神との決め事 後編
「じゃあ次決めよっか〜!あなたの種族決めちゃおう!」
「種族というと?黒人か白人かとか?そんなこと?」
「いやいや〜。それは人種だよ〜。種族ってのは、人間族とか獣人族とかのことだよ〜。」
「ですよね。魔法使えるって時点で予想してたわ。で、どんな種族がいるんです?」
「人間族、獣人族、龍人族、精霊族、魔人族かな〜。これ以外に転生は出来ないんだ〜。さあ、どれにする〜?」
「説明くださいよ。名前じゃ見た目の想像くらいしかできませんよ。」
「そうだね〜。じゃあまず人間族から。この種族は、あなたの世界の住人と見た目は変わらないかな〜。でも魔法も使えるし、運動神経もいいんだ。この世界では1番人数が多くて、世界の人口の半分くらいを占めてるんだ〜。次が獣人族だね。見た目は、人間族に獣耳とか尻尾がついた感じかな〜。種類は犬だったり猫だったり兎だったり色々あるけど、基本的に運動神経がものすごく良くて魔法が苦手だよ〜。人数は2番目に多くて、人間族の3分の1くらいの数だね〜。龍人族は、背がおっきくてみんな2mくらいあるんだ。肌は龍の鱗で守られてて硬いんだよ〜。魔法も運動も得意ですごいんだけど、数が少ないんだ。次は精霊族だね。この種族はちっちゃくてかわいいんだよ〜。赤ちゃんくらいの大きさしかないんだ〜。魔法も運動も苦手だけど、精霊魔法っていう強力な魔法が使えるんだ〜。人数は2番目に少ないよ〜。最後に魔人族だね〜。この人達は悪の象徴って言われてるんだ。肌は紫色で目が赤くて不気味な見た目をしてるんだ。本当はいい人達なんだけど、その見た目と別の大陸に住んでることもあって、差別されてるかわいそうな人達なんだ〜。魔法が得意で、運動神経もそこそこある感じだよ。あなたはどれがいい〜?」
……はっ!
説明が長すぎて眠りそうになってたぜ。
いや、説明頼んだの俺だけども。
それにしても長いよね。
夢の中なのに寝そうになるとか、俺どんだけ最強なんだろう。
もしかしたらここは夢ではないのかもしれない。
「だから言ってるじゃ〜ん。ここは夢じゃないんだって〜。なんでそんなに夢にしたがるのよ〜!普通は転生できるって知ったら喜ぶものなのに〜!」
俺にとって転生はリスクでしかない。
転生することによって、俺のトラウマがたくさん詰まった10代を再び経験することになるのだ。
あの時期は本当に地獄だった。
もう2度とあんな思いはしたくない。
ましてや俺は今の生活に満足すらしているのだ。
なので、転生などしたくない。
「というのが、俺の考えです。」
「ん〜。そんなこと言われても転生はやめらんないよ〜?よし!決めた〜!あなたは神人族にしてあげよ〜!」
「は?神人族?それってさっきの説明になかったですよね?」
「そ〜だね〜。普通は転生できない種族なんだよ〜?あなたは特別!」
「いや、特別でも全然嬉しくないんですが…。まず、何なんです?その神人族って。」
「色々すごい種族なんだよ〜!魔法も運動も得意で、精霊魔法も使えちゃうんだ!見た目は人間族と同じだけど、神人族同士だとなんとなく違いがわかるんだ。数はほんの少ししかいないんだけどね〜。」
「え、それって神人族同士じゃなきゃ人間族と神人族の見分けが付かないってことですよね?」
「そーそー。だから人間族の国で人間族として暮らしてるんだよ〜。神人族であることは本人たちしか知らないんだ〜。神人族って種族自体もあまり知られてないんじゃないかな〜。」
「なるほど。そういうことか。」
優れているということは時に枷になるものだ。
同じ立場の者は優れている者を蹴落とそうとし、上の立場の者は優れている者から自由を奪い、自分の物にしようとする。
人間族と見た目が同じなら尚更干渉を受けやすいはずだ。
そのようなことに巻き込まれず自由に生きるために人間族として生きる道を選んだのだろう。
「で、優れた種族に転生できるようにすれば俺が、転生したいと言い出すと思ったんですか?」
「うん〜!魅力的でしょ!どう〜?転生したくなったでしょ〜?」
「全くですね。神人族って厄介ごととか多そうですし。」
「え〜。じゃあどーやったら転生に乗り気になってくれるの〜!」
「そーですね。例えば人の心を操れる能力とかくれたら乗り気になりますね。」
「ん〜。それは難しいよ〜。でも!私の人の心を読める力の一部を与えることはできるよ〜!これでど〜だ!」
「人の心を読める…。素晴らしいです!それで行こう!」
人の心が読めれば、人に騙されることはなくなる。
人間不信の俺にはもってこいの能力じゃないか!
「よ〜し!これで決め事は終わりだね〜!じゃあ早速転生いってみよ〜!」
そう言って神様は満面の笑みで天に拳を突き上げた。
「いち!にの!さ〜ん!てんせ〜い!」
神様の陽気な声と共に俺の意識は沈んでいった。
次に目を覚ますのはコンビニだろうか。
それとも異世界だろうか。
俺はこれから俺の身に起こる出来事に想いを馳せた。




