海春くん、イケメンじゃないって言っているけど、わたしからすると、充分すぎるほどかっこいいと思うわ」


紗緒里ちゃん以外でかっこいいって言われたのは初めてな気がする。


「ありがとう。ここまで褒めてくれる人はなかなかいない」


「そんなことないわ。海春くんのこと、全く知らない人や、普段の気難しいような態度しか知らない人はわからないと思うけど、海春くんの素敵なところを知ったら、好きにならないわけがない。だんだん海春くんの魅力が女の子たちに伝わり始めているから、そういう子たちが、海春くんのこと好きになるのも時間の問題だと思う」


「今一歩、自分に魅力があるって言うのがわからないんだよなあ」


「わたしから見ても魅力的だと思うよ」


「ありがたいとは思うんだけど……」


でもそう言ってくれるのはうれしい。


「わたしの海春くんへの想いがどんどん強くなってきたのと。海春くんに告白する相手が出てくるかもしれないという思いがあって、わたしはいてもたってもいられなくなったの。それで今日、告白することにしたの」


「そうだったんだ」


「海春くん、付き合ってくれるよね」


夏森さんは、また顔を赤くしながら、俺に言ってきた。


「面白い」


「続きが気になる。続きを読みたい」


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