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第6話 Academy②


ドガン!!!


通常では明らかにしないであろう音が壁と額から発生した。


私の頭突きは強化してある筈の壁を貫通し、壁は一面にひびが入った後にガラガラと崩れ去った。

見晴らしが良くなり外の風景が一望出来る。


一応、この壁が一階の端にあることは確認済みだ。

壁の反対側が教室だったり、下に人が居たりしたら危ないからね。



そして、教室全体が静寂に包まれる。


「申し訳ありません。鉄よりは硬いと思ったんですが……」

「………ま、まさか魔法か?」

「いえ、私は回復魔法しか使えませんわ」

「し、身体強化魔法?」

「回復魔法だけですわ」

「回復魔法と言う名の別の何かだろう!」

「ただの回復魔法ですわ!」


何で皆の前で自分が回復魔法しか使えない事を連呼しなければならないの?

これは酷い辱しめだ!

リース先生に告げ口する事にした。



「一体何事ですか!?魔物の攻撃!?」

「リース先生良い所に!ライナス先生が私に恥をかかせようとしますの!」

「えっ?どういう事ですか?それより、これは一体誰の仕業……」


ライナス先生とクラスメイト全員の人差し指が私の方を向いていた……


「そんなまさか?信じられません!」

「では、次は柱で試してみますね」

「止めろ!校舎が倒壊する!」


ライナス先生が急に叫んだ。

さっきは物は試しだって言ってくれたのに……


「俺は学園長に報告に行く。リース、後は任せた!」

「あっ、ずるいですよ!……修復魔法が得意なラスター先生は休暇中だし。どうしたら良いの?」

「リース先生、私はどうしたら?」

「それは私が聞きたいんだけどね……。でも本当に貴女がこれを?」

「はい。ライナス先生が物は試しだと言って許可して下さいました」


そこまで言って私はハッと気付く。

折角生まれ変わったのだから、私は自身の保身ばかり考える大人にはなりたくない!

そうよ。私は何のために壁を破壊したの!?


私はクラスメイトに向き直った。


「皆様、授業を中断してしまい申し訳ありません。ご覧の通り私の特技は頭突きですの。信じて頂けましたか?」


クラスメイト全員が無言で勢い良く首を縦に振った。

信じて貰えて良かった。

これで誤解も解けて皆と仲良く出来るわ♪



その後は、学園長が来て一頻り驚いた後、私達は臨時の教室を宛がわれそこで授業を受ける事になった。



良し!早速隣の席の子に声をかけてコミニュケーションを取って行くわよ!


あれ?何か隣の席との間隔が遠いような……


私は見事に初日から避けられていた!!



大丈夫。落ち着くのよ私。

私の全てを知った上で仲良くなってくれる人がきっと真のクラスメイトなのだから!





昼休みまで待ってみたが、結局話し掛けられる事は無かった。

待ちきれずにこちらからアタックしてみたりもしたが、話し掛ける子が挙って急に用事を思い出すのだからどうしようもない。

私からは友達同士で楽しくお喋りしてるようにしか見えないが、きっと皆用事を思い出していないだけなのだろう。


そんな風に自分を慰めた所で、お昼からは実技の授業であることを思い出した。

どんどん教室から人が減って行くのが不思議でならなかったが、今日来たばかりの私が知る由も無いので、私は遅れて教室を後にした。


学園の実技を行うグラウンドに着いた。

真ん中にリース先生とクラスメイトの姿が見える。

私は駆け足で近寄って行った。



「ティアさんが居ないから心配したよ!」

「お花を摘みに行っておりましたの」

「そうなの?じゃあ、授業を始めるわね。今日は実際に模擬剣を使って素振りをやります。今から配るけど無闇に振り回さないようにね!」


一人ずつ模擬剣を受取りに行く。

早速男の子達はリース先生の言う事も聞かずにチャンバラごっこに興じていた。


私も剣を受け取りに行こうとしたが、その瞬間隣ではしゃいでいた男の子の模擬剣が目の前にあった。


バキッ!!


「ティアさん!大丈夫!?」


リース先生が慌てて近寄って来た。


「大丈夫です。ですが……剣を折ってしまいました。申し訳ありません」

「木剣だけど芯には鉄が入ってるから大丈夫な訳無いじゃない!?って、傷1つ無いわね……」


リース先生は私の頭をペタペタと触って確認してくれた。

まあ、鉄くらいで傷を負うようでは希少金属に挑戦する資格は得られないから当然だ。


その後、私に模擬剣を当てた男の子は凄く説教されて、それ以降私のクラスでは先生の指示を無視して模擬剣を振り回す男の子が居なくなった。



「じゃあ、次は2人1組で打ち合いをするわよ!誰でも良いから組んで頂戴!」


簡単に剣の持ち方と構え方を教わり、軽い素振りをした後にリース先生がそんな事を言い出した。

……この流れはとても宜しくないわ!




案の上、私はリース先生と組む事になった。


せめて授業の出席者が偶数だったら!!







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