第9話
東方閉瞳神録第9話
まったり日常回です。
ここで主人公の特技の一つ、草笛初披露です。
途中からマイナスイオンが溢れてますのでご注意を。
「風が気持ちいいな。」
「そうでしゅねぇ〜」
やあやあみんな、おはようからこんばんは。
もう自己紹介しなくていいよね?めんどくさいから。
流石に毎回毎回自己紹介するのも疲れるし。
というか、早くキャラ紹介の枠作れよ。
(世界樹が終わったら作る予定だから我慢しなさい)
「あの、その発言は色々と危ない気がしましゅよ?」
紫よ、お前は何故そんなことを知っている・・・
お父さんはそんな子に育てた覚えはありません!! *まだ3日しかたってません
今俺と紫は庭でのんびりと座っている。
俺が胡坐をかいているうえに、紫がちょこんと座っている。
「父様、足しびれたりしないでしゅか?」
「ん?心配してくれてるのか?紫。」
「は、はひ。父様のことは心配でしゅ。」
「あはは、ありがとう紫。」(ナデナデ)
「あ・・・あぅ//////・・・えへへ//////」
紫の頭を撫でてやると、照れ臭そうに喜んでいる。
まだ幼いけど、金色の髪はさらさらして手触りがよく、小さな目から覗く紫色の瞳が可愛らしい。
これでまだ生まれてそんなにたってないというのだから驚きだ。
「あ・・・」
頭から手を離すと、哀しそうな声をする紫。
(ナデナデ)「えへへ//////」
そしてまた頭を撫でてやると喜んでいる。
久遠と神楽は、この光景を見て「とても和みます」と言っていたが、桃蘭の場合は、「紫ちゃんばかりずるいです!私もなでなでしてください!!」
と、紫に対して対抗心を燃やしていた。
〜時は遡る〜
あのあと、紫と桃蘭にも世界樹のことを話したら、「「私もついていきます(しゅ)!!」」
と言って聞かなかった。
俺としては、なるべくみんなには付いて来てほしくない、とは言えず、久遠と神楽からの要望もあって結局押し切られた。
それで、そうなったら次の問題が出てくるのが我が家の日常で、桃蘭の「やっぱり、紫ちゃんの稽古はお父さんがつけるんですか・・・?」の発言から始まり、誰が紫に稽古をつけるのか、もとい誰が俺に稽古をつけてもらうのかと一騒動あった。
久遠と神楽のどちらかが稽古をつけるにしても、紫が俺から離れようとしなかったのと、俺と桃蘭が一緒になった場合、桃蘭がなにを仕出かすかわからないという理由と、桃蘭が紫に稽古をつけても、なにかと対抗心を燃やしているから、かなり危ないという理由で、必然的に、久遠と神楽が桃蘭の、俺が紫の稽古をつけることになったんだが・・・
「ふにゃぁ・・・」
頭を撫で続けてすっかり猫のようになってしまった紫を乗せて、のんびりしている。
「父様ぁぁ〜、もっとなでなでしてくだしゃ〜い。」
もはや完全に猫だな。
なんだこの可愛らしい小動物は?!
尻尾とかつけたら絶対凄い勢いで振り回してるだろうなぁ・・・
そうだ・・・
「紫、ちょっと降りてくれるか?」
「えぇぇぇぇぇ・・・」
「大丈夫、ちょっと取りたいものがあるだけだから。」
「むー・・・わかりました」
いやいやながらも、渋々といった感じで降りる。
さて、それじゃあとりに行くとするかな。
「じゃあ、ここで待っててね。」
「わかりましゅた。はやくかえってきてくだしゃいね?父様。」
結局は俺の言う通りには従い、ちょこんと座って待っている紫をあとに、庭の中の木々が欝蒼と生えてるところに歩いていく。
〜神様移動中〜|(このネタ使うの久しぶりだね)
数分程歩いて目的の場所に到着した。
この場所は俺のお気に入りで、森のように生い茂った木々の中央が開いており、そこには半径10m程の泉がある。
そしてその泉に近いところに生えている木の葉が、草笛で音を奏でるのに適しているので、よくこの木の葉を使っている。
一人でいるときに、よくこの泉の中央にいって草笛を奏でるのが好きだ。
以前にも神楽が言っていたが、俺が草笛を吹いていると、鳥が集まってくるらしい。
なかでも、俺が草笛を吹き始めると、いの一番にどこからともなく、青い鳥がきて俺の左肩に止まるらしい。
草笛を吹き終わるといなくなるらしいので、俺はまだ見たことがない。
とりあえず、目的のものはとれたので早く戻ろう。
そろそろ紫が泣き出しそうだからな。
〜神様移動中〜
紫のいる場所まで戻ると、案の定泣き出しそうになっていた。
「紫、お待たせ。」
「ふぇぇ・・・と、とうしゃまぁぁ・・・」
声をかけられ、振り向いた紫が思いっきり抱きついてきた。
「うぅぅ・・・遅いでしゅよぅ、とうしゃまぁぁ。」
「ごめんごめん。探すのにちょっと時間かかっちゃって。」
半分泣き出している紫を慰めるように優しく抱き締めて頭を撫でてやる。
「心配かけたな、大丈夫だよ。いなくなったりしないから。」
「ぐす・・・絶対でしゅよ?約束でしゅからね?」
「あぁ、約束する。」
娘を泣かせるなんて、親失格かもな。
〜神様慰め中〜
「落ち着いた?」
「はい。も、もう大丈夫でしゅ。」
「そう、じゃ座ろうか。」
「はい。」
紫を慰め終わり、また同じように座る。
「ところで父様、いったいなにをとりにいかれてたんでしゅか?」
そういって紫は、不思議そうな顔をして振り向いた。
「ん?これだよ。」
そうして俺は持っていた木の葉を見せる。
すると紫は更に不思議そうな顔をした。
「木の葉でしゅか?」
「そう、木の葉だよ。」
「あの、失礼でしゅが、わたしにはただの葉っぱにしか見えましぇん。」
まあそうだろうな。
「これは、あの森のような場所に生えてる木の葉っぱで、この葉だと草笛をするのにちょうどいいんだよ。」
「久遠さんたちが言ってました。父様は草笛を吹くのがしゅきなんですって。」
「そうだよ。俺は一人でいるときによく、草笛を吹いているんだ。」
「それで、どうしてそれを取ってきたんでしゅか?」
「紫に特別に聞かせてあげようと思ってね。」
「ほんとでしゅか?!」
聞かれて頷く。すると心なしか、紫の目がきらきらしている。
「じゃあ、吹くよ?」
「お願いしましゅ。」
一度深呼吸をし、息を整える。
「〜♪〜〜♪〜〜〜♪〜〜♪〜〜〜♪〜♪」
木の葉から発せられる独特で、綺麗な音が聞こえ始める。
神秘的な雰囲気を醸し出すその音色に、草木が揺れ、鳥がさえずり、風が靡く。
「〜〜♪〜〜〜♪〜〜♪〜♪」
時折息をやすめては、また草笛を吹く。
そうして大体10分程、俺は草笛を吹き続けた。
草笛を吹き終わり、静かに口を葉から離す。
「・・・・・ふぅ」
「とても素敵な音色でしゅた。神秘的で、暖かくて、それでいて優しい、正に父様そのものでしゅ。」
とても落ち着いた様子でそういう紫。
つい嬉しくなって、紫の頭を撫でてやる。
「そうかな?俺はそうは思わないけど。」
「父様が奏でているから感じられないだけでしゅよ。わたしには、そう感じただけでしゅ。」
「そっか。」
紫をうえに乗せ、二人で静かに時が過ぎていくのを感じつつ、俺はこの時こう願った。
「願わくば、この幸せがいつまでも続くように・・・」