第11話
5日ぶりの投稿になります。
東方閉瞳神録第11話です。
今回はなんと、主人公の嫁さん降臨です。
基本的に戦闘シーンは少ないので、余り期待はしても意味ないかと・・・
世界樹の下にきた翌日、対策本部が置かれている場所の、世界樹へ向かう方角に、俺を先頭にしてみんなが並んでいる。
「気をつけて行かれよ。儂等は全力で真火殿の後方支援を致す。」
オーディンとゼウスを始めとする、様々な神達が俺一人に全てを託してくれる。
この想いに応えないわけにはいかないな。
「世界樹へと通じる道には何があるかわからない。身の危険を感じたらすぐにその場を離れてくれ。いくら大事な役割を担っているとはいえ、俺一人の為に君達が死ぬことは許さない。みんな生きて戻るんだ。」
今回の原因・・・始まりは俺だ。だから、俺が終わらせないといけない。
『あなたから始まり、わたしで終わる。わたし達のこの関係は、決して変わることはありません。数多の世界を繰り返そうと、わたしはいつでもあなたと一緒です。ーーーーさあ、終わりましたよ?次に行きましょうか。
オウカ』
「うっ・・・今のは?」
「どうかされましたか?ご主人様。」
「いや、なんでもない・・・」
突然頭に響いた声、どこか遠い昔、聞いたことがあるような声が聞こえた。
ただ、オウカというのは誰のことなんだろうか・・・全くわからない。
そもそも、俺は一体なんなんだろうか。
神なのか、神じゃないのか・・・
いや、今いる俺そのものが俺じゃないんじゃないか。
答えは一向に出てこない、出るわけがない。
ただ、あそこに行けばなにかわかる気がする。
あそこで待っている誰かにあえば、全てわかるかもしれない。
「・・・じゃあ、始めようか!」
『おぉぉぉぉぉぉぉ!!!』
「邪魔だぁぁぁ!!!」
行手をを遮る木々や、世界樹に引き寄せられたであろう小妖怪共を切り倒していく。
世界樹に向かい進み始めてからどのくらい経っただろうか。
一向に近づいている気配がしない。
けど、世界樹の力は少しずつ大きく感じる。
「グガァァァァァ!!」
「しまっ・・・!」
(バシュン)
不意を突いて襲ってきた妖怪に、あわやというところで弾幕が通り、その妖怪が消えた。
「ありがとう紫、助かった。」
「大丈夫よ、父様。他の場所でも、みんなが敵の数を減らしてくれているわ。」
放たれた方を見てみれば、そこにいたのは紫だった。
俺が出発したあと、みんなも俺の後に続く形で出発した。
その途中、突然現れた妖怪達に対応するかたちになり、更にどこからともなく生えてくる木をどかしながら進まないといけないのでかなり危険なのだ。
「紫、ここにいて大丈夫なのか?」
「あら?父様は可愛い愛娘に心配されて嬉しくないのかしら?」
「その可愛い愛娘が心配だから言ってるんだよ。紫に怪我されたら困るからな。」
「そ・・・そう・・・//////」
「とりあえず、無茶だけはするんじゃないぞ?」
「父様も人のこと言えないでしょ?」
「ははは、それもそうだな。」
「気をつけてね、父様。父様になにかあったら私達、どうなるかわからないから。」
「わかってるよ。じゃあ、行ってくるから。」
「えぇ、行ってらっしゃい父様。」
「ふぅ・・・ようやく着いたな。」
進み続けて数時間、目的の場所へとたどり着いた。
「・・・でかいな。」
空を突き抜けるほどの大きさで、見上げてみても頂上が見えない。
「よくもまぁ、ここまで育ったもんだな。」
神力を貯め続けながら放出し続けているだけはある。
「さて、ここに誰かいるんだろうが・・・」
世界樹に近付くにつれて、何故忘れていたのかわからない記憶が戻ってきていた。
ある時は俺と彼女が仲良く歩いているとき。
またある時は、泣いている彼女を慰めているとき。
彼女と交わっているときもあった。
彼女に膝枕され、寝ているときもあった。
その記憶のどれにも、必ず一人の女性が出てきていた。
肝心の、彼女の顔と名前は思い出せないけど、それでも彼女のことを思い出すと安心する。
どこか懐かしくて、それでいて温かい。
彼女は一体誰なんだろうか。
世界樹の頂上、或いは世界樹の中に行けば、何かわかる気がする。
とにかく行こう、ここにいても始まらない。
世界樹の中に入り、ひたすら上を目指して進む。
世界樹の防衛本能で攻撃してくるかと思ったが、特に何事もなく順調だ。
しばらく進むと、広い場所に出た。
その場所の中央には柱のようなものがあり、更にその中に翡翠色の球体のようなものが見える。
おそらくあれが、世界樹の核なのだろう。
「だとすれば、あれに神力を流し込めば世界樹は元に戻るんだろうな。」
その考えに至った俺は核に向かって歩き出す。
『そうはさせませんよ?』
「っっ!?」
突然聞こえてきた声と共に、激しい光が襲った。
目を閉じていても眩しいと感じる程強い光だった。
『この核に力を流し込むつもりでしょうが、そうはいきません。』
光が収まり、うっすらと見えてきたのは一人の女性で、紫と同じ金の髪に、紅い瞳をしていた。
「・・・・・君は、誰だ?」
異様な雰囲気を放つ彼女の雰囲気に呑み込まれそうになるのを耐え、なんとか言葉を紡ぎ出す。
『私の名前はユガ、カリ・ユガ。終焉を司る者。』
「カリ・ユガ・・・その終焉を司る神が何故こんなところに・・・」
『私の目的は、この世界樹を枯らせ、この世界の生命を全て消滅させること。』
「そんな目的を、俺が許すと思っているのか?」
『許してはもらえないでしょう。ですが、私にはこれを行わなければならない理由があります。』
「そのことの為だけに、この世界の生命を犠牲にしなければならないのか?」
『そうしなければ、私の目的は達成されません。何かを成し遂げる為に、犠牲は付き物です。』
「そうまで判断させる、君の目的とは何なんだ・・・?」
止めどなく続く会話の中で、特に疑問に感じていたもの。
それを聞いた瞬間、一瞬彼女の言葉が止まった。
『・・・私の目的はただ一つ。愛しい我が夫の記憶を取り戻すこと。』
「なっ・・・」
それを聞いたとき、俺は言葉が出なかった。
失くしていた記憶の中に、彼女と同じ女性と夫婦になったときの記憶があったから。
もしかしたら他人かもしれない、しかし他人にしてはあまりにも似過ぎている。
「そんな・・・それじゃあ、君は・・・」
『我が愛しい夫、貴方の本当の名は、御珠國桜姫華。』
「なっ!だ・・・だけど、記憶の中にいた君に似た人は、俺のことをオウカと呼んでいたぞ?!」
『それは、人間が貴方の名を漢字というものに変えたとき、その中から貴方自身が、桜華と名を選んだのです。そしてその名は、私を含めた三人にのみ、呼ぶことを許されました。』
「三人?それっていったいどういう・・・」
「「奥方様、お待たせしました。」」
彼女、ユガの言葉に疑問を隠せずにいると、二人の声が聞こえてきた。
俺が良く知る二人、俺の従者達の声が。
『来ましたか、久遠、神楽。』
「はい、かなり時間が掛かりましたが今回はいけるかもしれません。」
「どういうことだ?何故二人がここに・・・それに奥方様って・・・」
『それは、彼女達は私の従者だからです。いえ、正確には貴方が生み出した私達の従者です。』
「私たちは奥方様に頼まれ、世界をやり直す度に、ご主人様の記憶を取り戻そうとしてきました。」
「ですが、何度やり直そうとご主人様は一向に記憶を取り戻さなかった。それどころか、記憶が戻った気配すらしませんでした。」
『世界が終わる度、二人から貴方のことを聞いてきた私は、その度に世界をやり直してきました。ある時は人間に、またある時は妖怪になった貴方が、私のことを思い出してくれるのを待ち望んでいました。』
「ちょっ、ちょっと待ってくれ。いったいどういうことなんだ?何がどうなってる?」
突然の事態についていけず、一度整理する為に三人の言葉止める。
『・・・仕方ありませんね。では、私達の始まりからお話ししましょうか。』
そういって彼女は少し時間を空けて再び話しだした。
『貴方が記憶を失った理由、それはあの日起きた出来事が原因でした。』
主人公の本名がなんとも女性みたいな名前ですが気にしないでください。
次回はほとんど回想シーンになります。
もしかしたら、次回で世界樹編は最終回になるかもしれません。