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素庵日記  作者: 春野一人
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10月23日(日) 暑

 朝方三時に目が覚めて、七時までに「成吉思汗じんぎすかんの秘密」を読み切った。義経が成吉思汗になったという大胆な設定ながら、考証を見事に固めている。まさに、こうした質の高い考証は近頃のトンデモ本の作家の遠く及ばないところである。主人公の神津がマルコポーロの「東方見聞録」の書中に気になる記述があることを以下のように紹介している。


 元の皇帝フビライが成吉思汗から聞いた話としてマルコポーロに伝えた。


 成吉思汗が若い頃、ある合戦に敗北して、ただ一人フクロウが住む古い大木の空洞に逃れた。そこへ敵兵が追撃してきて、洞窟に入ろうとした兵を、成吉思汗に心を寄せる敵の重臣が、「ここには人間はおらんフクロウがおるだけだ」と押し留めた。それで彼は九死に一生をえて助かった。


 この話は、平家追討に立ち上がった源頼朝の小田原、石橋山での苦戦の経験とそっくりである(鎌倉正史・吾妻鏡に書かれている)それが「東方見聞録」に載っていることは実に不思議としか言いようがない。(素庵は石橋山古戦場に行ったことがある!伊豆の海から急に立ち上がったミカン山といった所である)このような驚くべき史実を「成吉思汗の秘密」は数多く捜して題材に持ってくるのは作者の努力のたまものなのである。これはただの、トンデモ本とは違う、歴史研究本とさえ言える優れた本なのである。・・・「東方見聞録」を早速手に入れて、この部分たしかめてみたい。


十時過ぎ、家を出て、「ちい散歩」本郷界隈を歩いてみる。何でも夏日とか、暑い。東大生協の食堂で、昼食。素庵は中華丼400円、恐妻は五目寿司と天ぷら・さわら焼き物のセット、550円。味、ボリュームとも納得の品だった。・・・しかし東大の施設は実にボロである、日本国の指折りの大学がこのような有様であるのは実に嘆かわしい。一千兆円の借金が、このような所に影を投げているだ!・・・

 それはさておき、街歩きは身体を鍛え、かつ余分に楽しめる、ちい散歩は良い。このあたり傾いた古民家、味のある、木造の下宿屋などあり、なかなか良い。また和菓子老舗、古本屋なども多く楽しい。

 

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