2月18日(土) 晴 風非常に冷たい 大江戸温泉君津の森に遊ぶ
前職を数ヶ月前にやめた36才のわが長男がやっと仕事を見つけた働き出した。貯金のない、その日ぐらしの長男は、れっきとした失業保険の対象者であるが、厚生労働省とその傘下、職安はここでもだらしがない。アルバイトはしているがその収入は就活に時間をとられ、ほんのわずかであるのに、失業保険などというのは霞のように姿をあらわさない。失業保険についていえば厚生労働省のやっていることは詐欺ではあるまいか。失業したら、たちまち収入がとだえる。すぐに保険金が支払わなければ、身よりのない人間は、サラ金にたよるか、アパートを追い出されるかの道しかない。まさにホームレス一直線である。当今の日本はなんと思いやりのない世界であることか。
それで、素庵は思いっきり、愚息にすねを丸かじりにされている。心境は、余裕の金などない小林一茶そのものである。(アア!)しかし幸いなことに三月五日には愚息に給料が支払われる、その時やっと素庵は私設失業保険事務所をやっと閉所できて、菜の花が咲く心の春を迎えられるのである。(速く桜咲け!)
しかし、貧ながらも、閉じこもっていては心が病んでしまう。素庵家お気に入りの場所がある。アクアラインの向こう千葉は君津の山中に「大江戸温泉君津の森」がある。わが川崎区から一時間、コンビナート・工場・流通倉庫の灰色の風景は、たちまち緑に包まれた桃源郷に変身する。
この「大江戸温泉君津の森」はもと、厚生年金保養施設であったが、厚生年金の撤退により大江戸温泉が買い取って、三年前にホテル&日帰り温泉として再出発したものであるという。残念ながら温泉ではないが、トルマリン石を用いて、順温泉となっている。しかし施設は、浴場・野天風呂・休憩室・プレイルーム(ゲーム機多数・無料卓球四台・広めのキッズコーナー)カラオケ・ボデイケア等が充実して、綺麗な施設である。
特筆すべきは昼のバイキングと入場料が込みで、土・日・祝日は大人1580円という値段である。このヴァイキングは、最近はますます豊富なメニューとなって人気である。天ぷら・ピザ・寿司・刺身・ポテトフライ・ラーメン・カレー・豚汁・サラダ・オデン・焼きそば・お新香・鍋・スイーツ・ドリンク各種・グラタン・五目寿司・太巻き・白御飯・シュウマイ・プチ肉まん・・・まだまだある!日本はゆたかだなあ!
さて、素庵はパステルナーク「ドクトルジバゴ」を持ち込んで、畳敷きの50畳ほどの部屋で二時間ほど読書。山の神は30分3千円のボデイケアを受けたのち昼寝である。いつもは無料の卓球を1時間も楽しむのだが、今日はパス。次男一家が同行の場合は、カラオケルームを借りて家族歌合戦となることが多い。
「ドクトルジバゴ」の小説は、構成が登場人物ごとのオムニバスとなっていて、一章が二千字単位で多様なロシヤ革命期の人々が描かれる。広大で美しいが凍てついた大地、腐敗した政治、苦悩の庶民、革命、などの話が、詩的描写で描かれている。パステルナークは高名な詩人であって、その詩人の感性が翻訳本であっても感じられる。訳はトルストイの翻訳でおなじみの江川卓氏である。亡くなった、知人、森田監督は原作は読んだのであろうか、今読んでいる限りでは、映画とはだいぶ違うような気がする。それにしても、森田監督の早世は残念であると、素庵は思う。素庵は一度は映画監督を目指した者、いつか映画界に花を咲かせるというのが一生の夢である。その点では「キャベツ畑で愛を叫ぶ」は、小品ながら原案は素庵・出演素庵であったから、だいぶ満足したが、できれば森田監督の手で、「実朝」を映画化して欲しかった・・・。