現れてしまった救世主
私の前に王子様的人が現れてしまった。
無関係だなんて誰が決めたの?少し前までは思いもしなかった。自分にこんなことが起きるなんて・・・。ずっと一人で生活。そう思っていたのに・・・。
黒島唯我君・・・あなたは一体何のために私の前に現れたの?
ずっと狙ってた・・・?冴えない私を?大して目立った記憶もない。影に生きてるような私に・・・一体何を求めるの・・・?
考え事を始めると周りが見えなくなる。私の悪い癖。今も当の本人と話し中だというのに。
「それでね、十和田さん。・・・聞いてる?」
「あ、ごめん・・・少し考え事してた。」
「そっか・・。急に話しかけたの俺の方だもんね。ごめんね。急に話しちゃって。」
「こっちこそ・・・!話聞かないで考え事しちゃって。」
「大丈夫。言いたいことはこれから言うから。」
「そうなの?良かった・・・。」
「うんとね・・・次の週末一緒にどっか行かない?」
思考が停止するってこういうことなんだ。高校生になって初めてその感覚を理解した。一瞬で音が遮断された。この世界に私だけかのような感覚・・・。初めてだ。これもなれないことをしている影響なのか・・・。私には到底考えられない・・・。
アニメや漫画で言うなら、これはデートのお誘いである。現実に起こるなんて思いもしなかった。起きてはいけないことだとさえ思ってしまう。