危険な友人
今、この場で最大の問題はこの友人である。
なにこの人。
服めっちゃキラキラしてんだけど。
なんか金属いっぱい付いてて重そうだな。
そして、なんなの。
この爽やかな笑顔。
人当たりの良さが滲み出ている。
でも、俺は知っている。
笑顔が素敵な人ほど、裏にどえらい闇を抱えているということを。
このメストとかいう父さんの友人もきっとその部類の人間だ。
裏で何か良からぬことをしてるはず。
この人には気をつけよう。
「それにしても、こんな所にタニシがいるなんて思わなかったぞ。お前に一体何があったんだ?今まで一体何してた?」
「家を出てすぐは、冒険者で金を稼いでた。だが足を怪我してな。戦闘できなくなっちまったんだ。それで、ここで農業をして食いつないでるってわけだ。」
父さんにそんな過去があったのか。
冒険者なんてかっこいい。
男としてロマンを感じずにはいられない。
しかし、冒険者なんてものにはなりたくない。
報酬の分配の問題で仲間割れを起こし、殺し合いになるのがオチだ。
ということで、冒険者やるならソロでやれ。
という結論に至る。
我ながら完璧な理論である。
ちなみにここは、人間の国トラレンプ王国の南に位置するダヤライ村という場所だ。
農業が盛んで、父さんも農業をしているらしい。
「タニシにもいろいろあったんだな。とりあえず命があるだけで私は嬉しいよ。こうしてまた友人として会うことができたのだからな。」
『とことん利用させていただくがな。』
そう言ってイケメンメガネは爽やかに笑った。
え…何今の声。
確実にこのイケメンメガネの声だった。
ただ口は全く動いていなかった。
何が起こったのだろうか。
「ありがとうメスト。とりあえず座ってくれ。飯の用意がしてある。」
父さんは本当に嬉しそうな顔でメストに席を勧める。
この様子を見るに先ほどの声は父さんには聞こえていない。
食事の用意をニコニコしながらしている母さんも同様だ。
感動の再会を目の当たりにし、今にも泣きそうになっている後ろの騎士2人も聞こえてないと見ていい。
ということはこの場で、俺にしか聞こえていないということだ。
これが神からもらった≪心を読む能力≫なのだろうか。
なんで今になって、急に発動したのかはわからんが検証する意義はありそうだ。
だが、それは今はいい。
今の問題はこのメストだ。
やはりこの男は闇を抱えていると見たほうがいい。
しかもそれが父さんや母さんへ影響を及ぼそうとしていると考えられる。
これは、まずい。
非常にまずい。
両親の存在は俺が生きていく上で確実に必要だ。
だって俺まだ生後1ヶ月なんだぜ?
さすがに1人じゃ生きていけない。
なんとしてでも両親に危険を伝えないと。
「ば!ばぶー!ぶーぶ!」
「どうしたのヒルちゃん?さっきご飯あげたばっかでしょ?おしっこしちゃったのかなー?」
この1ヶ月で習得した赤ちゃん言葉を駆使し、的確に危険を伝えるも母さんには伝わらなかった。
くそ!どーすればいいんだ!
生後1ヶ月の体じゃ既に八方塞がりである。
「よし、召し上がれ」
俺が何もできないで1人で悶々としていると、既に準備が終わり食事が始まってしまったようだ。
そして、俺の体は既に眠気に襲われている。
そろそろ起きておくのも限界だ。
俺は自分の不甲斐なさに飽き飽きしつつ眠りについた。




