3月20日(火) 春分の日 探偵はバーにいるを読む
吉本隆明さんが亡くなった!吉本さんの著作はほとんど読んでいないが、素庵はもともと詩集などを読む人であり、「転位のための十編」という詩が、美しかった印象がある。学生時代は、氏は左翼の過激言論の代表みたいに思っていたので、所詮イデオロギーはイデオロギーだとおもっていた素庵は、氏の本は読まなかった。しかし、最近、氏の著作「源実朝」を、資料として読むにあたって、その深い研究と思索は優れたものであるのを知った。
「探偵はBARにいる」として映画化された原作の「バーにかかってきた電話」(東直己作)を読んでいる。第一作の「探偵はバーにいる」は明快な作品で、面白く読めた。これは春野一人の「太安麻呂、古事記を書いた人」を構成するにあたっての参考となっている。東氏のこの二作は、探偵&便利屋&少しヤクザみたいな主人公が行きつけのしゃれたバーを事務所代わりにして仕事をする話であり、春野君のベッドディテクティブ小説に似てなくもない。「探偵」は、あまり動き回らない、人をバーに呼んだり、訪ねたりして、謎がとけてゆくパターンである。こうしたパターンは、シュチュエーションが変わらない分、推理を重ねていくことができる反面、映像がないのでくどくなりやすい欠点がある。
「ジンギスカンの秘密」(高木彬光作)は、歴史ミステリーの傑作だと思うが、作者の高木氏も翌年の次作「邪馬台国の秘密」では、このタイプの小説の欠点に陥っているように感じられた。
さて、日本の政治の事。「ああ」とため息が出るような惨状である。まさに幕末、国債の行方が心配である。折しも映画「マーガレト・サッチャー 鉄の女の涙」上映中である。また「文芸春秋」4月号は「日本をギリシアにせぬために」という特集を組んでいる。この二つ、目下、素庵の感心のあるところである。
桜ちる、その前に日本ちるはやめましょう 素庵