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第3話 10 years later


神の洗礼から10年が経った……


私も15歳となり、立派な淑女の仲間入りだ。


十数年の間、毎日頭を硬い物にぶつける奇行を繰り返して来たが、元の世界に戻る事はついぞ無かった。

流石に大きくなるにつれて元の世界には戻れないという結論に辿り着いたが、戻れる可能性も微粒子レベルで存在しているため1日も欠かさず奇行を繰り返している。


回復魔法を覚えてからは傷を自分で治す事が出来るようになったので更に奇行に拍車がかかった。

その結果、7歳の頃に木のテーブルや角材を頭突きで破壊出来るようになり、10歳の頃には石や岩を破壊出来るようになっていた。

そして、13歳の頃には鉄などの金属でも傷を負わなくなり、今はアダマンタイトやオリハルコンと言った希少金属を相手に日夜研鑽を重ねている。



「お嬢様、旦那様がお呼びです」


私が部屋で物思いに耽っていると、侍女のナタリーが私を呼びに来た。

この侍女は私が1歳の時に私付きの侍女になって、今ではこの屋敷の侍女長を務めるまでになった。

私の奇行の第一発見者でもある。



お父様の部屋の扉をノックする。


「入って良いぞ」


部屋に入るとお父様は机に向かって事務作業をしていた。

作業の手を止め私に向き直る。


「ティア、お前も今年で15歳になった。貴族の子供は学園に入る事が義務付けられているのは知っているな?」

「はい。勿論ですわ」

「家庭教師を付けているから学力的には問題無いと思うが、お前にはまだ社会経験が少ない。学園という集団生活の中でそれを学んで来なさい」

「分かりました」

「あと、学園に行く間は寮生活になるから、奇行は控えるようにな」

「それはお約束出来ませんわ」

「何故だ!?お前も自分がやっている事が普通じゃない事は理解しているのだろう?」

「私にとっては三度の食事と同じように普通の事なのです。微レ存ではありますが希望を捨てたくはありませんので……」

「びれぞんとは何だ?……まあ、良い。お前は奇行以外は優秀だからな。学園もきっと多目に見てくれるだろう。きっと……」


お父様は窓の外を感慨深い表情で見ていた。


「因みに学園は貴族以外にも平民の子供も通っている。貴族としての振る舞いを意識し増長せぬようにな。国は民あってこそ、貴族も同様だ」


お父様は貴族では珍しく選民思考の無い人物だ。

中には平民を見下して威張り散らす輩も居るのかも知れない。


「肝に銘じておきますわ」

「学園では魔法学を始めとして様々な分野を学ぶ事が出来る。きっとお前にも有意義な時間となるだろう。頑張って来なさい」

「お父様、感謝致しますわ。今まで奇行に走る私を見捨てないでいて下さり、愛情を注いで下さり、学園にも通わせて頂ける。絶対に学園で成長して戻って来る事をお約束します」

「ああ、期待している。……だが奇行は成長しなくても良いからな!お前が希少金属を取り寄せているのは知っているぞ!」

「お約束は出来ませんわ♪」

「………もう良い。……体には気を付けるんだぞ」


本当に良い両親を得て私は幸せ者だ。


その後は母親とも話をした。

そこでも奇行を止めるように散々忠告されたが、最後は泣きながら別れを惜しんでくれた。




1ヶ月後、私は学園に向けて出発した……










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