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第8話 Friends


私は今、奇跡を目の当たりにしていた。


「ティアさん。私と友達になってくれませんか?」


目の前には小動物のように愛くるしい見た目をしたクラスメイト。

名前はターニャさん。

ボリュームのある黒髪はボサボサであちこちがハネており、丈が合っていないのか着ている制服はダボダボに着崩れしている。

靴も片方しか履いてないし、体から強烈な腐臭が漂っていた。

何の臭いかしら?……牛乳?


そんな愛くるしいターニャさんが私と是非友達になりたいと言ってきた。

これを奇跡と言わずして何と言うのか!!


「雑巾ターニャが破壊王に取り入ってるぞ!」

「仲良くしてあげてたのに恩知らずよね~♪」

「迂闊にからかえなくなったな」


周りからは色んな声が飛び交う。


私は雑巾ターニャと口にした男の子の前に立った。


「な、何だよ!暴力で従わせようってか?」

「違いますわ……。王は男性の場合です!女王とか女帝に変更なさい!」

「……お、おう」

「ちゃんと広めておきなさい!宜しいですね!」

「わ、分かったよ!!」


言質は取ったわ。

変わってなかったら、天に代わって相応の罰が下されるわよ!



私はターニャさんの所に戻った。


「ターニャさん。早速今日の放課後街に遊びに行きましょう♪」

「えっ?私ですか?」

「貴女以外に誰が居ますの?貴女と私は友達になったのですから!」

「わ、分かりました!」

「楽しみですわ♪」

「…………」




放課後……


「先ずは服を買いに行きましょう!」

「は、はい!」


友達記念でターニャさんの服を大量に買った。


「次は体を綺麗にしましょう!」

「は、はい……」


エステみたいな店に行き、一番高いコースを選んだ。


「お腹が空いたので食事にしましょう!」

「………はい」


1人では入り辛い美味しそうな料理の店があったので一緒に食事した。


「後は……ターニャさんの家に行ってみたいわ!」


友達の家に遊びに行く。

これを成してこそ真の友達と言えるだろう。


だが、今まですぐに返事してくれていたターニャさんがプルプルと身を震わせていた。


「ターニャさん?」

「何なんですか!私に施しをして悦に浸りたいんですか?いじめられている私を見て哀れんでいるんですか?そりゃあ、少しはティアさんの後ろに隠れていればいじめも減るかなとは思っていましたけど、私だって普通にお喋りして笑い合える友達が欲しかっただけなんです!こんな同情みたいな真似をされて私が喜ぶとでも思ったんですか!!?」


ターニャさんの長い独白が終わった。


「ちょ、ちょっと待って!?何の事かしら?」

「惚けるんですか?貴族様は本当に恵まれていて良いですよね!親のお金で不自由なく暮らせて……。わ、私だって貧乏じゃなかったらお洒落したり……色々な事に挑戦して……」


ターニャさんはとうとう泣き出してしまった。


「ターニャさんは何か勘違いしているようだから訂正しておきますけど、友達に身分差なんて関係あるのかしら?恋愛なら関係あるのでしょうけど。私だってターニャさんに声を掛けられて本当に嬉しかったわ。施しなんてしているつもりも無いし、別にターニャさんがいじめられていようがいまいが友達になっていましたわ。ターニャさんが普通を望むように今日の私の行動も私の中では普通ですの。お金に関しても今日使ったのは私が全うに得たお金です。私のお金なのだから私の好きに使っても良いのではないかしら?」

「今までの事がティアさんの普通?」

「そうですわ。友達とショッピングしたりエステに行ったり、一緒に食事したり、家に遊びに行ったり。何も特別な事はしていません」

「……確かにそうですね。私が卑屈になってただけなのかな」

「何も卑屈になる事はありませんわ!ターニャさんは凄く愛くるしくて愛でたいと思わせる容姿をお持ちです。私からすればいじめられている原因なんてどうでも良いですが、嫌な事は嫌と言いなさい。暴力を振るわれるのなら抵抗しなさい。戦うのは同じ人間。ドラゴンや魔王と戦うより絶望的ではありませんわ」

「……ティアさんは強い人間なんですね。私は非力で抵抗するなんて勇気は湧いて来ません」

「私が強い?本当に強い人間なら先生に泣きついたりはしませんわ。それに私の頭が硬いのは、元からではなく幼い頃からの積み重ねですから」

「……今更変われるでしょうか」

「因みにですが、ターニャさんの称号は何ですの?」

「私の称号は『流行の担い手』です。意味は分からないし何に向いているのかもさっばりで……」



!!?


……良いこと思いついちゃった♪








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