神との出会い
目を覚ますとそこには真っ白な世界があった。
「あ、そういや俺死んだんだった。」
コンビニ強盗に心臓を一刺しされた。
あれなんだったの?
あいつあれからどーなったの?
あ、あの兄貴元気だろうか。
「そんなことより、ここどこよ?」
死後の世界だろうか?
あ、もしかして夢の中とか?
俺が死んだのも夢で、まだその夢の続きを見ているだけだ。
きっとそうだ。
うん、俺頭いいな。
夢を終わらせるには頬をつまむのが常套手段だったはず。
とりあえずやってみよう。
…あれ、体ってどーやって動かすんだっけ?
やばい、わからん。
どーした俺。
……よし、この方法は諦めよう。
人生、諦めが肝心である。
とりあえず時間が経つのを待とう。
俺の人生で一番長かった睡眠時間でも、35時間が限界だった。
あの時は確か新作ゲームをプレイするために1週間徹夜したのだ。
起きたら最後の1日の記憶が俺にはなかった。
みんな徹夜は程々にしよう。
徹夜=悪魔である。
ということで多く見積もって40時間も待てばいずれ目は覚めるはずである。
……
……………
……………………………………ちょっと待て。
もう俺の体感では50時間くらいたったぞ。
いつまで続くんだこの夢。
俺、夢の終わらせ方なんてもう知らねーぞ。
「ちこくちこく〜♪」
そんな食パン咥えて走ってきそうな声がしたのはその時だった。
恐らくそろそろ曲がり角でイケメンとぶつかるのだろう。
そして恋愛が始まるのだ。
「ごめん、待った〜?」
どうやら恋愛は無事成功し今日は初デートのようだ。
駅前で待ち合わせだったのだろう。
それならば彼氏はこう言うしかない。
「俺も今来たところ。」
「そっか〜。ねぇねぇどこ行きたい〜?」
「お前と一緒ならどこでもいいよ。」
「え、一緒には行けないよ〜。私神様だも〜ん。」
……なんだこれは。
俺にはこの状況が全く理解できていない。
しかし1つだけわかったことがある。
俺は存外ノリがいいということだ。
この状況でもノってしまう自分が今は少し誇らしい。
「で、お前何なの?ここどこなの?どーやったらこの夢覚めるの?」
「さっき言ったじゃ〜ん。私は神様だよ〜。ここは私が作った空間だね〜。魂を貯めとく場所だから魂保管所ってとこかな〜。あ、あと夢じゃなくて現実で〜す。もうあなた死んじゃったんだよ〜?」
「は?お前が神様なの?どう見ても女子高生くらいにしか見えねぇぞ。神様ってじじぃじゃないの?」
「そんな若く見えちゃう〜?ありがと〜!うれしい!」
なんかこいつと話してるといたたまれない気持ちになるのは何故だろうか。
もうこんなやつと話さなくていいから早く夢覚めないだろうか?
「だ〜か〜ら!ここは夢じゃないんだって〜。あなた死んだんだよ〜。辛いかもだけど受け止めて〜!」
え?
今、俺の思考読んだよね?
なにこの人、怖いんですけど。
自称神様なだけはある。
「で?神様が俺に何の用だ?」
「そうそう!どこに行きたい〜?あ、私と一緒には行けないんだ〜。ごめんね〜!」
「どこってなんなの?もしかして異世界とか連れてってくれんの?神様だもんな。そんくらいしないとな。」
「うん〜!で、魔法がある世界とない世界だったらどっちがいい〜?やっぱりあなたも魔法に憧れとかあるの〜?」
「え?今俺皮肉言ったんだが…。あ、憧れはあります。」
何この人やばい。怖い。
け、敬語使おう。うん。
「へ〜。男の子だね!かわいい〜!じゃあ魔法のある世界に飛ばすね〜?転生だから赤ちゃんからスタートだよ〜。着いたらそこからは自由に出来るからがんばってね〜。」
「あ、え?本当に俺、転生しちゃうの?これ夢だよね。うん、そのはずだ。でも参考までに1つ聞いてもいいですか?」
「夢じゃないんだけどな〜。聞きたいことあるなら聞いていいよ〜。答えれる範囲で答えるから〜。」
「なんで俺を転生させるんです?死んだらみんな転生できるんですか?」
「ん〜?そんなことないよ〜。私があなたのこと気に入って、もう1回あなたの人生見たいな〜って思ったから転生させるだけ〜。1000年に1回しかこんなこと出来ないんだから楽しませてよね〜。」
そう言うと神様は肩にかかる髪を払った。
「さて、じゃあいろいろ決めよっか〜!」
懐から紙を取り出し神様は何かを書き始めた。
……これは夢だと思う。
そう思いたい。
夢が覚めるまでの間、俺の夢に突如現れたこの自称神様に付き合ってやろう。
そう思った。
目が覚めるまで暇だしな。




