私を終わらせて
あれから幾人の者を殺して殺して殺して殺して回ってた。そんな残酷な映像を永遠と見せられる。それは変わらない。
殺したのは私でも、それを見てるだけの私でも結局私は世界に絶望してる。ただの傍観者でいるだけだ。
ただ気になるのは暗黒魔導士……名はクラヴィスとか言っていたが、クラヴィス度々卑猥な事をやってる事だ。ああ、別に誰が私に卑猥な事をしようが気にならないと思う。あえて言うなら他人のあれこれを見せつけられて恥ずかしくなる程度。
ただクラヴィスだけはおぞましい。本能が拒否してる。笑う度に悪寒が走る。
『アハ、アハハハハハハハハ……今日も良くやってくれましたねティア。ご褒美だ。今日も犬のように舐め回しなさい』
また始まった。
何がご褒美よ。貴方に取ってご褒美なだけでしょう。まったくそんなグロい物見せないでくれないかな?
クラヴィスではなかったら、そこまで気にならなかったけどな。それに12,3歳くらいの子供が何してるのよ。
『………』
私も何してるんだか。
『はぅ…はぁはぁ……良いですよ。そろそろくわえてください』
・
・・
・・・
『ふ~…アハハハハハハハハ……今日もなかなかでした』
今日も出すまでたっぷりしていたな。ああもうおぞましい。この笑いどうにかならないかしら。
『では次です。今から飛ばす場所にある村人を皆殺しにしてください。反乱軍に加わると厄介になる程の腕を持つ者が多い村です』
今度は殺戮の映像か。そっちのが良いわ。クラヴィスは存在が気持ち悪くてしょうがないから。
『ではいってらしゃい……ソウテン』
視界が暗転。転移魔法で飛ばされ、気付くとどこかの村の出入口にいた。門番が二人いる。
●〇●〇●〇●
「なんだ君は? どこから現れた? この村にどんなよう……」
プシューンっ!
門番の一人を斬っていた。相変わらずの剣の冴え。一瞬だった。
もう一人の門番は村に入り侵入者だ、と叫んでる。
私はゆっくり一歩一歩村に入って行く。
「貴様何奴」
ぞろぞろと五人も出てきたわ。私を囲んでる。その一人に間合いを一気に詰める。それにしても私って速いな。相手からすれば瞬間移動してる感じに見えるんじゃないかな?
プシューンっ!
はい一人。でもこれ背後にいるな。最近思ったけど、なんとなく私は相手の動きがわかる。どうすれば対応できるかも。これが本能で理解してるってやつなのかしら。そして私にわかるという事は当然私にもわかる。
ブスっ!
あ、白銀波を背後に投げた。やはり背後に一人いたのね。急所に確り白銀波が刺さってる。次は左右から挟み撃ちかな?
私は前方に飛んだ。前転して立ち上がる。私がいた場所に二本の槍が交差していた。
次は追尾し突き掛かって来るかな。
プシューンっ!
飛ばした筈の白銀波がいつの間にか手元にあり、追尾していた槍を持った者を斬った。
そしてもう一人の槍を持った者に一瞬で間合いを詰める。
プシューンっ!
はいもう一人。
最近分かった事だが白銀波は消したり出したりできる。その時に投げたりして遠くにあっても、それを消し再び手元で出現させられる。
「何なんだこいつは」
剣を構えた残りの二人が距離はを取る。
此処で吹雪を出せば終了ね。でもそれはできない。白銀波が言ってた。意思なき私では使いこなせないと。
速い……それも私について来れる者がいない程に速くて白銀波を出したり消したり自由。それに加え吹雪の攻撃ができれば最強の剣じゃない。
そして私は距離を取った二人に向かって一歩前へ出る。そして相手それに合わせは一歩下がる。ああこれはダメね。私が一歩前に出たら、二歩下がるつもりでないと。
ほら私が消えたのではないかという速さで間合いを詰めたじゃない。
プシューンっ!
はい残り一人。厄介な腕の者が多いって言ってたから期待していたのにな。てんでダメだ。私は、私を……。
ギーンっ!
あ、初めて攻撃して来た。
白銀波に防がれたけど。でも初めて攻撃に出ていた。今、気付いたけどこの一人だけ違う。これもなんとなくわかる。本能が教えてくれる。この人は強い。ああこれなら私を……。
キーンキーンカーンっ!!
剣の打ち合いが始まる。
ソラって人は力強い一撃だったけど、この人のが正確差は上かな。能力的に互角故に私にはやっぱり勝てないかな。
今も防戦一方。私の剣筋は速い。
≪ねぇ白銀波、私の剣筋は速いけどこれが剣人族の特性?≫
≪否、汝の特性なり≫
≪じゃあ他の剣人族は違ったりするんだ≫
≪左様。搦め手が得意とする者、一撃が鋭き者等様々。汝は少しでも速く敵を排除したいと願った故に今の形で目覚めた≫
そうなんだ。覚えてないけど。
まあそれはともかくとしてこの人なら私を……って期待したけど無理かな。
カーン……ヒューン……ブスっ!
ほらソラと同じように剣が弾かれ吹っ飛ばされた。
プシューンっ!
しかもソラより悪運がないようだし。
は~いつまでこれが続くるのだろうか。
早く私を……私を終わらせて。
「貴様よくもーっ」
あ、今度は数十人もいる。これなら期待できるかな?
プシュプシューンっ!
一瞬で二人終わったな。せめてさっきの人くらい強ければな。
「ぉおおりゃ」
斧を大振りして、話にならないよ。
ほら私がバックステップで躱した。あ、でもこれが狙いか。背後に誰かいるな。
ブスブスブスっ!
背後に三人。槍を突き刺して来た。両肩に背中に風穴が開く。これならいけるか?
プシュプシュプシューンっ!!
速い。次の瞬間三人を振り向きざまに斬っていた。肩や背中に穴が開いてるのに良く動けるな私。私だったら動けても痛みであんな鋭い攻撃はできないだろうな。
そして今度は剣を持った者が左側に……。
プシューンっ!
しかし、私は剣を左手に持ち替えて斬り裂いた。私って両利きだったかな?
ブスっ!
脇腹の辺りに矢が刺さる。
私は直ぐ様白銀波を投げて弓を持ってる者を仕留める。
「ぉおおりゃ」
また大振りな斧が来た。バックステップで躱し、直ぐ様前に出て斬り裂いた。
当然弓を使ってた者に刺さってた白銀波は消えて、手元に戻って来てる。
「な、なんだこいつは? 剣を投げただろ?」
「それにあれは毒矢だぞ。何故動ける」
へ~毒矢だったのか。でも暗黒魔導士に力とやらを貰ってる私には関係無い。完全に毒が回れば死ぬだろうけど、その前なら普通に動ける。
そして他の者は恐怖しまともに動けなくなった。あ~あ毒が完全に回るまで時間稼ぎすれば良かったのに。また終われないじゃない。
此処からはただの作業のように殺戮して回った。
全てが片付いた血の池の上で全身真っ赤に染まった私が立っている。其処に五芒星の魔法陣が現れる。
其処に私は吸い込まれる。クラヴィスが魔法で回収したのだろう。そして視界が暗転。
●〇●〇●〇●
『これはまた随分やられまいたねティア』
おぞましいから喋らないで欲しいな。
『さあ服を脱ぎなさい』
また始まった。
『では治しましょう……これで良いですね』
治療が終わると必ずあれするんだよな。
『こないだより大きくなりましたか? アハ、アハハハハハハハハ……』
だから気持ち悪いよその笑い。
クラヴィスは私の双山を揉みしばく。毎日やってるんだよな。クラヴィスじゃなかったら、気にしないけど、クラヴィスだから正直おぞましい。
『もっと大きくなると良いですね』
貴方に取ってはね。大体15歳に大きさを求めないで欲しいな。
『………』
『やはり貴方は口を開きませんね。つまらないです』
そうしてクラヴィスは揉むのを止める。貴方を喜ばす為の口じゃないんだっての。は~もう嫌だ。
こいつを見てるだけで悪寒が走る。早く私を終わらしてくれる人が現れないかな……。