しょーとすとーりーず⑥
お皿が大事だよ、とひとが言う。
大事なのは中身なのよ、とひとは言う。
美しく装飾された銀皿を、僕はたくさん、たくさん、あつめてきた。
お皿を眺めていたって、空腹は埋まらないわよ、って君が言ったから、僕が埋まるさって言い返した、けれど僕は気付いている。
料理がどんなに美味しくっても、お皿が無ければ食べられないよって僕が言ったら、君は鍋のままで箸をつついた。
だけど、君も気付きはじめている。
どんなに美しいお皿も、どんなに美味しい料理も、ひとつが欠けては粗末になってしまうと。
僕は君にならって中身が欲しくなったんだ。
君も僕にならって、お皿を探しはじめているね。
僕も君も、まだはんぶんだけど、寄り添っていればひとつになれる。
ギザギザの心の隙間が噛み合ったなら、キレイなハートが出来上がったよね。
ふたりの落としどころは、じんせいや、せかいじゅうにひろがる、壮大な落としどころだよ。
僕は必死で中身を手にいれる。
君もお皿を手に入れるんだ。
つらいときは、君を思うから、君も僕を思い出して、必死に耐えるんだ。
ふたりの落としどころはね、地道で堅実な、毎日のごはんだね。
そしていつの日か2人のにがてがとくいに変わったら、2人は無敵で最強の力を手に入れる。
君の料理を僕が受けるよ。
あしたは、僕が作った中身を、君のお皿がうける番だね。