03:冒険者ギルド
「こんなひょろひょろなガキが冒険者志望だぁ?
ふざけた冗談抜かしてんじゃねぇぞ」
街に付いて真っ先に冒険者ギルドに向かった俺は、ギルドに登録しようとした時に横からガラの悪い連中に絡まれた。
「アンタの顔ほどふざけてないさ」
「なんだとテメェ!?」
激昂する男に対して嘲笑って見せながら、俺は手招きをした。
「文句があるなら、掛かってきな。
格の違いってやつを教えてやるよ」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「これ毎回やってますけど、要るんすかね?」
「ギルドに行ったら絡まれるのがお約束なんだとよ」
モニタ越しに、絡んできた冒険者を魔法で返り討ちにしている男を見ながら、清水と二人で溜息を吐いた。
実はこれは毎度の光景で、シナリオには必ずこの『ギルド絡まれイベント』が組み込まれていたりする。
そのため、ガラの悪い冒険者ユニットを予めギルド内に待機させておき、被験者のアバターが到着したところでイベントを開始するのだ。
「そんなガラ悪い連中ばっかのとこに依頼出すやつ居るんすかね」
「あれだよ、きっともっとガラの悪い連中が依頼出してんだよ」
知らねえけどな。
「ええ〜? あれ以上にガラが悪いって、そんなマフィアみたいな連中が『ゴブリンが出没して困ってます、退治をお願いします』とか依頼するんすか?」
「わっかんねえぞ? ガラが悪くても弱っちいかも知れねえだろ」
今モニタの中で吹っ飛ばされている冒険者みたいにな。
ちなみに、最初からヤラレ役専用キャラのため、外見は強面だが実はレベル1だったりする。
スキルやパラメータに色を付けたチートキャラなら、そりゃ楽勝で倒せるわな。
「そう言えば、小説サイトの方はどうなんすか?」
「おお、よくぞ聞いてくれた!
順調に読者も増えて、昨日の夜に日間ランキングに載ったぜ!」
「へぇ、ホントにウケてるんすね『コレ』が……」
清水が呆れた様にモニタを眺めながら言う横で、俺は今日の更新のために目の前で展開されているギルドイベントの光景を文章に打ち始めた。
何かもう、区切り線より上は必要無いような気がしてきました。
「なろう読者」の皆様なら大体想像出来そうです。