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透明人間の恋
私は、きっとあなたに恋をしているのだろう。
確信が持てないのは、認めてしまうとあなたに嫌われてしまいそうだから。
目下のところ、あなたが私に興味がないのは知っている。
だって、視界にも入っていないわけだから。
私は、この瞬間が嫌いだ。
ふとあなたの香りがして、振り返った時、やっぱりそこにあなたがいて笑っている。
でも、その笑顔は私に向けたものではない。
私はいつも悟るのが早すぎる。
もっと自分に酔ってしまえたなら、この幸せに噛みついていられるのに。
それから、遠くにあなたを見つけて目で追っている時。
私は、いつもあなたの後ろ姿に焦がれている。
だから。
もし、私があなたの目に映るようになったら。
どうか、私の背中に焦がれて欲しい。